ZENSHIN 2004/05/31(No2151 p06)

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週刊『前進』(2151号1面1)(2004/05/31)

6・4中央闘争に全力結集を
5・21明治公園 戦争法案阻止へ1万人の怒り
 参院段階で「有事」「年金」葬れ

 5月21日夜、東京・明治公園で、陸・海・空・港湾労組20団体など4団体の呼びかける「自衛隊の即時撤退!/STOP!有事法制/守ろう!平和といのち5・21集会」が開催され、1万人を超える労働者・市民・学生が参加した。前日の20日、自公民によって有事関連7法案とACSAなど3協定・条約承認案が衆院本会議で採決を強行されるという重大情勢の中で、参加者は首都圏から全国から続々と結集した。「絶対に成立させてはならない!」「あと4週間の攻防で必ず廃案に!」という怒りと危機感があふれ、真剣で熱い決意がみなぎった。6月16日の今国会会期末まで3週間、とてつもない侵略戦争法案の成立を阻止するために闘いぬこう。参院段階の闘いで、有事法案と年金改悪法案を絶対に葬り去ろう。6・4中央闘争に全力結集しよう。6月連続闘争に決起しよう。
 勤め帰りの労働者らが続々とつめかける中、6時からのオープニングで、新谷のり子さんが「フランシーヌの場合」などを熱唱、イラク戦争と有事法制への反対を熱く訴えた。
 6時半、公園全体に労組の旗が林立し、司会が開会を宣言した。
 労組20団体を代表して航空安全推進会議の大野則行議長が開会あいさつに立った。前日の衆院通過に対して「修正によって有事法制の本質はなんら変わらない」と強く弾劾、「『緊急対処事態』への対応を語るなら、まず何よりも自衛隊を今すぐイラクから呼び戻すべきだ」と述べた。「有事7法案は、武器・弾薬などを米軍に提供し、日本の空港や港湾を米軍に優先使用させるもの。94年の朝鮮戦争危機の際はそれができなかったが、有事法制が成立すれば日本が補給基地となって戦争ができるようになる」と事態の重大さを指摘し「廃案しかない」と強調した。そして「私たち20団体は5年前のきょう5月21日、この明治公園で周辺事態法成立反対の集会を開催して以来、多くのみなさんとともに闘ってきた。休んでいるわけにはいかない。あらゆる垣根を取り払い、日本を戦争する国にさせないという一点で力を合わせて闘おう」と訴えた。
 国会からは、日本共産党の穀田恵二衆院議員、社民党の土井たか子衆院議員が発言した。平和を実現するキリスト者ネットの糸井玲子さんがカンパアピール。
 各界から6人の「平和に向けたアピール」を受けた。その中で東京・国立市の上原公子市長は「国民保護法は戦争への国民総動員法だ」と弾劾、「徴兵は命かけても阻むべし、母祖母おみな牢に満つるとも」の歌を引用し、「有事法制は命かけても、牢につながれても阻止しなければなりません」と訴えた。
 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の藤平典さんは、有事法制特別委員会で石破防衛庁長官が「広島の原爆の爆心地でも落命しなかった人がたくさんいた」と暴言を吐き、核兵器が使える兵器であるかのように語っていることを、被爆者の満身の怒りを込めて弾劾した。
 全日本海員組合関東地方支部長の牧添正信さんは、イラン・イラク戦争の際、ペルシャ湾に入湾するタンカーの船員として働いていた時の恐怖の体験を語り、「私たち船員は、平和な海なくして働くことはできない」「戦争のための業務従事命令の押しつけには最後まで反対します」と決意を述べ、最後に「イラン、イラク、パレスチナ、アフガニスタンで亡くなった市民の方々に哀悼の意を表します」と語った。
 集会宣言が提案された。「有事法制が完成すれば、住民も労働者も平時から戦争法制の組織と訓練に組み込まれます。有事法制が発動されれば、私たちの自由と人権を奪われ、戦争協力を強制されます。私たちは、このような有事法制の完成と発動に断固として反対します」「●私たちは、日本がこれ以上、戦争への道を歩むことを許しません。●私たちは、自衛隊のイラクからの即時撤退と、占領の終結を求めます。●私たちは、あくまで有事7法案と3条約・協定の廃案のため奮闘します」。参加者の力強い拍手で確認された。

