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はじめての方へ
メディアに流れない真実の情報と世界の動きを、竹下雅敏氏がお伝えします。 忙しい方でも、赤字の部分だけを読むと要点がつかめるようになっています。
本ブログの目的と編集方針 をぜひお読みください。
運営:シャンティ フーラ
http://shanti-phula.net/
エコノミック ヒットマン Democracy Now !
竹下雅敏氏からの情報です。
『すでにご存知の方も多いと思いますが、エコノミック・ヒットマンの動画を紹介します。約45分と長いので文章に起こしました。時間のない方は、要点がわかるように赤字にした部分だけでも、ご覧下さい。非常に重要な内容で、この動画の内容を理解した上で、グローバリズムやTPPを論ずるべきだろうと思います。(竹下)』
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エコノミック ヒットマン Democracy Now !
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エコノミック・ヒットマン Democracy Now !
http://www.youtube.com/watch?v=v8Xsz62O-fU
ドイツでは、G8サミットに向け、数十万人が抗議に集まっています。
開催地はバルト海沿岸のハイリゲンダムです。
警察は大金を投じ、高さ2mの防護壁で会場を囲いました。
焦点の温暖化対策についてはブッシュ大統領が京都議定書の代案を出し、
温室効果ガス削減の独自目標を設定しました。
対外援助や新貿易協定などが話されます。
ゲストは企業グローバリゼーションの推進の暗部に関わったと言う人物。
ジョン・パーキンス氏は著書「経済ヒットマンの告白」で、
国際コンサルタントを装いながら、強引な手口で各国の指導者に
米企業優先の政策を押し付けたと自分の過去を告白しています。
「貧国を騙し返済できない借金をさせて国の経済を乗っ取った」と
その続編が出版されました。
「アメリカ帝国史 経済ヒットマン ジャッカル 世界の腐敗の真相」
ジョン・パーキンスさんようこそ。
まず「経済ヒットマン」とは何か説明してください。経済の殺し屋?
第2次大戦後私たちヒットマンは、史上初の世界帝国を築きました。
これまでの帝国と違い、
軍事力ではなく、経済操作を通じて実現したのです。
国際企業が欲しがる資源を持つ第3世界の国に狙いをつけ、
世界銀行や関連組織から巨額の融資を受けさせる。
お金を受け取るのはその国ではなく、インフラを建設する米企業です。
電力網や工業団地やハイウェイ等、富裕層にはありがたい投資ですが、
貧民には縁がない。
電力は使えず、工業団地で働くスキルもないから。
でも彼らと国全体が莫大な借金を負う。
そんな巨額の債務を国は返済できません。
やがてヒットマンが戻ってきて指導者たちにささやく。
「金が返せぬならお前の肉1ポンドで支払え」
3:19
どのような経緯で経済ヒットマンに?
大学を出て採用されたのが国家安全保障局(NSA)でした。
米国で最大の秘密のスパイ組織です。
CIAよりもそうなのですね。
NSAの方がずっと大きく秘密主義です。
CIAはよく噂になりますが、NSAはほとんど知られていない。
暗号の作成と解読だけが仕事だと言っていますが、
実は私たちの電話を盗聴している。それが最近判明した。
なんでも隠したがる組織なのです。
在学中に彼らのテストを受けました。うそ発見器や心理テストなどの結果、
経済ヒットマンにうってつけだと判断されたらしい。
私の弱点もよく知っていて、そこにやすやすと付け入った。
つまりお金と権力と女、私たちの文化の3ドラッグです。
当時の私はこのすべてに弱かった。
NSAの薦めで国際ボランティアの「平和部隊」に参加しました。
エクアドルで先住民と3年過ごした。石油企業との闘争が始まった頃だ。
彼らはシェブロンテキサコに対し、世界最大の環境訴訟を起こしました。
私の将来の仕事には、とても良いトレーニングでした。
この活動中に米軍民間企業チャールズ・メーンに採用された。
ボストンのコンサルタント会社でとても目立たない存在でしたが、
「経済ヒットマン」の分野で膨大な仕事をこなしていました。
私は就職し、トップに上りつめ、主任エコノミストとなりました。
5:24
NSAとの関係は?
