ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス

2012年4月号

    2012年4月号
     
   
   
特集 実勢トラック運賃

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【第1部】速報! 2012年春の運賃相場
 今春のトラック運賃相場を本誌が独自に調査した。2010年春の前回調査と比べると全体のトレンドとしては横ばいで、震災の影響はほとんど見られない。この半年の燃料費上昇分は運送会社が負担している格好だ。ただし、地域別、車種別の動きには、それぞれの需給環境が表れている。

■特積み(路線便)運賃──ほぼリーマン前の水準に
 採用している運賃タリフ/運賃指数の推移(昭和63〜平成24年)
■時間制運賃──2トン車が大きく値上がり
 地区別実勢運賃(1日8時間稼働)/運賃指数の推移
■距離制運賃──東京は上昇、名古屋は下落

 普通車実勢運賃(2t、4t、10t、15t)/運賃指数の指数


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【第2部】 宅配大手2社が市場全体を先導
ロジスティクス・サポート&パートナーズ 
黒澤明 代表、石橋岳人 常務

 ヤマト運輸と佐川急便の大手宅配2社が運送市場全体のプライスリーダーとなってきた。2社の動きが他の特積みや貸切運賃のトレンドを規定する前提条件となっている。地域別では名古屋で相場の下落が目立つ。リーマンショック前までの割高な運賃から一転、値崩れに歯止めがかからない状況だ。

 

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【第3部】 求車求貨事業者に相場観を聞く
「WebKIT」日本貨物運送協同組合連合会
──復興需要はまだ発生していない
「物流情報サービス事業」トランコム
──震災の影響から西日本で急騰


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【第4部】 ブロック別運送市場レポート

《北海道》フェリー料金の上昇が波及
 震災後、東北や関東、関西との間での荷動きが増加したのに加え、陸路、海路の交通網が混乱し、車両不足が発生した。これに伴い、一時的に運賃が上昇したが、昨夏以降は再び横ばいまたは下落傾向に戻った。しかし現在、北海道と本州を結ぶフェリーの燃油サーチャージの上昇が運賃水準を押し上げつつある。フェリー会社のサーチャージはトラック会社に自動的に付加される。その値上がり分をトラック会社が荷主に転嫁する動きが広がっている。

 

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《東北》宮城県と他地域で格差
 宮城県の荷動きには回復の兆しが見えている。また、車両台数が震災を境に減少したため、運賃は上昇基調にあるようだ。岩手県を含めた沿岸部では、建設資材輸送や瓦礫運搬など復興需要が本格化。特に瓦礫運搬では高額な運賃が提示されるという。これに対して他地域の荷動きは弱含みで推移している。特に、関東向けの農産物の出荷量が不作や放射能問題のために落ちている。運賃水準は横ばいで推移しており、燃料の値上がり分の転嫁も進んでいない。


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《北陸信越》荷動きが大きく変動
 荷動きの変動が激しい。震災以降、関東、東北向けの輸送が活発化したが、秋までに収束。タイの大洪水の影響も大きく、緊急出荷が増加した。全体として物量は堅調だったが、年明け以降は減少傾向が顕著になっており、今後の見通しは不透明だ。運賃相場は一時的に飲料水などの品目で上昇したのを除けば全体的に横ばいまたは下落傾向。ただし、トラック会社の多くは一部の安売り攻勢を仕掛ける業者の動きを静観する構えをとっており、大きく値崩れするまでには至っていない。

 

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《関東》荷動きは堅調だが運賃は横ばい
 首都圏の荷動きは他のエリアに比べれば底堅く推移している。しかし、運賃の値上げ機運には乏しい。大手メーカーを荷主とする場合には、ベース運賃は据え置きながら、燃料費の値上がり分を転嫁する動きが一部には見られる。リーマンショック直後と比べれば荷主の値下げ圧力は緩んでいる。しかし、車両の供給過剰は解消されていない。運送会社から運賃交渉を持ちかけられる環境にはない。当面、相場は横ばいが続きそうだ。

 

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《中部》自動車物流の減少で大崩れ
 東日本大震災やタイの洪水といった災害により、中部産業の中核を占める自動車業界は大ダメージを被った。これに伴い、部品メーカーなどを荷主に持つ運送会社の運賃は下落の一途をたどっている。足下では徐々に生産台数は回復しつつあるものの「遅れていた生産を取り戻しているだけ。長期的なトレンドではない」という悲観論も聞こえてくる。電機関連や食品・日雑といった分野でもダンピングによる値崩れが続いている。