 20労組を先頭に元気なデモ

 ただちに渋谷コース、新宿コースの二手に分かれてデモに出発した。新宿コースの先頭には労組20団体の労働者が並び、「日の丸・君が代」闘争を闘う教育労働者が続いた。都労連を始め国鉄闘争支援陣形の労働者や、自治労など連合傘下の労組の組合員も多い。
 全国からかけつけた「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」は、延々と続く大隊列でデモをけん引した。夜の街に「有事7法案反対!」「自衛隊をイラクから戻せ!」「小泉政権を倒せ!」の元気なシュプレヒコールが響きわたった。
 次は6・4中央闘争だ。全力で闘おう!

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週刊『前進』(2151号1面2)(2004/05/31)

5・15沖縄闘争 普天間基地を包囲 名護新基地着工許さず

 青年労働者を先頭に

 ペテン的「返還」32年の5・15沖縄闘争は、名護市辺野古(へのこ)の新基地建設の事実上の着工をめぐる激突の最中で闘われた。5月14日からの3コースの平和行進に自治労などを中心に本土の労働者も参加。16日の普天間基地包囲行動に2万人が立ち上がった。
 96年に「5〜7年以内の返還」が約束された普天間飛行場はいまだ返還されず、在沖海兵隊はイラク侵略戦争に投入され、ファルージャ虐殺の最先兵となっている。
 宜野湾市では昨年、普天間飛行場の5年以内の閉鎖・返還を公約した伊波市政が誕生。普天間基地の閉鎖・撤去を求める新たな闘いが巻き起こった。名護・辺野古では新基地建設阻止の座り込み実力闘争が闘われている。96年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)による基地の県内移設路線は完全に破綻(はたん)している。
 そもそも、沖縄人民の基地撤去の願いを逆手にとって、県内に新基地を建設するという大ペテンは絶対に通用しない。破綻を居直る日本政府の工事着工に対して、辺野古住民を先頭に怒りの反撃が始まったのだ。
 連合沖縄は普天間包囲行動参加の条件として「県内移設反対」のスローガンを削除させ、辺野古の闘いとの分断を狙った。だが、労働者人民は、名護新基地建設阻止と普天間撤去を完全に一体のものとして闘った。今国会の有事法案にも事実上賛成している連合の右翼的制動は下から大きく揺さぶられた。
 16日昼の闘いの熱気が冷めやらぬまま夜には、動労千葉の佐藤正和元青年部長らの呼びかけた「全国青年労働者交流集会 OKINAWA」が開催され、青年労働者200人が参加した。反戦地主の知花昌一さん、動労千葉の中野洋前委員長の講演に耳を傾け、名護新基地建設阻止を闘おう、青年の力で闘う労働運動をつくろうと誓った。
 (関連記事3面)

 2万人が「人間の鎖」

 沖縄県内外から集まった労働組合員や住民約2万人が16日午後、米軍普天間飛行場の周囲約11・5`を「人間の鎖」で包囲した。
 普天間飛行場は市の約25%を占め、市街地がドーナツ状に取り囲む。周辺の学校では授業中断が日常化し、いつ墜落事故がおきても不思議ではない。世界で一番危険な飛行場だ。「もうこれ以上我慢できない」「普天間基地は即時閉鎖せよ」の怒りの爆発として包囲行動がかちとられた。
 正午ころから続々と人が集まり始め、「米軍・自衛隊はイラクから撤退せよ」などと書いたボードやハンカチなどが基地のフェンスに結び付けられ、労組の旗やのぼり、横断幕などで基地の周囲が彩られた。反戦共同行動委員会も約200人が宜野湾市役所の周辺で鎖の一部を担った。
 行動は午後2時から3回行われ、1回目は配置がうまくいかず、「手をつないだまま南側に移動して」などと声を掛け合った。2時30分、「成功」を知らせるアナウンス。どよめきやウエーブが起こった。3回目も成功した。包囲行動終了後、宜野湾海浜公園で県民大会が開催された。

