県内で飲酒運転の摘発件数が増えている。県警によると、今年1月から3月までの摘発件数は137件で、前年同期比で21件増加。飲酒運転の厳罰化に伴い、減少が続いていた摘発件数が増加に転じた格好だ。交通指導課は「飲酒運転に対する罪の意識が薄くなっている」と警鐘を鳴らしている。
数台ずつ車両を止め、アルコール検知器をかざす熊本南署員ら=2012年12、熊本市
同課によると、2012年の飲酒運転の摘発件数は586件で、10年前の約4分の1。06年8月に福岡市で幼児3人が亡くなった事故を受け、飲酒運転への罰則が強化された翌年の07年に半減し、その後も減少傾向が続いていた。
今年摘発された137件の内訳は、酒酔い運転8件、酒気帯び運転129件。今年1月には、飲酒運転による死亡自損事故も発生しているが、悪質な摘発例は後を絶たないという。7日夜、酒気帯び運転容疑で山鹿署に現行犯逮捕された会社員の男(33)は「運転しながら缶ビールを飲んだ」と供述している。
県警がまとめた今年2月の摘発(92件)の分析によると、飲酒運転の理由で最も多かったのは「取り締まりに合わないと思った」で52%。次いで「他の交通機関を利用するのが面倒だから」が13%だった。「タクシーや代行の料金を払うのが惜しい」「取り締まりに合ったら逃げればいいと思った」など、悪質な回答もあった。
飲酒運転への罰則強化では、02年に摘発対象のアルコール濃度を拡大。07年には刑法に自動車運転過失致死傷罪が新設され、道交法改正で飲酒運転の罰則を引き上げた。
さらに今国会では、飲酒運転などによる事故で最高刑懲役15年の罪を新設する法改正もされる見通しだ。
6日に始まった「春の全国交通安全運動」は、重点項目に「飲酒運転根絶」を掲げる。県警は「取り締まりを強化し、啓発活動にも力を入れていく」と話している。(久保田尚之)
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