そこが面白いところです。直接の関係は何もないのです。
NSAは面接して適性を見抜いた後、私を民間企業に送り込んだ。
巧妙で賢いシステムです。手をくだすのは民間企業なのです。
外国では我々が賄賂や買収をして当局に逮捕されても、
悪いのは民間企業だ、米国政府ではない。
経済ヒットマンが任務に失敗すると、今度は「ジャッカル」の出番だ。
政府を転覆し、指導者たちを暗殺する連中です。
彼らも民間企業の人材です。CIA職員ではありません。
007は政府に雇われ、「殺しのライセンス」を持っていますが、
いまどきの政府機関の職員はそういうことはしません。
そういう仕事は民間に委託されるのです。
そういう人間を何人も見てきました。
6:39
「アメリカ帝国秘史」で世界権力の掌握を語っていますね。
ドイツでは、G8サミットに向け、大抗議行動が起こっています。
その重要性は?
いま世界で起こっていることはとても重要です。
新聞見出しでわかるのは、我々が危険な世界にいることです。
狭い世界でもある。ドイツでも中東でも、アマゾンでも、
何が起こっているのか即座にわかる。
世界の人々がようやく気づき始めたのは、
自分の子孫が平和で安定した世界で暮らせるためには、
すべての子供にそれを与えることだ。G8はまだ気づかない。
G8とは世界で最も富める国です。世界を仕切っている。
リーダーは米国ですが、実のところは各国の企業です。 政府は企業のために奉仕していますから。
次の大統領選の最終候補は共和党も民主党も
それぞれ数億ドルの資金をかき集めることになる。
献金するのはあなたや私ではない。
大企業を所有し、経営する人々だ。彼らが政府の恩恵を受けるのです。
G8とは多国籍大企業の利益を代表し、 彼らの要請に応える国の集まりです。 欧州でも中南米でも中東でも、大きな抵抗のうねりが起こっている。
このようなシステムに基く世界帝国への抗議の渦だ。
この帝国は巧妙に出来ていて人々は気づいていない。
軍事力ではなく、経済ヒットマンが築いた帝国です。
大抵のアメリカ人は我々の素晴らしいライフスタイルが
世界の人々を奴隷化し、虐待する邪悪な帝国のおかげと気づかない。
でも欧州や中南米を先頭に人々は気づき始めている。
9:07
この後コンゴやレバノン、中南米についてうかがいます。
「アメリカ帝国秘史」で取り上げられた国々です。
これ以上こんなことを我慢してはいけない。
「アメリカ帝国秘史」の著者、ジョン・パーキンス氏のお話です。
第3次中東戦争から、40年経ちます。
イスラエルを「中東の砦」と呼んでいますね。
不幸なことにイスラエル人の多くは
あの土地をホロコーストの代償に「与えられた」と信じ込まされた。 彼らはひどい目に遭ったし、保障と安心を約束されて当然だ。
だがなぜそれがアラブ世界の真ん中なのか?
伝統的な敵の土地を選んだのは、
最大の油田地帯の中心部に我々の砦を築くためです。 建国時から判っていた。
イスラエルの人々もひどく利用されてきた、
あれは我々が中東に築いた壮大な軍事基地なのです。 そのため、周りを取り囲む中東のアラブ社会から、
とてつもない恨みと反感を買ってしまった。
こんな状況からロクな結果は生まれません。
でもイスラエルの軍事拠点は、我々の防衛には重要なのです。
攻撃も仕掛けられる信頼できる拠点です。
かつて十字軍が建てた城砦に等しい。
こんな仕掛けにイスラエル人が囚われているのは痛ましい。 アメリカ人にも世界中の人にも悲しいことです。
11:07
あなたは、国家安全保障局の推薦を受け、
国際コンサルタントとして世界各地を飛び回る一方、
シャーマニズムやチベットの本も書かれていますね。
どう関連するのですか?
