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国会活動2004年
2004年3月18日(木)
内閣委員会
国務大臣の所信に対する質疑(内閣の重要政策及び警察等に関する調査)
神本美恵子参議院議員(以下、神本議員)
この委員会で、内閣委員会での質問は初めてでありますけれども、よろしくお願いします。民主党の神本美恵子でございます。

21世紀は平和と人権の世紀ということが人類、これは人類共通の本当にどれだけ大きな願いを持って21世紀を迎えたことだろうと思いますけれども、じゃ、翻って現実はどうなのか。こんなはずではなかったという思いが、これもまた世界各国で皆さんが思っていることではないでしょうか。

先ほどからテロのお話もございましたけれども、イラクの現状、もう忘れ掛けられようとしているアフガニスタン、それからスペインやロシアでの本当に大きな大規模なテロというような今現状にございますけれども、特に20世紀の後半、80年代ごろからと、70年代ごろからと思いますが、国連を中心に人権にかかわる大きな国際的なうねりがございました。その流れの中で、日本も、女子差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約、これらを批准しながら人権の確立にむけて真剣に取組を進めてきたと思います。

その中の一つとして、人権教育のための国連10年というのがございましたけれども、1995年からちょうど10年目、今年が最終年を迎えることになっております。この最終年を迎えるに当たって、日本は、国内的には内閣にこの10年の推進本部を設置して、総理大臣を本部長とする国内行動計画を作り、10年間取組を進められてこられたわけですけれども、一言でこの10年の取組を評価するというのは大変難しいかもしれませんけれども、最終年に当たって、国内的なこの10年の取組の成果と、それから残された課題、これからの課題、また同時に国際的に加盟国における取組の、これは概括的なものしかお聞きできないかもしれませんけれども、成果と課題というふうなものをどのようにとらえていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
福田康夫・内閣官房長官(以下、福田官房長官)
福田官房長官
福田官房長官
平成9年7月に人権教育のための国連10年に関する国内行動計画を策定いたしました。もう既に6年が経過いたしました。この間に、この行動計画に基づきまして関係府省において所要の施策が着実に推進されてきているものと認識をいたしております。

今後とも、この国内行動計画に基づいて人権という普遍的な文化を構築するために、更に一層の推進に努めていかなければいけない、これが課題であると考えております。いいですか。
齋木昭隆・外務省アジア大洋州局審議官(以下、齋木審議官)
齋木審議官
齋木審議官
お尋ねの国際的な成果につきましてでございますけれども、1995年以来、この国連人権教育の10年ということで、毎年国連の人権委員会それから国連総会の第3委員会で決議が出されて、無投票で採択されてきております。その中で、国、国際機関それからNGO等々に対しまして、人権教育に資するようないろんな活動を行うようにということを慫慂するということが述べられておりまして、これは日本も、先ほどの官房長官の御発言がありましたけれども、人権教育の重要性ということでこれに同意しておりますので、そういう趣旨に賛同して様々な措置を講じてきております。

国際社会におきましては、この人権教育の10年ということで、それぞれの国で人権教育の必要性、これに関する認識が高まったという見解が表明されておりますし、また、人権教育、これは長期的に取り組まなきゃいけない課題であると、これまでの10年間だけの取組では必ずしも十分ではないということ、また人権教育のやり方、手法でございますけれども、それを検討すること等々、各国における人権教育の在り方につきまして様々な課題が依然として残されているという、そういう認識があるというふうに理解しております。日本としましても、その各国の認識を共有する面がございます。
神本議員
この国連10年の取組の国内行動計画の中には、重要課題ということで課題が明確に列記されております。女性に関するもの、子ども、高齢者、障がい者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人、これらは重要課題としてそれぞれの人権課題にとりくんでいくということが明記されているんですけれども、それと特定職業従事者、これには私たち議員も入ります。権力を持つ立場にある人間に対する人権教育がいかに重要であるかということが書かれているわけですけれども、先ほど、官房長官は着実に進めておりますという、大変そのまま受け取れば非常に力強いお言葉だったんですけれども、じゃ、その結果がどうなのかということについては、まだまだ様々な課題が、この取組によって問題がより明らかになってきたというような点もあると思います。