 座り込み1カ月超え

 辺野古で4月19日未明に座り込みを始めてから1カ月。命を守る会のおばあ、おじいを先頭にした連日の闘いが、那覇防衛施設局によるボーリング調査の開始=新基地建設の着工を敢然と阻み続けている。米日帝の戦争を阻止する闘いだ。
 5月14日には、平和行進の東コースが辺野古で出発式を行い、約400人が参加した。ヘリ基地反対協の大西照雄代表委員は「ぜひ駆けつけて1時間でも一緒に座ってほしい」と呼びかけた。15日も、全国の労働者が座り込みに参加した。
 16日は、ヘリ基地反対協の約60人が普天間包囲行動に参加。安次富浩代表はトラメガを使って、包囲行動の参加者に「1日でも1時間でも、辺野古の座り込みに参加を」と訴えた。
 翌17日、本土の青年労働者や学生ら約100人が最後までともに闘う決意を込めて座り込みに参加した。反対協の大西照雄さん、元名護市長の渡久地裕徳さん、基地の県内移設に反対する県民会議代表の山内徳信さん、平良修牧師、命を守る会代表の金城祐治さんらが発言した。
 金城さんは「辺野古に世界一のハイテク基地が構築されようとしています。明日でちょうど1カ月、僕たちはどこにも逃げられません。しかし『私たちだけで頑張ります』では頑張れない。各地に帰って『沖縄の問題は日本の平和を揺るがす大問題だ』と訴えてほしい」と述べた。平良牧師は「この闘いがあと何日続くのか。私たちだけでは限界がある。それを支えてくれるのは全国の仲間です。みなさん、仕事を辞めてでも辺野古に来てください。『頑張ってください』と言って帰っていくだけでは、沖縄は頑張りきれません。頑張らせるだけの行動をとってください」と真剣に述べた。熱射の日も土砂降りの雨の日も1日も欠かすことのない、命を削るような闘いの気迫が強く響いた。

 防衛施設局との新たな攻防

 「命が大事だから頑張っているんですよ」「もしここに新しい基地ができたら、若い青年たちが兵隊に行くんですよ」。防衛施設局がやってくると聞いて座り込みに駆け付けたおばあたちが口々に語った。
 18日午後1時、命を守る会と反対協は記者会見を行い、96年のヘリ基地建設案の浮上に対して命を守る会が座り込みを始めてから8年間・2639日プラス4月19日からのボーリング調査阻止の30日の勝利を確認し、「相手がへこたれるまで座り込む」と宣言した。
 この日午前、施設局が4月19日に設置しかけたフェンスの台風対策をしたいとやってきたが、地元住民は「それなら完全に撤去せよ」と要求。交渉の結果、いかなる補強もしないと認めさせた。翌19日は台風に備え、命を守る会の小屋の前で座り込んだ。
 防衛施設局は、作業船の出港場所を当初の辺野古漁港から米軍キャンプ・シュワブへ変更して着工することを検討しているという。なんという卑劣さ! 怒りが高まる中、辺野古では新しい攻防が始まっている。
 辺野古の座り込み闘争の勝利は、全国の労働者がともに立ち上がってこそかちとることができる。「人柱となっても杭(くい)は打たせない」と必死で訴える住民の闘いにこたえ、辺野古現地に駆けつけよう。
 名護新基地建設阻止の闘いを、島ぐるみ、日本ぐるみ、世界的闘いに発展させよう。

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週刊『前進』(2151号2面1)(2004/05/31)

イラク人民と連帯し有事法案粉砕を
小泉再訪朝=戦争外交を弾劾する
 戦争・改憲と年金大改悪の小泉政権を即刻打倒しよう
 野党の屈服弾劾し6月闘争へ

 すべての闘う労働者学生市民のみなさん。5月20日、国民保護法案など有事7法案と改定ACSAなど3協定条約承認案が、自公民により衆院有事法制特別委員会で可決、続いて衆院本会議で可決・通過させられた。そして小泉は、これを携えて、22日に北朝鮮・ピョンヤンを訪問しようとしている。昨年成立した武力攻撃事態法など有事3法に続く今次有事法案は、イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と、北朝鮮・中国への侵略戦争の体制づくりのための法案であり、航空、港湾、交通、医療を始めとした労働者を戦争動員していくための法案だ。参院段階の闘いで絶対阻止しなければならない。今こそ、米英日帝のイラク侵略戦争と軍事占領反対、自衛隊即時撤退、ACSA改定・有事7法案粉砕、そして年金改悪法案粉砕の6月闘争に全力で決起しよう。日帝・小泉政権を打倒しよう。