2年前チベットに行きました。
NPOの活動で30人ほどチベットに連れていった。
参加者の中には、以前アマゾンに一緒に旅した人たちもいた。
チベットは今暗い状況です。中国の存在が恐ろしく大きい。
チベットの文化は抑圧され、そこらじゅうに中国兵やスパイがいる。
でも我々の多くが気づいたのは、
確かにこの状況はひどいが、アマゾンで見たものとどこが違う?
米国が世界各地でしていることとそっくりじゃないかという事でした。
「チベット解放」の旗を振る前に、我々が踏み付けている国も考えよう。
こう言っては何なんですが、チベットはイラクよりずっとましだ。
無論、どっちも酷いけれど。
チベットの状況は我々が世界中でしていることと同じ構図です。
大抵の米国人には自分たちの人権侵害が見えない。
中国人がやっている時には気がつくのにね。
12:49
あなたは大金を稼ぎ世界中を旅行して、
大統領や首相と会い、彼らを屈服させる立場だったのに、
どんなことから自分が変わり、過去について書くことを決意を?
故郷のニューハンプシャー州は、清教徒の厳格なモラルが優勢です。
共和党支持の保守的な家庭で私は育ちました。
経済ヒットマンとして働いた頃、私はまだ若かった。
自分では気がとがめたが、皆が君の仕事は正しいと言う。
各国の指導者もマクナマラ世界銀行総裁も激励してくれた。
大学などで講演を頼まれることも多く法律を破ったわけでもない。
でも心の中ではいつも良心がうずいた。
平和部隊で見たものがだんだん深く理解出来てきた。
それにつれて続けるのがつらくなった。
50人近い部下を抱え、事業は拡大していましたけどね。
休暇にバージン諸島でヨット遊びをした時、
セントジョン島に船をつけ島の山に登りました。
砂糖きびプランテーションの日没、廃墟やブーゲンビリアが美しい。
静かな気持ちで座っていると突然ひらめいた。
このプランテーションは、無数の奴隷の死骸の上に築かれた。
それどころか南半球の全体が奴隷たちの屍を土台にしている。
怒りと悲しみがこみ上げましたが、
やがて、自分も同じだと気づいた。
私も奴隷商人だった。やり方が少し違うだけ。
巧妙で目立たないが、もたらす結果は同じだ。
もうこれっきりだと決意し、ボストンに戻り辞職しました。
15:17
お話は、ジョン・パーキンソンさん。
国際コンサルティング会社で働く「経済ヒットマン」だったと告白。
この後は辞職した後、告白までの話を聞きます。
ジョン・パーキンス氏は1971年から81年、国際コンサルティング会社に勤め、
「経済ヒットマン」として働いたと告白しています。
新著についてお話を伺っています。
中南米に移りましょう。シェブロンテキサコ訴訟とは?
非常に重要です。平和部隊で、1968年、エクアドルに赴任すると、
テキサコが進出したところでした。
テキサコや政府や世銀が住民に約束したのは、
石油による貧困からの脱出です。
人々はそれを信じた。私もです。
でも起こったことは正反対でした。
石油で国はさらに貧しくなり、テキサコは大儲けしました。
おまけにアマゾンの熱帯雨林も広範囲に破壊した。
ニューヨークとエクアドルの弁護士たちは、テキサコに対する訴訟を起こし、
賠償金60億ドルを請求しました。史上最大の環境訴訟です。
原告は3万のエクアドル人です。テキサコは今シェブロンの傘下です。
テキサコはエクアドルの熱帯雨林に大量の有害廃棄物を投棄した。
アラスカ沖のエクソン原油流出事故の30倍以上だ。
多数の人がなくなりました。ガンや公害関連疾患にかかり、
アマゾン流域では現在も死者が続いています。
石油が採掘されたこの土地は中南米でも最も貧しい地帯です。
あまりにも皮肉だ。
この件で1番注目されるのは、この法律事務所の態度です。
無料奉仕でなく、勝訴した時は巨額の弁護料をとるつもりです。
冷静な判断です。これで儲けたいわけではなく、
