名古屋グランパスのFW玉田圭司(32)が、6日の柏戦でJ1初ゴールを挙げたFW田中輝希(20)に対し、のびのびプレーできるよう精神的サポートを約束した。プロ3年目の後輩を、自身の同年代のころに重ね合わせ「あいつに背負わせたらいけない」と明言。結果によってヒーローにも戦犯にもなるFWの宿命を自らが背負うことで、田中輝を後押しする。
一回り年の離れた後輩の成長を、玉田は自分のことのように喜んだ。2節連続のゴールで引き分けに持ち込んだ6日の柏戦後、田中輝がインタビューを受ける姿を温かな眼差しで見守った。「フィニッシャー? アイツもいる」と、グランパスに生まれた新たなゴールゲッターを指さした。
若手が点を挙げれば注目を浴びる。ただ玉田の思いは周囲とは違う。FWはゴールを決めればヒーロー、外し続ければ戦犯となる。FWの宿命を、若い田中輝が背負わないようにすることだ。「あいつに背負わせたらいけない。あいつはこの調子でどんどんやって、自然と責任感が芽生えてきたらいい」と語った。
田中輝の姿が、10年以上前の自身の姿と重なる。玉田も期待されて柏に入団し、高卒1年目からリーグ戦に出場。しかし、J1初ゴールは4年目の02年、通算18試合目と遅かった。
「オレが若いときもそうだった。試合に出だしたとき。気持ちはわかる」。当時のチームメートがのびのびとプレーさせてくれたおかげで、翌03年のブレークにつながった。
10日のナビスコ杯大分戦ではFWケネディが時間限定で復帰することが確実。柏戦で1トップを務めた田中輝にとっても試金石となる。後輩が自分のプレーを出し切れるように、ピッチ内外でエースがサポートする。 (宮崎厚志)
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