(2013年4月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
大きな期待を背負って登板した黒田東彦氏〔AFPBB News〕
黒田東彦氏が日銀総裁として初の金融政策決定会合に臨む前から富士山並みに大きな期待が膨らんでおり、市場は失望を覚悟していた。
日銀の門から現金でいっぱいのトラックを送り出すことを除けば、積極的な追加金融緩和を予想して円を売り、株を買っていたトレーダーたちを満足させるために黒田総裁にできることはほとんどないように思えた。
蓋を開けてみると、黒田総裁は大方の人が予想していた以上のことを行った。トラックの荷台からカネをばらまいたわけではないが、黒田氏は中央銀行総裁があえて挑むだろう限界ギリギリのことをやった。
圧倒的な支持を得て急進的な対策を打ち出した新総裁
同じくらい重要なのは、黒田氏が政策委員会の9人の委員の圧倒的な支持を得て、それをやってのけたことだ。
黒田氏は、国債の買い入れと日本のマネタリーベースを2倍にするという日銀の公約を「異次元の金融緩和」と呼んだ。量的緩和はもはや、日銀のバランスシートのうち、分離されて一時的に見える部分に追いやられることはない。これからは量的緩和が日銀の行動の中核を成すと黒田氏は言っているようだ。
決定会合が行われる前の大きな疑問は、新総裁が急進的な対策にどれだけ多くの支持を集められるか、ということだった。政策委員会の大半の委員は、黒田氏よりタカ派の白川方明前総裁の下で働いており、少なくとも何人かは全面的なレジームチェンジ(体制転換)に二の足を踏むのではないかと懸念されていた。
元財務官僚で直近はアジア開発銀行総裁を務めていた黒田氏が直面したデリケートな課題は、亀裂を生むことなく自分の意見を通すことだった。例えば、より積極的な金融緩和を進める黒田氏の計画がぎりぎりの過半数で支持されていたら、黒田氏が最初から、できることの限界に達したという合図を送っていたかもしれない。
そうなっていたら、黒田氏が懸命に築こうとしてきたインフレ期待は、彼の計画が完全に否決された場合と同様に消え去っていた可能性があった。多くの人は、黒田氏がコンセンサスを得るために、提案内容を縮小するか、将来の会合のために一部を温存すると思っていた。
「タイミングはサプライズだったし、その規模は予想を超えていた」とクレディ・スイス証券のアナリスト、白川浩道氏は言う。
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