他の法律事務所にも真似して欲しいからです。
ナイジェリアやインドネシア、ボリビアやベネズエラなどでね。
こういう訴訟をビジネスとして拡大させたいのです。
第3世界の貧困層を弁護してその報酬は大企業に払わせる。
過去の酷い無責任と過失のツケとしてね。
アマゾン訴訟の弁護士から最近印象的な言葉を聞きました。
この誉れ高い弁護士が言うには、
「過ちを犯した企業が法廷で抗弁するのはよくあることだが、
テキサコの場合には過失ではない、承知の上でやったことだ。」
「はした金を惜しんで大勢の人を死なせた。
今そのツケを支払わされる。これを契機に多くの企業に
過去の不正や破壊の責任を取らせる道を開きたい。」
18:53
中南米ではエクアドルの故ハイメ・ロルドス大統領を
最初のご本で取り上げましたね。
彼は素晴らしい人物でした。
エクアドルでは、米国の傀儡による軍事独裁が長年続いた後、
民主選挙が行われました。 ロルドス氏は大統領に立候補し、
資源は国民のために使われるべきだと主張した。特に石油です。
私はエクアドルに派遣され、パナマのトリホス将軍も任された。
彼らを堕落させ、変節させるのが任務です。
ロルドスは大統領選で圧勝し、公約した政策を実行し始めました。
石油企業に課税し、利益をもっとエクアドル国民に還元しないなら、
石油事業を国有化すると脅した。
そこで私たちヒットマンが送り込まれた。
私はトリホス将軍を主に担当しました。 彼らが自分の公約に背くよう口説くのです。
「我々のやり方に従えば、君も家族も大金持ちになれる。
でも我々に背を向け公約を実行するなら、
チリのアジェンデやコンゴのルムンバ大統領の二の舞だ。」 言うことを聞かないので葬った元首の名はいくらでも並べられる。
でもロルドス大統領は寝返らず、賄賂もきかない。
トリホス将軍もです。
ヒットマンとしては、由々しき事態だ。私が任務に失敗するだけでなく、
悲劇が起こると判るからです。失敗すれば、「ジャッカル」が来る。 彼らを失脚させるか暗殺するでしょう。
この2人はどちらも暗殺された。私は確信しています。
1981年に相次いで飛行機事故で亡くなった。
それぞれ自家用機が墜落した。
21.10
トリホス将軍に何が起こったのですか?
彼も妥協せず米国に立ち向った。運河はパナマ国民のものだと唱えて。
彼とはよく一緒に過ごしました。個人的に好きだった。
カリスマ性があり、勇敢で、
国民の利益の拡大を願うナショナリストだった。
彼は買収できなかった。できる手はすべて打ったが。
失敗した時、私は彼の身を懸念しました。
ロルドス大統領が飛行機事故にあった時、
トリホス将軍は家族を集めて「次は私だ。」と言った。
「だが心残りはない。パナマ運河を取り返したのだから。」
パナマ運河の完全返還でカーター大統領と合意したのです。
「使命は果たした。いつ消えてもいい。」飛行機事故の夢を見たと言った。
ロルドスの墜落事故から2カ月してトリホスにも同じことが起こった。
22:21
2人に会ってどんな話をしたのですか?
トリホス将軍とは公式の場から、内輪のパーティーまでよく付き合った。
私は常に彼を寝返らせようとした。
こっちにつけば彼も家族もすごい富を得られると伝え、
警告もしたがその必要はなかった。
寝返らなければどうなるか彼にはわかっていた。
「生きているうちにできることをしたい。」という態度だ。
告白本を書いた後、ロルドス氏の娘が私に会いにきた。
最近、エクアドルでも会いましたが、
今では国会議員になっていて、トリホス将軍の甥と結婚した。
ロルドス氏が亡くなったのは、彼女が17歳の時でした。
夫人も同乗していたので、彼女は両親を1度に亡くした。
彼女の夫、つまりトリホス将軍の甥は、
あの家族会議の場にいたそうです。「次は私だ」と将軍が言った。
「国民のためにできることはした。何が起こってもいい」と。
23:47
他の経済ヒットマンとはどんな話を?
