風力発電機:105基対象に安全点検求める方針 経産省
毎日新聞 2013年04月09日 02時29分(最終更新 04月09日 02時38分)
津市の風力発電施設「ウインドパーク笠取」で発電機と風車が落下した事故で、経済産業省は8日、全国に設置されている日本製鋼所製105基を対象に、運転事業者に詳細な安全点検を行うよう近く通知する方針を固めた。先月には京都府伊根町で別のメーカー製の風車が倒壊する事故も起きており、同社製以外でも発電能力が2000キロワットを超す大型風力発電施設については風車の自主点検を呼び掛ける方針だ。
笠取の風車を運転している中部電力子会社の「シーテック」(名古屋市瑞穂区)によると、風車は風速25メートルを超えると、破損防止のため自動停止する仕組みで、7日午後3時ごろには停止した。風速70メートルまで耐えられるとされていたが、風車に取り付けた風速計が記録した最大瞬間風速は7日午後4時37分の27・9メートルだった。
同省によると、原子力発電以外の発電設備は、原則として事業者が自主点検している。シーテックは半年に1度、点検を実施しており、直近では3月15日に行ったが、異常はなかったという。
三重県によると、津市と伊賀市の市境付近は風の通り道になっているうえ、広大な土地があることから、大型風力発電施設が4カ所あり、51基の風力発電機が集積している。シーテックは全基を停止し、原因究明を急ぐ方針。津市環境政策課は「シーテックに情報提供を求めるとともに、住民の不安解消にあたりたい」と話している。
風力発電を巡っては、沖縄県・宮古島で03年9月、最大瞬間風速74・1メートルを記録した台風14号の暴風で3基が倒壊。07年1月には青森県の「岩屋ウインドファーム」で1基が根元から倒れる事故が発生。沖縄の事故は想定を超える強風に風車が耐えられず、青森は2本必要なボルトを1本しか付けていなかったことが判明した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が国内で運転中の風車(受風面積200平方メートル未満を除く)706基を対象に調査した結果、11年度の1年間で事故や故障は195件あった。原因は落雷(24・6%)や暴風(10・8%)など外的要因が55・9%で、製造不良(6・2%)や整備の不備(2・1%)などの人的要因は15%だった。【米川直己、和田憲二、谷口拓未、永野航太】