そういう意味では、例えば、つい先日、数か月前ですけれども、熊本のホテルにおけるハンセン病回復者の宿泊拒否、その後の恵楓園への抗議あるいは差別ファクスや手紙が集中しているというふうな問題も聞いております。これはほんの一例ですけれども、こういった人権侵害や差別といったものが頻発している今の国内の状況を見たときに、この人権10年は是非第二次の取組が必要ではないかというふうに私は思っております。

今、外務省の方からは十分ではない、長期的な取組が必要だというふうに御答弁いただきましたけれども、現在、その第二次10年への取組として政府内ではどのような議論が進められているんでしょうか、お伺いします。
齋木審議官
先ほど御答弁申し上げましたように、まず今までの10年間、これ間もなく終わるわけでございますけれども、その10年間の人権教育のための様々なこれを受けまして、決議を受けましての様々な国内のプログラムというものを実施してきておるわけでございますけれども、この10年間が終わるまず今年、今年終わりますけれども、この最初の10年間で我々が掲げた様々な課題、これをしっかりとやっていくことが重要であろうというふうに思っております。

それからまた、今後の話、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず国連で次また10年間やるということの必要性といったものが、多くの国々の間でそういう認識が共有されつつあるように私ども聞いておりますので、そういった国々とよく連携を取りながら、次の10年ということで、人権教育のための次の10年と、第二次の10年ということを推進していく、そういう機運が高まりつつあるかと思いますので、よく連携を取りながらそういう流れに沿った方向で外務省としてできる限りのことをしてまいりたいと思っております。
神本議員
今、国際的な流れに沿って連携してやっていきたいということですので、それは第二次10年にむけて前むきにやっていくというふうに受け止めていいんでしょうか、積極的な役割を果たしていくという。
齋木審議官
先ほど申し上げましたように、最初の10年間を終えて、各国がどういうふうにこの10年間を評価しているかということを今いろんな国に国連の方から問い合わせをして、その結果を今集計しつつあるということだというふうに理解しておりますけれども、半分、半数ぐらいの国々は非常に前むきに評価をしておりますし、また先ほど申し上げたように、今までの10年間だけでは必ずしも十分でないという認識もございますので、そういう流れが今できつつあるのかなというふうに思いますので、よく関係各国とも連係プレーを取りながら、そういった流れに沿った方向で対応していくと、こういうことでございます。
神本議員
神本議員
是非、日本政府として流れを作っていく役割を果たしていただきたいということを御要望しておきたいと思います。

次に、先ほど岡崎委員の方からも御質問がありました従軍慰安婦問題について幾つかお伺いをしたいと思います。
この問題については本当に長い間、被害者の方たち、元従軍慰安婦の方たちが悲痛な叫びを上げて様々なところで必死の声を上げていらっしゃるにもかかわらず、なかなか日本政府としてそういった声を受け止めた措置が取られていないということに対して、私もこの問題、初めてここで御質問しますけれども、非常に残念な思いをしながら、何とかしなければということを感じていることをまず冒頭申し上げたいと思います。

アジア女性基金の償い金事業ということで、これは2002年の5月に終了しましたけれども、この償い事業の対象となったのは、償い金の支給は韓国、フィリピン、台湾の元慰安婦の方たちに対して行われていますけれども、政府が調査しました93年8月の調査結果においては、朝鮮半島、中国の出身の慰安婦の方も中に挙げられております。

このアジア女性基金の償い金事業、これはこれ自体も私はこれでよしとはしないわけですけれども、この中国や北朝鮮の元慰安婦の方のように、この方たちは対象になって、対象というか、償い金を受け取る対象になっていらっしゃいませんけれども、このような取り残された元慰安婦の方たちに対する政府の取組が必要だと思うんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
齋木審議官
いわゆる従軍慰安婦の問題でございますけれども、これは法的な解決という観点から申しますと、サンフランシスコの平和条約、それから日本が戦後の処理で各国と2国間で結びました平和条約、その他関連する条約等々の間で、賠償の話、それから財産請求権の問題、これは解決済みであるという立場でございます。

したがって、先ほど委員がおっしゃったような形で、つまり、アジア女性基金というものを設けて、それを通じて対応していくことが最も適切であり最善の方法ではないかというふうに判断をいたしまして、これまで政府としてもこの基金の事業に対してできる限りの協力を行ってまいったわけでございます。