 第1章 拉致問題をも口実に北朝鮮侵略戦争を準備する日米帝

 日帝・小泉政権は7月参院選に向け、政治危機ののりきりをかけて、5・22小泉再訪朝を打ち出した。小泉再訪朝は、米日帝の北朝鮮侵略戦争に向かっての徹頭徹尾帝国主義的な戦争外交である。わが革共同は、この小泉再訪朝に断固反対する。5・21大闘争を引き継ぎ、6月有事立法反対闘争を爆発させ、小泉訪朝の反革命を粉砕しよう。
 第一に、これは米帝のブッシュドクトリンに基づく世界戦争計画、米日帝の北朝鮮侵略戦争準備の一環である。米帝は「北朝鮮=テロ国家」規定の中に拉致問題を加え、6者協議でもそれを推進している。イラク侵略戦争に総力を傾注し、その泥沼化にあえいでいるが、同時に対北朝鮮(中国)の侵略戦争の構えを強めている。金正日に対して核保有の完全放棄を迫り、昨年3・20開戦後のイラク侵略戦争の継続・激化を背景に北朝鮮への戦争重圧を強めているのである。
 現に米軍のトランスフォーメーション(地球的規模での大再編)は、北朝鮮を最大の標的としている。日本海にイージス艦を配備し、在沖米軍の臨戦態勢を強め、実際の対北朝鮮戦争のための体制構築を進めている。金正日体制を追い詰め、存亡の危機に立たせ、その転覆を狙っているのである。それとタイアップして、小泉が金正日に直接攻め込んでいくのが、今次訪朝なのである。
 第二に、日帝・小泉は、米帝との共同=競合の論理をもって、北朝鮮侵略戦争へ大きく踏み出そうとして今次訪朝を策した。日帝は拉致問題と核保有問題で排外主義を扇動しつつ、金正日を攻めることをテコにして、外為法改悪に続く特定船舶入港禁止法案や有事立法攻撃を促進している。
 そもそも、97年新ガイドライン協定、99年周辺事態法、03年武力攻撃事態法などの一連の攻撃は、すべて北朝鮮に対する米日帝の侵略戦争を想定している。今国会での有事7法案・3協定条約承認案もその完成をめざすものである。
 日帝の軍事体制としても特に、日本海のイージス艦と首都圏に迎撃ミサイルを配備し、さらに航空機搭載の迎撃ミサイルレーザーを組み合わせたMDシステム戦略を進めている。
 北朝鮮の「核の脅威から日本を守る」と称して、実は対北朝鮮の先制攻撃態勢を急ピッチで構築しつつあるのだ。そうした中での小泉訪朝なのである。
 また、北朝鮮スターリン主義・金正日政権の反人民的な拉致政策を絶好の口実に、拉致家族の気持ちを利用し、踏みにじって、北朝鮮侵略戦争へと突き進んでいるのである。
 同時にそれは、日本経団連・奥田ビジョンの言う東アジア自由経済圏構想の成否をかけた攻撃である。EU拡大によってヨーロッパに対米対抗の巨大なブロック圏が出現した。帝国主義がその本性をむき出しにして相互にぶつかり合う時代が再来している。これに対して日帝は、米帝と共同=競合しつつ、独自の日帝ブロックの形成をうかがっている。そのためにも生き残りをかけて、イラクに続いて北朝鮮への侵略戦争を米帝とともに遂行し、帝国主義戦争国家へと脱皮しようとしているのである。これを許してはならない。
 小泉訪朝は、日本の労働者人民を扇動し、北朝鮮侵略戦争に動員する攻撃だ。朝鮮戦争への国家総動員をきっぱりと拒否しよう。
 第三に、小泉訪朝の戦争外交は、南北・在日朝鮮人民への排外主義攻撃を伴った攻撃だ。何よりも朝鮮人民の南北統一の願いを踏みにじるものだ。それは、石原都知事による朝鮮総連への弾圧、土地・建物からの追い立て、民族教育機関への締め上げの攻撃が示している。米日帝は、“北朝鮮は非民主的政権だ、人民を抑圧し飢えさせている、拉致や核保有をやるテロリスト国家だ”とキャンペーンし、実際にイラク・フセイン政権に対してしたように金正日政権の転覆を図っているのだ。
 しかも米日帝の軍事力と経済力は北朝鮮と比較にならないほど巨大だ。起ころうとしていることは、北朝鮮に対する一方的な侵略戦争以外の何ものでもない。
 金正日政権が反人民的だからと言って、北朝鮮(朝鮮半島)に侵略戦争を仕掛けることが「民主化」や「解放」なのか。断じて違う。それは、今日のイラクの現実が如実に語っているではないか。劣化ウラン弾やクラスター爆弾で何万人、何十万人という人民を虐殺し、ファルージャの虐殺やアブグレイブ刑務所の拷問を北朝鮮の地にも生み出すものとなるのだ。
 米日帝が吹聴する北朝鮮の「民主化」とは、北朝鮮(全朝鮮)の植民地化・軍事占領のことだ。それは同時に在日朝鮮人民への排外主義的迫害の嵐となる。
 「アメリカは、イラクの次には韓半島で戦争を起こす可能性が高くなっています。もし、韓半島北侵戦争をアメリカが強行したら、その惨禍は想像することができないほどの悲劇となるでしょう」(民主労総の5・1非常時局宣言)
 日本の労働者人民は、闘う民主労総のこの強烈な怒りの表明と南北統一の切実な願いを受けとめ、南北・在日朝鮮人民と熱烈に連帯し、またアメリカ労働者階級人民と固く連帯し、日韓米の国際連帯をもって米日帝の北朝鮮侵略戦争に断固として反対しよう。
 小泉政権は、訪朝をもって国会強行突破、7月参院選のりきりを策している。小泉政権の一切の延命策を打ち砕き、有事立法粉砕、年金改悪阻止、イラク撤兵、小泉政権打倒・改憲阻止の闘いを強めよう。