チャールズ・メーン社の主任コンサルタントーいえ主任エコノミストでしたね。
この連中とは一緒の時は、例えばホテルで同席した時など、
指導者たちを抱き込むのが任務とお互い分かっているが、
会話は表向きの仕事です。国の経済を調査して、
融資を受ければGNPが増加することを証明するとか、そういう話です。
2人のCIA職員が一緒にビールを飲んでいる場面を想像してください。
自分たちの任務の話などはせず、表向きの話ばかりするでしょう。
おまけに私の場合、表向きの仕事も深く関係していました。
世界銀行やトリホス将軍に向けて巨額の世銀融資を受ければ、
パナマのGNPは急上昇。貧困問題は解消すると予測する。
計量経済的な分析からもつじつまを合わせて立証します。
実際大抵は融資によってGNPは増加しました。
でも、ロルドス大統領やトリホス将軍が見通したように、
一般経済指標が好転しても、貧困層は借款でさらに貧しくなる。
儲けはすべて富裕層がさらって行く。貧民はGNPにさえ組み込まれない。
収入もなく、農業で自給する人々に国際融資が何になりますか。
でも借金のツケは回ります。
巨額の債務返済のため、教育や社会福祉が打ち切られる。
25:49
コンゴについては?
コンゴやアフリカの話は悲惨だ。知られていない事実です。
米国ではアフリカのことなど話しもしない。考えもしてない。
コンゴには、コルタンがある。聞いたこともない資源でしょうが、
携帯電話やノート型パソコンはすべてコルタンを使っています。
コルタンをめぐり、コンゴではこの数年で数百万人が殺された。
G8の国に住む我々が低価格の商品を要求するからです。 安いコンピューターや携帯が欲しいでしょう?
企業は消費者の需要に合わせようとする。
「他社より200ドルも安い」とね。
でも低価格の製品を生産するため、コンゴの人々は、奴隷にされる。 コルタン鉱山で労働者が殺され、周辺諸国と紛争になる。
安全な世界に住みたいなら、パソコンや携帯の価格を上げ、
コルタンを採掘する人々にも利益を還元しなければなりません。
石油も他の資源でもそうです。真の原価を払っていない。 そのために世界で数百万の人々が悲惨な目に遭う。
世界では1日に約5万人が飢餓のために死んでいます。
助かる病気でも薬がない。低賃金長時間労働を強いて、
米国で安い製品を売るシステムのせいです。
コンゴはその顕著な例です。
27:40
ベトナムやイラクでの「敗北」が企業に与える影響は?
あなたも私も「敗北」と見ています。 身内を亡くした人たちには大敗北でしょう。
でも企業は違う。
軍事産業や建設業などは、ベトナム戦争で大儲けした。
イラクではもっと大規模です。
だから企業中心のこの国では、イラク戦争の継続が唱えられる。
巨額の利益を得られるからです。
彼らはこの戦争で敗れていない。経済的には勝ち戦です。 シニカルに聞こえるでしょうかそういう体験をしたのです。
これ以上こんなことを我慢してはいけない。
28:42
ジョン・パーキンス氏は最近エコノミック・ヒットマン第2弾
「アメリカ帝国秘史」を出しました。
前作「経済ヒットマンの告白」は全米で大ベストセラーになりました。
辞職なさったとはいえそれを本に書くのは別の話です。
執筆までの経緯をお話下さい。
会社を辞めて何度かこのことを本に書こうとしました。
元の同僚やジャッカルに連絡し、彼らの話を聴こうとしたが、
その度に脅迫されました。娘はまだ子供だった。
賄賂をもらったこともある。50万ドルほど受け取りました。
合法的な手法でしたが買収は買収です。
例の本を書かないと言う条件で提供されたのは明白でした。
私は罪悪感からその金の多くをNPO設立につぎ込みました。
石油企業と戦うアマゾンの人々を支援しています。
罪滅ぼしです。でも本は書かなかった。
同じことは何度も起こり、その度に言い訳を考えた。
先住民と一緒に働きシャーマニズムの本も書いた。
そうやって罪の意識をごまかしていたのです。
