なぜ撤廃 司法試験「合格目標3000人」4月9日 20時52分
司法試験の合格者について3000人とした政府の目標が撤廃されました。背景には、年間の合格者が目標に達していないことに加え、弁護士の仕事の領域が当初の計画ほど広がらなかったことがあります。
国の司法制度改革は、社会の複雑化にともない法律家への需要が高まるとして、全国で十分な法サービスが受けられるよう質の高い法律家を増やそうと進められました。
司法試験の年間の合格者は、平成元年ごろまで500人前後で推移していましたが、その後、増加し、平成14年には3000人とする目標が閣議決定されました。
しかし、最も多かった平成20年の2209人で頭打ちとなり、目標には達しませんでした。
一方で、急激な増員によって法律家の就職難が課題として浮かびました。
日弁連=日本弁護士連合会によりますと、去年、司法研修所を卒業した人のうち、これまでで最も多い157人が法律事務所に就職できないなどとして、先月までに弁護士としての登録を見送っています。
日弁連は、仕事の領域を広げようと弁護士を自治体の職員として採用するための説明会を開くなどの取り組みを行っていますが、当初の計画ほど広がっていません。
現在の制度では司法試験を受験するためには、原則、法科大学院に2年から3年、通わなければなりませんが、合格者が政府の目標に達しないうえ、就職が厳しいことから法科大学院の志願者は減り続けています。
全国の法科大学院を合わせると4分の1まで減少し、学生の募集を取りやめたり取りやめを決めたりした法科大学院は6校に上っています。
今回、合格者数の目標が撤廃されたことについて専門家は、改革をやめることではないと指摘します。
「従来のような法廷で活動するだけが仕事だというイメージを法律家自身も社会も変えていかなければならない。法律家による支援が望まれている場も出てきており今後もペースを緩やかにして法律家を増やすことが必要ととらえるべきだ」。
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