メキシコ大統領、安倍首相との会談でTPP交渉参加支持表明へ
TPP(環太平洋経済連携協定)のルールづくりは、意外な分野にも及んでいる。世界的に人気のキャラクターや音楽などにも、深い関わりがある。
メキシコのペニャニエト大統領夫妻は8日、天皇皇后両陛下と面会した。
大統領はこのあと、安倍首相との首脳会談に臨む予定で、その中で、TPP参加国として、日本のTPP交渉参加への支持を表明するものとみられている。
そんなTPP交渉のルールづくりで注目されているのは、農業や工業ばかりではない。
タブレット端末で読める、人気作家の無料の小説。
本好きの人に人気を集めているが、今後、TPPの交渉の行方によっては、読めなくなる可能性があるものも出てくるという。
スマートフォンやタブレット向けに、無料書籍のサービスをボランティアで行うグループを取材した。
「青空文庫」呼びかけ人の富田倫生氏は「わたしたちは、作品の著作権が切れて、それをファイルにして、皆さんに読んでもらう。それを通して、文化を発展させようと」と話した。
作品の作者欄を見ると、1962年より前に亡くなっていることがわかる。
これは現在、日本の法律で、著作権の保護期間が、著作者の死後50年間と定められているため。
現在公開されているのは、死後50年が過ぎ、すでに著作権が切れている宮沢賢治や太宰 治の作品をはじめ、2013年からは、「宮本武蔵」の作者・吉川英治の作品も、無料で公開されている。
富田倫生氏は「わたしたちの世代の者にとっては、若い時に読んだ作家の作品が、どんどん(著作権が)切れていく時期に来ているものだから、余計に関心を呼んでいる。インターネットと結びついた電子書籍だと、身近なものになるので、すごく安く作れる。世界中のどこにも配れる」と話した。
現在、日本では、書籍のほか、音楽や写真、絵画などにも、著作権の死後50年ルールが適用されている。
ところが、TPP交渉によって、この著作権保護の期間が、死後70年に統一される可能性があるとの見方が浮上している。
著作権などの問題にくわしい福井健策弁護士は、その理由について、現在、個人の著作権保護期間を死後70年に定めている、アメリカの強い意向があると指摘する。
知財・著作権などにくわしい福井健策弁護士は「アメリカは、著作権と特許の使用料で、年間、海外から10兆円近い外貨を稼ぐ国で、これは米国最大の輸出産業の1つ」と話した。
アメリカは、過去に自らの国に有利になるよう、著作権の保護期間を20年延ばしたとして、論争になったことがあるという。
その論争の中心となったものの1つが、ミッキーマウスだった。
福井健策弁護士は「ディズニーの最大のドル箱である、ミッキーマウスの保護期間が切れそうになると、延ばすんだというふうに言われて、それで『ミッキーマウス保護法』だと」と話した。
一方で、アメリカの中からも、著作権の保護期間を短縮すべきとの声が上がるなど、この問題をめぐる見通しは、立っていない。