東日本大震災:福島第1原発事故 除染作業員被ばく管理、手帳なくマスクも自前「デタラメ横行」 /福島

毎日新聞 2013年03月05日 地方版

 環境省が事業者への指示を徹底せず、作業員の被ばく線量データが公益財団法人「放射線影響協会」(放影協)に全く届いていない福島第1原発周辺の国直轄除染。「野放し」ともいえる現状に、将来の健康不安を抱える作業員たちは「現場ではデタラメが横行している。国がきちんと指導してほしい」と訴える。

 県内に住む男性(60)は昨年10月から約1カ月、田村市で環境省直轄の除染に従事した。雇用主である埼玉県の業者は3次下請け。支給品はなく、自分で買った市販のマスクをつけ草刈りをした。業者から離職時には放射線管理手帳は渡されず、外部被ばく線量の告知もなかった。線量データが放影協に送られた形跡もない。手帳の交付は環境省が事業者に求めており、線量告知は労働安全衛生法の規則が被ばく上限値とともに定めている。

 この業者を巡っては、男性ら20人以上が同様の扱いを受けたと主張。業者は取材に「手帳の手続きは順次進めている。線量管理は担当者が辞めたため調査中だ」と回答した。

 男性は昨年1〜3月には広野町でも別の会社で町発注の除染事業に従事。やはり線量は知らされていない。「一体どのくらい被ばくしたのか分からない」と訴える。

 同省直轄除染に昨年から従事する秋田県の男性(48)は「個人事業主」扱いで下請け会社と契約を結ばされた。労働者ではないため労安法の保護対象外だ。「デタラメが横行しているのに、会社は形だけ取り繕い国の指導は全然行き届いていない」と憤る。

 「野放し」の背景に縦割り行政がある。労安法は厚生労働省所管で「一義的には労働局の話」と環境省福島環境再生事務所の幹部。福島労働局は、線量を記録する放射線管理手帳に関し「所管外で、事業者に取得を指導していない」。両者のはざまで、作業員の被ばく管理は宙に浮いている。【関谷俊介】

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