9.11テロ事件が起こった時、NPOをつれてアマゾンにいた。
すぐニューヨークに飛んで被災の現場に行った。 がれきからは煙が昇り、肉の焼ける臭いがした。
やはりあの本を書かねば、アメリカ人には判っていない。
なぜこれほど世界中から憎まれ恐れられているかが。 9.11の出来事に私は責任がある。私たち皆がそうだ。
だからと言って大量殺人を容認するのではありませんが、
米国人に世界の怒りを判らせたい。あのことを書かなくては。 今度は本を書いていることを秘密にした。妻や娘にも。
どの人間にも連絡を取らず。
執筆は少し難しくなりましたが、
何とかニューヨークの出版エージェントに原稿を手渡すことができた。
この原稿が私の保険証書となりました。 私の身に何か起これば本が売れる。
すでにベストセラーですがそれ以上にね。
「出版社に気をつけたまえ、君を殺せば本が売れる。」
なんて冷やかされますが、
本を書き上げた時、それが私の保険になった。
32:08
ジャック・コービンについて「ジャッカル誕生」と記していますね。
コービンは偽名ですが実在します。
今はイラクで米国に雇われている。
彼はジャッカル、殺し屋です。
彼の身にまつわる面白い話は、アフリカ沖のセイシェル諸島です。
米空軍の戦略基地のあるディエゴ・ガルシア島に近い。
70年代末のセイシェル大統領マンカムは大の親米派だったが、
彼を倒した社会主義者ルネ大統領は米軍の撤退を望んだ。
撤退しなければ基地にまつわる醜聞を暴露すると脅した。
私はワシントンに呼ばれ退役将校たちと会った。
うちのお得意様です。私をセイシェルに送り込み、
ルネ大統領を抱き込ませる計画でした。
だが彼は賄賂の効く人間か?
退役将校の一人に若い部下がいて、
セイシェルの駐米外交官に欲求不満の若妻がいるので、
部下に彼女を誘惑させ、ルネ大統領の人柄を探ろうとした。
よくある手口ですよ。セックスはこの世界では大きな餌だ。
昼食を共にした時に、その退役将校が言うには、
「君らの仕事は相手が女だとずっと厄介だね。」
「あの外交官夫人は愛してくれなきゃ嫌だと言う。
私はセックスのためなら軍事秘密も漏らそうが、愛してくれと言わないよ。
男と女の違いだね。」どうでしょうね。
とにかく彼の子分は夫人から情報を得た。
ルネ大統領には賄賂は効かない。やるだけ無駄だと。
34:35
ディエゴ・ガルシアは軍事拠点として重要ですね。
アフガニスタン攻撃にもイラク戦争にも使われている。
アフリカに飛ぶ時も不可欠だ。
ともかく私の出る幕はないと判り、
やがて暗殺チームが送られた。
南アから40~50人が親善目的のラグビー・チームを装っていたが、
真の仕事は政権転覆とルネ暗殺だった。
コービンもそこにいた。当時は彼を知らなかったが、
今では親しくしています。セイシェルが最初の出会いでした。
35:24
彼はそこで何を?
彼らは空港で見破られてしまった。隠し持った武器を係が発見した。
大規模な銃撃戦になった。空港は数千の兵士に取り囲まれた。
この時はさすがに死を覚悟したとコービンは言った。
珍しくそれを考える余裕があったとね。
途方に暮れていると、エアインディア機が目に入った。
着陸申請してきたので許可を与え、到着と同時に乗っ取り、
その飛行機で南アのダーバンに戻りました。
その事件は米国のメディアが伝え、私はそれを見ていた。
セイシェル行きキャンセル後の事件の展開をそれで知った。
ダーバンに着いたハイジャック機は南ア治安部隊に包囲され、
ハイジャッカーたちは投降し、裁判にかけられた。
禁固や死刑の判決を受けた。一般にはそう伝えられている。
でも、コービンによれば、機内に乗り込んだ治安部隊は
そこで友人や教官を発見した。
すぐ話がつき、殺し屋たちは投降し、刑務所で数カ月を過ごした。
テレビ付きの特別房でね。3カ月後にこっそり釈放された。
その時とほぼ同じメンツが現在イラクで働いています。
米正規軍には禁じられた活動をするためにね。
37:10
コービンという人物も現在イラクに?