アジアの、アジア女性基金でございますけれども、これは関係する国や地域、こういったところの政府当局又はそういったところから委託を受けたいろいろな団体、関係団体があるわけでございますけれども、そういった団体によりまして、認定を受けた元慰安婦の方々に対して償い金といった事業を実施してきているわけでございます。

中国でございますけれども、これは元慰安婦の方々の認定が実は行われていないというふうに私ども理解しております。ただ、いずれにいたしましても、このいわゆる従軍慰安婦の問題を含めまして、第二次世界大戦にかかわる日中間、日本と中国の間の請求権の問題、これは1972年の日中共同声明を出して以降存在していないということで、こういう認識は中国側も共有しているというふうに私どもは理解しております。

また、朝鮮半島、特に北朝鮮のことに言及ございましたけれども、これは日朝平壌宣言がございまして、この中で、双方は、国交正常化を重視するに当たっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則というふうに明記してございまして、いわゆる従軍慰安婦の問題につきましては、この日朝平壌宣言の基本原則に従って日朝国交正常化交渉の中で協議されるべきものであるというふうに考えております。
神本議員
サンフランシスコ講和条約や2国間の条約、協定等で解決済みという今御答弁でしたけれども、例えば1951年当時、この条約を締結すると、締結交渉のときに慰安婦問題というのはその存在は認識されていたんでしょうか。
齋木審議官
サンフランシスコ平和条約、これの締結交渉、それから2国間でいろいろな平和条約の締結をやっておったその当時でございますけれども、このいわゆる従軍慰安婦問題が一般的にどういうふうに認識されていたのかということを今の時点から振り返って説明するというのはなかなか、資料が実は散逸しているということもございますものですから、困難な面がございます。

ただ、先ほどの繰り返しで大変恐縮でございますけれども、第二次大戦中の様々な賠償、財産請求権の問題、これはサンフランシスコの平和条約、それからその他の2国間の平和条約等々で一括して解決して、一日も早く戦後の正常な国と国の関係を回復して発展させていこうという、そういう機運が当時高まっていたということははっきり言えるのではないかというふうに考えております。
神本議員
一般的に認識していたかどうかは定かでないという、一般的にではなくて政府として、その締結交渉のときに、慰安婦問題を認識した中で、それも含んで交渉されたのかということをお聞きしたいんです。
齋木審議官
いわゆる従軍慰安婦の問題についてどういう認識で交渉していたかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、当時の資料というのが必ずしも十分にないものでもございますので、それを今の段階でどういう認識であったかということについて御説明するのは非常に難しいということを申し上げたわけでございます。
神本議員
じゃ、認識していたかいなかったかも分からないということですか。その資料じゃなくて、つい、1950年代ですから、そんなに古い話ではないと思うんですけれども。
齋木審議官
繰り返しで大変恐縮でございますけれども、政府としましては、当時、この問題も含めて、今から考えると、慰安婦問題というのが当時あったということで、そのときのそれぞれの国との間のその賠償、財産請求権、こういった問題については法的には少なくとももう一括して解決するという、そういう立場で臨んでおったわけでございますから、したがって、そういう一括を解決した上で正常な国と国の関係を作っていこうという、そういう機運の中で処理しておったというふうに認識しております。
神本議員
ちょっと、答弁の意味が私にはちょっとよく理解できないんですけれども、この講和条約や2国間協定、条約が、私は想定していなかったのではないかと思うんですね、この締結交渉のときには。そういう人権侵害が従軍慰安婦問題として行われていたと、そのことは、事実はその後明らかになっていきましたよね。80年代ごろからたしか専門家によるそういった書物が出たりしていましたし、91年に被害当事者の方が名のりを上げられて初めてはっきりみんなに認識されたんではないかと思いますけれども、この慰安婦の強制連行については福田官房長官も、2002年3月のこの内閣委員会で岡崎委員の質問に対して、非人道的行為とそれに対する罪というふうに御答弁されております。

神本議員
また、国際刑事裁判所、これは日本は批准まだしておりませんけれども、その規定を見ても、それから68年の国連総会で採択された戦争犯罪及び人道に対する罪への時効不適用に関する条約なども存在するように、国際法上、これは人道に対する罪であるし、その罪には時効がないというふうに一般的に解されているというふうに私は理解しております。