 第2章 イラク・北朝鮮侵略戦争と労働者の戦争動員狙う法案

 イラク人民の民族解放・革命戦争の拡大によって、米帝は追い詰められ、米英日帝のイラク侵略戦争は、第2のベトナム戦争化の様相を深めている。石油と勢力圏の強奪のための戦争という、不正義の侵略戦争であることが日に日に明らかになっている。また、このイラク侵略戦争と連動してイスラエルによるガザ地区ラファに対する攻撃が「67年の第3次中東戦争以来」という規模で強行されている。米帝ブッシュと結んだイスラエル・シャロンによるパレスチナ民族抹殺攻撃を許してはならない。
 イラク・アブグレイブ刑務所などにおける米軍による拷問・虐待問題は、まさにこの侵略戦争の反人民性と不正義性、民族じゅうりんと抹殺の本質を暴きだしている。それは一部の兵士の逸脱ではなく、軍上層部の命令として組織的に行われてきたものだ。反米帝の闘いを不屈に闘うイラク人民と連帯し、イラク反戦闘争を一層強めよう。
 米軍の拷問事件は、日帝・自衛隊の派兵の不正義性をも突き出している。さらに、サマワでのイラク人民・武装勢力とオランダ軍との銃撃戦が激化している。自衛隊宿営地に対する攻撃も3度起こっている。もはや「サマワは非戦闘地域」などという言い逃れは絶対にできない。
 だが日帝は、米帝との関係で、また北朝鮮侵略戦争の準備という観点から、どんなに理屈が通らなくても、自衛隊を撤兵させることはしない。イラクの地で「殺し・殺される」軍隊に転換させようとしているのだ。自衛隊撤兵の闘いを猛然と巻き起こし、日帝・小泉を打倒しよう。
 このイラク侵略戦争への参戦という戦時下の攻撃として、有事7法案・3協定条約承認案がある。絶対に阻止しなければならない。
 だが有事法制は、既定の事実であるかのように扱われ、社民党も日本共産党も、対決法案として本気で阻止闘争に取り組んでいない。
 特に民主党が自民、公明と修正案で合意し、有事法制完成に全面協力していることは重大で許しがたいことである。
 労働者の先頭に立って闘うべき自治労中央は「4・14見解」を打ち出し、そこで昨年の有事3法成立を前提として容認し、「国民保護法制は必要」と基本的に賛成してしまっている。
 今次有事法案は、日米安保体制をエスカレートさせイラク・北朝鮮への集団的自衛権行使となる日米共同作戦=大虐殺と軍事占領の作戦と国家総動員をやるための戦争法案である。
 特に改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)や米軍行動円滑化法案は、米日帝が共同で北朝鮮侵略戦争を強行し、米軍が日本全土を自由に出撃・兵站(へいたん)基地とする大攻撃である。また、「国際貢献」条項を入れたことで、イラク、アフガニスタンや全世界で日米が共同作戦をできるようになる。まさに日米安保大改定であり、集団的自衛権の行使である。
 また、交通・通信利用法案や外国軍用品等海上輸送規制法案は、自衛隊権限強化と武力行使容認の戦争法規だ。国民保護法案は、「国民保護」の名で、労働者人民を北朝鮮侵略戦争に動員する法案である。
 昨年成立した武力攻撃事態法など有事3法に続いて今次有事法案をもって有事法制は完成する。成立すれば明日にも北朝鮮・イラクに対する全面的な侵略戦争に出ていけるのである。
