【ＢＯＸ】三浦「オヤジやったよ」ボンバーレフト炸裂！９回ＴＫＯ勝利

９回ＴＫＯ勝ちで新チャンピオンとなった三浦隆司は葛西トレーナーに肩車されて歓喜の雄たけびを上げた

　◆報知新聞社後援　ワールドプレミアムボクシング　トリプル世界戦タイトルマッチ　▽ＷＢＣ世界スーパーフェザー級タイトルマッチ　○三浦隆司（ＴＫＯ　９回１分２１秒）ガマリエル・ディアス●（８日、東京・両国国技館）　ＷＢＣ世界フライ級６位の挑戦者・八重樫東（３０）＝大橋＝が因縁の日本人対決を制し、２階級制覇を達成した。チャンピオンの五十嵐俊幸（２９）＝帝拳＝を相手に序盤から積極的にパンチを出し３―０の大差判定勝ち。ミニマム級に続く世界王座奪取に成功した。世界再挑戦のＷＢＣ世界スーパーフェザー級１０位の三浦隆司（２８）＝帝拳＝は、同級王者ガマリエル・ディアス（３２）＝メキシコ＝を自慢の左で４度ダウンさせ９回ＴＫＯ勝ち。悲願の王座獲得に成功した。

６回、ディアスからダウンを奪う三浦（右）

　自慢の“ボンバーレフト”がさく裂した。９回だ。三浦はコーナーにディアスを追い込むと力強く左ストレートを打ち込んだ。４度目のダウンを喫した王者はあおむけになって動かない。レフェリーが試合を止めると右手を高々と上げた。待ちに待ったチャンピオンベルトを巻かれ「オヤジもそこらへんで見ていたと思う。オヤジ、やったよ！」と叫んだ。

　約束を果たした。今年１月１０日に父・政志さん（享年５８歳）が事故で天国に旅立った。小学校時代に家でスパーリングの相手をしてくれた。ボクシングを始めた中学３年にはジムへ毎日送り迎えをしてくれた。拳の魅力を教えてくれた父。葬儀場で「死に物狂いでベルトを取る」と誓っていた。

９回ＴＫＯ勝ちで新チャンピオンとなった三浦隆司

　スタイルを貫き通した。ときには自身の体が大きくのけぞるほど大振りでも、愚直に得意の左で攻め続けた。リングサイドで遺影を掲げて応援していた母・久子さん（５５）に気づかないほどの集中力で、３回にカウンターの左ストレートが顔面を捉えて最初のダウンを奪うと、６回も左ストレートで、７回には左から右アッパーをつなげて３度目のダウンを取った。顔の右半分は流血とまぶたの腫れでディアスの顔面を崩壊させた。「１回で倒せなかったのは課題。でも（左は）本当にボンバーでした」と唯一の武器で王者をめった打ちにした。

　横浜光ジム所属だった１１年１月のＷＢＡ世界スーパーフェザー級王者・内山高志（ワタナベ）戦以来の世界挑戦でつかんだベルト。同年７月に帝拳ジムに移籍し、長男・武元（たけはる）君と彩美夫人（２７）を実家に預けて練習に励んだ。全ては王座のために突き進んできた。再挑戦を喜んでくれた父に「勝利の瞬間、顔が浮かんだ。後押ししてくれた」と感謝した。

　同門で前王者の粟生隆寛が失ったベルトを再びジムに取り戻した。今後に関し「（ＷＢＡ王者）内山さんともやってみたい。今は勝つ自信がある」と宣言。新たな夢に向かう前に、まずは父の墓前に勝利を報告するつもりだ。

　◆帝拳ジム所属の歴代世界王者　１９７０年にジム初の王者となった故・大場政夫（ＷＢＡ世界フライ級）から始まり、三浦で９人目となった。最多は協栄ジムの１２人で、帝拳に次いで３位のヨネクラジムは５人を輩出した。

　◆三浦隆司
  ▽生まれ　１９８４年５月１４日、秋田・三種町
  ▽サイズ　身長１６９センチ、リーチ１７７・５センチ
  ▽タイプ　左ファイター
  ▽ボクシング　中学３年から。秋田・金足農高３年で国体優勝し、卒業後に横浜光ジムに入門。
  ▽プロ　０３年７月デビュー。０９年に日本スーパーフェザー級王座を奪取（４度防衛）。１１年１月にＷＢＡ世界同級王者・内山高志（ワタナベ）に挑戦も、８回終了ＴＫＯ負け。同年７月に帝拳ジム移籍。プロ戦績は２５勝（１９ＫＯ）２敗２分け。
  ▽家族　彩美夫人（２７）と長男・武元（たけはる）くん（１）。１１年１０月から秋田の実家に預け、都内で一人暮らし。