ここから本文です
最終更新:2013年4月9日(火) 18時44分

イラク戦争の爪痕、原油で経済成長の一方で格差も

 2003年、中東イラクのサダム・フセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っているとして、アメリカを中心とした多国籍軍が攻撃を開始。日本も、当時の小泉政権がこれを支持しました。ところが、その後の調査で大量破壊兵器は発見されず、アメリカも公式に誤りを認めました。4月9日は首都バグダッドが陥落してフセイン政権が崩壊した日からちょうど10年に当たります。

 現在、イラクは豊富な原油を背景に経済成長を続けているんですが、一方で格差も開いてきています。イラクの首都バグダッドは、今、どんな様子なのでしょうか。

 生け簀の鯉をその場で開いてあぶる伝統料理「マスグーフ」。昔からの変わらぬ風景の横では、バグダッドの変化を感じることができます。

 「これはポルシェです。9万ドルですね」(車のディーラー)

 高級外車を扱うこのショールームでは、年々、売り上げが伸びていると言います。
 「イラクは豊かな国ですからね。ここの人たちは、高級車を買うお金くらいありますよ」(車のディーラー)

 イラクはここ数年、10%を超える経済成長率を保つと見られています。そもそも、原油の埋蔵量は世界有数。治安の回復と共に投資も盛んになっています。しかし、そんな流れに取り残されている人たちもいます。

 アリーさん一家は、イラク戦争後の混乱で家具塗装の仕事と住む家を失い、2年前、ここへ流れ着きました。3人の幼い子供がいます。
 「テレビもない冷蔵庫もない。 子どもたちは他の家のトイレに行かせます」(アリーさん)

 アリーさんは、イスラム教のシーア派。シーア派を弾圧したスンニ派のフセイン政権に代わって、現在はシーア派のマリキ首相が政権を握っています。それでもアリーさんは、「フセイン時代のほうが良かった」と言い切ります。

 「フセインは国民を飢えさせることはなかった。イラクは豊かな国なんです。あれだけ戦争や紛争があったのに、それでも金持ちな国なんです。 なのに我々には何もありません」 (アリーさん)

 独裁体制が欧米の武力行使で終わって10年。国の未来像は、まだぼんやりとしか見えません。(09日17:23)

2013年4月9日(火)のニュース一覧

社会

政治

経済

国際

列島トピックス