 5〜6月参院段階で闘いを圧倒的に拡大し、必ず廃案に追い込もう。陸・海・空・港湾労組20団体が昨年来提唱している「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」の「3ない運動」を全労働者の力で強力に展開していこう。
 日帝・小泉は、さらに教育基本法改悪、憲法改悪を日程に上せ、一気に突き進もうとしている。この攻撃と全面対決し、「戦争国家化阻止、改憲粉砕・日帝打倒」に向かって闘おう。
 沖縄の名護新基地建設攻撃を粉砕しよう。4月19日以来のボーリング調査阻止の辺野古の座り込み闘争に連帯して立ち上がろう。
 共謀罪新設を阻止しよう。戦争国家づくりのための司法改革、裁判員制度導入を粉砕しよう。

 第3章 年金問題での腐敗・政治責任を完全に居直る小泉許すな

 年金改悪攻撃の中で、小泉を始め閣僚、公明党幹部、民主党幹部の年金未加入・未納問題が次々と発覚した。民主党は菅に続いて小沢も未納が発覚、野党第一党として危機的状態だ。
 そもそも民主党は、自民、公明との間で「公的年金一元化を含む社会保障制度全般の見直しに関して07年3月をメドに結論を得る」という3党合意をもって衆院通過にゴーサインを送った、年金改悪攻撃の共犯者である。
 何よりも小泉自身が過去の年金未加入問題について開き直り、6閣僚の未納問題も幕引きしようとしていることは、絶対に許せない。小泉は即刻退陣しかない。議員年金制度で保障された国会議員が、自ら国民年金保険料も払わず、労働者人民の生活を根本から破壊する年金改悪を強行しようとしていることに、怒りが燃え上がっているのだ。
 日本共産党は、小泉の年金未加入問題で責任を追及する考えがないと表明(17日の市田書記局長記者会見)、民主党以上に小泉を免罪している。
 今次年金改悪は、厚生年金について保険料率を毎年上げ(負担増)、給付水準は毎年引き下げる(給付減)というものであり、国民年金保険料も毎年上げていくのである。しかも将来の給付について保障されておらず、消費税率を大幅に上げることでのりきろうとしている大攻撃である。
 年金問題は、帝国主義の体制的危機の深さの象徴だ。危機を深め、追い詰められているのは帝国主義支配階級である。日帝・小泉=奥田に従っていたら、労働者階級は、再び侵略戦争の道に引きずり込まれ、他民族人民に対する虐殺者にさせられ、国内では資本攻勢によって首切り、リストラ、賃下げ、労働強化、さらには年金改悪までを強いられ、生きていくことができなくなる。だが、年金は権利である。労働者階級は、団結した力によって、この帝国主義を打倒し、労働者が主人公となる社会を建設しなければならない。
 それが必ずできることは、動労千葉の闘いが示している。動労千葉は、国鉄分割・民営化以来17年、JR資本・JR総連結託体制と不屈に闘って、闘う拠点を守りぬいている。今春闘では3波のストライキを全組合員の力でかちとり、勝利している。また、韓国・民主労総やアメリカの国際港湾倉庫労働組合との国際連帯を切り開いてきた。「動労千葉のように闘おう」を合言葉に、ともに労働者の階級的団結を固め闘うならば、必ず勝利できる。
 闘うムスリム人民、朝鮮人民、全世界労働者階級人民と連帯し、米英日帝のイラク侵略戦争反対、自衛隊撤兵、有事7法案・ACSA改定阻止へ、6月闘争を全力で闘いぬこう。年金改悪を粉砕しよう。日帝・小泉を打倒しよう。