彼はペンタゴンやCIAと契約した民間請負業者に雇われている。
この番組でも報道したようにイラクには、数多の傭兵がいます。
コービンらは傭兵たちの最高峰で、超困難な任務に当たる。
ブラックウォーターなど警備会社の職員はそこまで熟練していない。
あらゆる種類の連中がいる。
37:46
ボリビアとベクテル社に絡む「水戦争」についてお話し下さい。
ベクテル社はコチャバンバ市の水道事業の独占権を与えられた。
ボリビア第3の大都市です。
世界銀行が強制したのです。情けない話だ。
民営化により水道料金が4倍にも値上がりしました。
水が買えない人々が続出した。コチャバンバにはスラムがある。
抗議のデモが始まり、暴動も起こりました。
ベクテルは押し切ろうとしましたが、結局ボリビア民衆に追い出された。
ベクテルはボリビア政府に5000万ドルの賠償を求めて、
欧州の裁判所に提訴しました。米国では訴えられなかったので。
エボ・モラレスがボリビア大統領に選出されると、
ベクテルは訴訟を取り下げました。
ベクテルが求めたのは、「利益損失」の補償でした。
ボリビアを追われたのは、住民に負担を強いたためだと判っていない。
39:08
どんな解決があるのですが?
我々が築いた「帝国」には、皇帝がいます。
米国の大統領ではない。彼には任期がある。
政府や議会が民主党だろうが共和党だろうが関係ない。
帝国を動かしているのは企業利害だからです。
大企業を経営する人たちの集合体です。 陰謀説ではありません。謀議などいらないのです。
国民の意思に基づかない点で、彼らは皇帝に等しい。
民主的に選ばれず任期の限定もない。
取締役会にしか責任を負わず、大抵は経営者が役員会を牛耳る。
彼らは真の権力者です。 関係を逆転させたいのなら、
彼らへの強い影響力を持たねば。
それには「企業」の見直しがいる。
企業の存在理由は主に投資家への利益の還元です。
四半期ベースの短期的な視野で少数の金持ちをさらに肥やすことだ。
だがそうである理由はない。 企業法人は人格を認められている個人と同じ「良き市民」の義務がある。
第1の目標は従業員への責任であるべきです。
顧客にも、また企業が活動する環境や資源を支える人々にも、
その人たちの地域社会や環境にも責任がある。 企業に自らの見直しを促すことが私たちにできる現実的な対応です。
企業の幹部たちは馬鹿ではない。
自分が経営するシステムの欠陥には気づいています。 経済人として理性的であればそう判断するしかないのです。
米国に住む世界人口の5%が世界の資源の25%を消費し、
世界の汚染の30%を生み出す。
どう見ても欠陥のある破綻をしたシステムです。 こんな経済モデルを中国やインド、アフリカや中東や中南米に
売り込めるわけがない。
私たちだって持ちこたえられない。変更が必要です。
経営者たちにも判っている。変化を期待しているはずです。
私たちが本気で改革を迫った時、いつも大成功を収めてきました。
70年代米国の河川汚濁に対し、企業に汚染対策を実施させた。
オゾン層を破るエアゾールの禁止や、マイノリティーや女性の機会均等をも。
シートベルトなどの義務化も企業は最初抵抗したが、
目標を持って働きかければ大きく変わってきました。
彼らを説得するのが私たちの義務なのです。
企業はより良き社会をもたらすための機関であって、
ひとにぎりの富裕層に奉仕する利殖の装置ではないと。
この逆転が必要です。
42:45
最後に一つ エクアドルのラリバ国防相の事故死について。
昨年末、米空軍基地付近でヘリコプターが墜落しました。
エクアドルはその話でもちきりです。
ロルドス暗殺前に国防相がよく似た事故で亡くなりましたから、
米空軍基地の隣でヘリコプター同士が衝突した。
エクアドルの人々がロルドスの暗殺と絡めて噂するのは、
それが現職のコレア大統領への警告であろうと言うことです。
ジョン・パーキンスさん、ありがとうございました。
新刊「アメリカ帝国秘史」についてお話をうかがいました。
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