巨人のルーキー菅野智之投手(23=東海大)が6日の中日戦(東京ドーム)に先発し8回を4失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。打線はロペス、ボウカーが2試合連続アベック弾を放つなど効率的に得点を重ね、力投するルーキーを効果的に援護。これでチームは開幕から引き分けを挟み負けなしの6連勝。開幕3カード目にして早くも独走態勢を固めつつある。
「去年1年我慢して、ここまで来れました。本当にうれしいです。改めてジャイアンツに入って良かったと思います」 お立ち台で第一声を終えた背番号19は、ほんの一瞬言葉を詰まらせた。大観衆の視線を一身に受けて立つステージ。想像していた以上に“いい所”だったという、その場所で、浪人生活の辛かった一年間が去来し、そして歓喜へと変わった瞬間だった。
中盤までは文句なしの投球だった。その好調さを象徴したのが2回だった。一死後、森野への初球は緩いカーブでストライクを奪うとボールゾーンからストライクゾーンへと切れ込むワンシームで追い込み、最後は真ん中フォークで空振り三振。続く井端には横に動くカットボールのあと縦に割れるカーブで遊ゴロ。抜群の制球力を駆使し、変化球の出し入れで打ち取っていく菅野の真骨頂ともいれる投球だった。前半は常にカウント1―2の形を作り、投手不利のカウントがなかったのもその証だった。
6回にはルナに3ランを浴び、8回にはクラークにソロを被弾。体力的に問題はなかったようだが、回を追うごとに反省点も見えてきた。「まだまだ投げられた」と語りながらも「阿部さんからも言われたが(終盤は打者を)しとめる前のボールが1球余計だなと」。集中を切らさない、精神面のスタミナが今後の課題となった。
そしてこの勝利で忘れてはいけない、もう一つのドラマがあった。お立ち台で、伯父である原監督についてこう語ったのだ。「『超える』というのが一つの目標。大きな目標ではあるが超えたいと思います」。この言葉の真意を、その後、菅野はこう説明した。「監督の甥ではあるが(ゆくゆくは)自分の伯父が監督だと言ってもらえるように。大きな目標ですけど」 生き馬の目を抜く勝負の世界。背負う宿命ゆえに、他の選手以上に厳しい目にさらされるであろうことは菅野自身が一番よく知っている。「超える」という言葉は、それを覚悟した菅野の強い決意の表れといえるものだった。
試合後「課題は残したが、若武者らしく堂々と投げていた」と評した原監督は「伯父として一言だけ」と懇願されると「家で涙を流そうとしているんじゃないか」と独特の表現で、おいの初勝利を喜んだ。しかし「伯父とおい」の関係もこの一瞬だけ。再び監督の厳しい表情に戻った。さまざまな思いが交錯し、菅野の第一歩が刻まれた。
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