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週刊『前進』(2151号2面2)(2004/05/31)

国労弾圧公判 “酒田委員長と公安刑事から被害届出せと言われた”
 石井証人が重大事実認める

 5月18日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第23回公判が行われた。この日で石井勝幸・国労本部会計監査員への弁護側尋問は3回目を迎えた。

 「ルノアール」で星警部らと会う

 冒頭、小泉伸被告が意見陳述し、「4・13国鉄闘争支援集会で国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の3者共闘が実現した。こんなにうれしいことはない。国労も動労千葉と同じようにJR資本と真っ向から闘う新たな闘いに立つべきだ」と述べ、「国労再生へ人生をかけて闘う」と決意を表明した。浅野史生弁護人が「4党合意は一切の不当労働行為を甘受せよと国労に迫るものだった」と弾劾した。
 萱野一樹弁護人が尋問に立ち、石井証人が被害届を警察に提出した経緯を聞き出した。その結果、驚くべき事実が明らかになった。
 石井証人は、5・27臨大からわずか3日後の5月30日に、酒田充東京地本委員長(当時)や笹原助雄東京地本財政部長(当時)に地本事務所近くの喫茶店「ルノアール」に連れ出され、警視庁公安一課の星警部や神田署警備課長の関警部に引き合わされて、その場で被害届を書いたと証言した。しかも、「中核派と言っても組合員やしなあ」とためらう証人を、酒田委員長や公安刑事らが「被害届を出して協力してほしい」とこもごも説得したというのである。
 石井証人は、27日の大会後、29日は東日本エリア、30日から6月1日までは東京地本の会計監査に従事した。喫茶店で公安刑事に会い被害届を出したのは、東京地本の会計監査があった初日の昼休みだった。石井はその後、東京地本事務所で酒田委員長、笹原財政部長、鈴木勉法対部長とともに、鈴木法対部長撮影のビデオテープを見たという。
 ちょうどこの時は東京地本の会計処理のでたらめさが大問題になり始めていたころだ。ところが石井証人は、会計監査はそっちのけで東京地本幹部らと弾圧の謀議に没頭していたのだ。
 酒田委員長がこの日、喫茶店を出た後、星、関とともに荒川署で鈴木ビデオを見ながら「ひどくやられているでしょう」と訴えていたことも、すでにこの裁判で明らかになっている。弾圧が事前に周到に仕組まれていたことは、これらの事実からも明白だ。
 石井証人は、兵庫県警明石署で警視庁公安一課の横田警部補から4回ほど、また検察庁で1回の事情聴取に応じたことを白状した。
 佐藤昭夫弁護団長が「5・27の出来事は大会での方針決定をめぐって起きたことではないか」と追及した。何の根拠もなく「違う」と言い張る証人に、松崎博己被告、富田益行被告、原田隆司被告が次々と質問をぶつけた。「闘争団が切り捨てられようとしている時、組合員がビラをまくのは当然ではないか」「所属する党派によって組合員の権利が違うのか」。その勢いに溝内克信検事が「議論にわたる質問だ」とあわてて介入した。
 石井証人は検察側主尋問で、富田被告にネクタイをつかまれたと述べていた。だが、杉並ビデオは、その前に彼が富田被告の左手をつかみ、引っ張っている場面をとらえている。弁護団はビデオの静止画像写真を示してこの事実を問いただした。証人はしどろもどろになった末、「これは瞬間的なもの」と開き直った。
 弁護団は最後に、「被害届を出した時、組合員が逮捕されても当然と思ったのか」と質問した。証人は「あれは組合員としての行動ではなく外部勢力の一員としての行動だから当然」と言ってのけた。「あなたの所属する革同も外部勢力か」とたたみかける弁護団に、石井は「革同は国労内の派閥。だが国労共闘は外部勢力」と放言した。法廷は強い怒りに覆われた。
 石井証人への尋問は次回(6月9日)に続行となった。この日、本部派は1人も姿を現さなかった。
 公判後、許さない会は第4回発起人・呼びかけ人会議を開き、@賛同会員の拡大、A無罪判決を求める署名運動の全国展開、B傍聴体制の強化と、これらの運動を国労再生につなげていくことを確認した。8被告の無罪へ闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2151号3面1)(2004/05/31)