この慰安婦に対する非人道的行為、それから人道に対する罪に対して何らかの措置を取るべきだというふうに思いますけれども、今後、政府としてどのような取組をされるのか。

これ、昨年の4月に東京地裁で判決が出されたんですが、中国山西省の元慰安婦の方からの訴訟に対する判決です。判決そのものは原告の敗訴に終わっておりますけれども、その中で、立法的、行政的な解決を図ることは十分に可能として、現実的な解決を求める異例の付言をしたと。それから、裁判長は、日本兵の著しく常軌を逸した卑劣な蛮行は、被害者らに今でもいやされない深い傷を残したとして、司法的解決とは別に被害者に慰謝をもたらす方向で解決されることが望まれるというふうに判決の中で述べられております。

こういったことも考え合わせながら、是非日本政府としての何らかの、この人道に対する罪への措置を官房長官にお伺いしたいと思います。
福田官房長官
これは、先ほど来外務省から答弁がございますように、この問題は法的には解決済みということになっているわけです。これは、それはもうよく御承知のとおりでございますが、その上でもって、先ほど私の答弁を引用されましたけれども、この謝罪の気持ちについて私がそういうことを言ったと。その罪については、質問があって、それに答えて、「一言で申し上げれば、非人道的行為とそれに対する罪」と、こういうふうに申し上げたわけであり、要するにそういう法的な、法的な解決は済んでおるという前提の上でもって、一般的なその言葉として罪という言葉を使ったかもしれませんけれども、それを、だからといってこれが法的な裏付けだと、そういうことではないんです。道義的な意味でもってそういう言葉を使ったかもしれません。

我が国は、このサンフランシスコ平和条約、それから2国間の平和条約及びその他関連する条約等に従って誠実に対応をしてきております。そして、この法的な問題については解決済みであるということはもう再三申し上げているとおりでございます。
神本議員
先ほど判決を御紹介しましたけれども、司法とは別のところで解決をされることが望まれるというふうな判決も出ております。また、野党共同で戦時性的強制被害者の解決促進法案もまた今国会に提出をして立法的に何とかしようという私たちの動きもございます。行政として、政府として、これはきちんと、官房長官は先ほど、非人道的行為とそれに対する罪という、確かにそういう文言での御答弁でありますので、人道に対する罪という使い方はされていないんですが、そこはちょっと意味が違うんでしょうか。それに対する罪というのと人道に対する罪というのは。
福田官房長官
ちょっとそのときのその発言内容、私よく覚えていませんけれども、要するにそういう行為は一般的に非人道的な行為であると、こういうことを言ったわけでありまして、これが仮に非人道的だといって、それについては我が国としては法的な解決も済んでおるし、また、そういういろいろな問題提起がありまして、アジア女性基金と、こういうような制度でもって対応するということが最も適切だと、こういうふうなことで、この基金の事業に対して最大限の協力をしてきたと、そういう経緯がございます。
神本議員
頑としてもう解決済みというところが変わらないようですけれども、昨年の7月に女子差別撤廃委員会が最終コメントを出しております。その中でも、締約国がこの問題を最終的に解決するための方策を見いだす努力を行うことということで勧告をしております。

先ほど岡崎委員も来年は戦後60年だということでお話がありましたけれども、一つの大きな節目になると思います。日本は、私も余り伝統文化知りませんけれども、還暦といって60年といえば50年とはまた違った意味で一つの大きな節目という日本文化もあると思います。その60年、被害当事者の方々は本当に80歳を超えて、支援している方から聞けば、毎日訃報が届くというようなお話も聞いております。そういう状況の中で、法的には解決済みというような姿勢を言い続けるのではなくて、国際的なこういう勧告も踏まえながら、是非とも元慰安婦の方たちが求めている法的解決にむけて努力をしていただきたい。もうこれはこれ以上聞いても官房長官からはいいお答えはないと思いますので、今日はこのくらいに、この問題についてはこのくらいにしておきたいと思います。

残った時間がもうわずかになりました。もうなくなったんですね。──13分まで。分かりました。じゃ、残された課題はまた後日御質問させていただきたいと思います。終わります。
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