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【格闘技】

八重樫 2階級制覇 五十嵐に勝った

2013年4月9日 紙面から

◇ボクシング WBCトリプル世界戦

 ▽東京・両国国技館▽8日▽観衆8500人

 WBC世界フライ級タイトルマッチは同級6位の八重樫東(30)=大橋=が王者五十嵐俊幸(29)=帝拳=に3−0の判定勝ち。元WBAミニマム級王者八重樫は2階級制覇を達成した。WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチは同級10位の三浦隆司(28)=帝拳=が王者ガマリエル・ディアス(32)=メキシコ=に9回1分21秒、TKO勝ち。今年1月に急死した父に勝利をささげた。WBC世界バンタム級タイトルマッチは、王者山中慎介(30)=帝拳=が同級1位マルコム・ツニャカオ(35)=真正=に12回1分57秒TKO勝ち。3度目の防衛戦に成功した。

 WBCの緑色のベルトを授与された新チャンピオン・八重樫が、腫れた目の下でひそかに涙を浮かべていた。「これ、夢じゃないですよね」と、所属ジムの大橋会長にこぼす。昨年6月、井岡一翔とのミニマム級統一戦で激戦の末に敗れ、世界タイトルを失ってから10カ月。2階級上での世界王座返り咲きは、タフな男を感極まらせた。

 五十嵐とは身長で6・5センチもの差があり、体格のハンディは隠しようもない。しかも、アマチュア時代は4度対戦してすべて敗れていた。

 だが、八重樫は初回から頭を下げて距離を詰め、打ち合いでがっちりとペースを握った。5回以降、焦った五十嵐も前に出てきたが、真っ向から接近戦で圧倒した。終盤は五十嵐の顔面を血で真っ赤に染め上げ、11回にはあわやKOまで追い込んでの完勝だった。

 その裏にはジム一丸での対策があった。かつてサウスポーは大の苦手だったが、大橋会長の助言を元に、かつて韓国のライトフライ級の名王者、張正九(チャン・ジョング)のスタイルを採用。サウスポーの松本好二トレーナーとともにそれを徹底的に身に付ける。そして、八重樫自身が「くっついて勝てなきゃ勝てない。自分にはそれしかない」と心に決め、骨のきしむような打ち合いを制した。

 勝利者インタビューの最後、八重樫がスタンドへ声をかけた。「圭太郎、父ちゃんは世界一強いぞ! 俺の背中を見て育ってこい!」。かつての天敵を相手に、男のプライドをかけてのぞんだ試合で完勝。160センチの新王者は、7歳の息子とファンに誰よりも大きな背中を見せつけた。 (藤本敏和)

 

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