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《近畿》繁忙期の傭車運賃が急上昇
 荷動きは減少している。製造業の中でも家電産業の存在感が大きいため、同産業の不振の影響を受けている。震災後、救援物資輸送や関西での代替生産が行われたこともあり、関東向けが一時的に増加したが、荷動き全体を押し上げるには至らなかった。運賃は底値近くまで下がっており、横ばいが続いている。しかし、トラック業者は車両台数を減らす傾向にあり、繁忙期の傭車運賃は急上昇しているもようだ。


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《中国》海上貨物の急減が地場運送を直撃
 運賃は小幅な下落傾向が続いている。震災による特需的な物流ニーズもほとんど発生しなかったもようだ。中国地方は全国でも海上貨物の占める割合が高いエリアだが、昨年はその荷動きが急減した。これに伴い、海上貨物関連の貨物を運ぶ多くのトラック事業者は収益悪化を強いられている。一方、自動車や家電関連などの荷物を扱う事業者からは、円高の緩和による荷主の業績回復、ひいては運賃上昇を予想する声も聞かれた。


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《四国》瀬戸内海側と太平洋側で明暗
 機械関連や化学品工場が集積する愛媛や香川で運賃の下落が顕著になっている。中国地方や関西圏の運送会社の進出も多く、価格競争が熾烈になっている。一方、高知の運賃は他の3県に比べて高位安定が続いている。運送業者数が少なく、地理的にも進出の波にさらされにくい。ただし、最近では背に腹は変えられなくなった業者の流入も目立ち始め、運賃下落の懸念材料になりつつある。燃料高やドライバー不足という悩みも他の3県と共通している。


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《九州》リスク分散先の有力候補に
 九州における生産増強や在庫の積み増し、新拠点の開設を検討する企業が増えている。震災後にリスク分散の重要性が高まってからは、その傾向にさらに拍車が掛かっている。この流れに九州の運送業界は大きな期待を寄せている。運賃相場は横ばいが続いているが、荷物が増えることによる売上拡大や単価上昇の算盤を弾いている。他のエリアと比べて見通しが明るいことから、関東や中部圏から進出してくる物流企業も増え始めている。


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【資料】 旧運輸省「平成11年タリフ」

時間制貸切/距離制貸切/積合せ

 

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KeyPerson

「福島だけが取り残されている」
福島県トラック協会 青年協議会 緑川直人 会長

 震災から1年が経ち、復興に向けた動きが各地で始まっている。ただし、原発問題を抱える福島は別だ。ガレキの撤去は遅々として進まず、壊滅的被害を受けた第一次産業は再生のメドさえ立たない。地元ナンバーの車両に対する差別や嫌がらせも横行している。それでもトラック運送会社は地元を離れることはできない。

     
 
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日本ケンタッキー・フライド・チキン
〈アウトソーシング〉

3PLを導入して“見える化”を推進
東西2分割管理を8エリアに細分化

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ノキア〈欧米SCM会議14〉

間接材調達部門を組織して効率化推進
年間10億ユーロのコスト削減を目指す

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佐川急便〈環境対策〉

業界初の「カーボン・ニュートラル」目指す
森林保全活動で取得したクレジットを利用


     
 
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物流企業の値段
《第75回》
一柳 創 大和証券キャピタル・マーケッツ 金融証券研究所
企業調査第一部

センコー

M&Aで事業領域を拡大し一段の成長へ
利益面ではコスト効率に課題が残る

 
58
 

海外トレンド報告【News】

《欧米編》UPSがTNTに買収を提案
《中国編》11年の社会物流総額は158.4兆円

 

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湯浅和夫の物流コンサル道場

《第120回》 〜温故知新編 第1回〜

物流の歴史を振り返ってみよう

  66  
奥村宏の判断学《第119回》
東京電力、国有化は是か、非か?

  68  
佐高信のメディア批評

メディアがほとんど報道しない東電株主総会
木で鼻を括ったような回答に終始する経営陣


  70  
事例で学ぶ現場改善《第111回》
部品メーカーの物流コンペ&管理機能強化

日本ロジファクトリー 青木正一 代表

  74  
物流指標を読む《第40回》 日通総合研究所 佐藤信洋

荷動きに比例するトラック事故件数

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物流行政を斬る《第13回》
CFP商品の可能性は限定的
環境問題が切り口では
消費者には響かない

産業能率大学 経営学部 准教授
(財)流通経済研究所 客員研究員 寺嶋正尚

 

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The International Society of Logistics
国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

情報とモノの停滞を改善する
個別受注生産の「見える化」

 

  82  
ARC Advisory Group レポート

情報投資の回復により拡大する
サプライチェーン計画ソフト市場


     
 

 

 

DATA BANK

 
83
 

●国土交通月例経済(国土交通省)


     
 

 

 

CLIP BOARD

 
43
 

●トナミ運輸がクラウド型のWMSを開発/部品関連企業をターゲットにサービス開始

 


86
  主要記事索引
  90   編集後記
 
91
  広告索引

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