沖縄で反戦の決意新たに “青年が労働運動変える”
 5・16那覇 200人が熱気あふれ集会

 5月16日夜、那覇市で「全国青年労働者交流集会 in OKINAWA」が行われた。3日間の平和行進で真っ赤に日焼けした青年労働者ら200人がつめかけ“青年労働者の力で労働運動をつくり変えよう”という熱気にあふれたエネルギッシュな集会となった。
 冒頭、開会あいさつに立った動労千葉の佐藤正和元青年部長は「動労千葉が昨春、イラク開戦に対して闘った90時間ストライキが、11月の国際連帯集会につながった。今春は3波のストを闘い、労働者のど根性と労働者の未来を示した。労働組合がある人は組合権力を取り、労働組合がない人は労働組合をつくって、戦闘的で階級的な労働運動をつくり出そう」と訴えた。
 沖縄の青年労働者が名護新基地建設阻止を訴えた。「4月19日からオジー・オバーが命がけの座り込みを続けている。一緒に座り込み、本土に戻ったら仲間に『辺野古に基地はいらない』と訴えてほしい」

 知花昌一さんが熱烈に講演

 読谷村議・反戦地主の知花昌一さんが講演を行った。「返還32年の今、沖縄は新しい基地をつくらせない闘いに入った。新基地がつくられたら、また50年、基地の中で暮らさなければならない。辺野古の基地建設をとめる闘いは日本の戦争政策をとめる闘いだ」。そして「若い人が闘わなければだめ。労働運動の現状を突破する青年労働者の力強い運動を」と訴えた。
 呼びかけ人の代表が、基調提起を行った。「今ほど労働組合が闘うべき時はない。自分の職場でも労働組合が組合員を裏切り、現場に怒りがあふれている。支配階級と一体化した連合のダラ幹にとって代わって、資本家と真っ向から対決する労組と労働運動をつくろう」。力強い提起に大きな拍手がわいた。

 中野動労千葉前委員長が檄

 動労千葉の中野洋前委員長が講演した。冒頭「今がどういう時代なのか、正確につかんでほしい」と切り出し、憲法や終身雇用制を軸とした戦後の社会のあり方がすべて解体されようとしていること、01年9・11と03年イラク開戦で歴史が一変したことを提起した。そして連合結成から14年をへて、11・9国際連帯労働者集会―3・20国際反戦闘争や教育労働者の「君が代」不起立闘争、画期的勝利をかちとった動労千葉の今春ストが示すように、労働運動の地殻変動が始まったと述べ、「この流れを本物にするのは青年労働者の闘いだ。労働組合に結集して団結して敵と闘うという労働者の闘いを復権してもらいたい」と熱く訴えた。
 各地の青年労働者がアピールした。沖縄でパート労働者の組織化に取り組む女性は「労働者は労働組合を結成してこそ、自分たちの手で職場を変えていけるという自信を持てます。政府は『振興策』の名で沖縄を食い物にして、本土の社員1人分の賃金で3人のパートを雇い、青年に劣悪な労働条件を強いている。労働者が人間らしく生きられる世の中をつくるために闘います」と述べた。
 都労連の青年労働者は「平和行進で歩いていると、米軍基地のフェンスが延々と続き、『相変わらず基地は存在し続けている』と実感します。今後も全力で反戦運動に取り組む」と訴えた。関西の民間労働者は「米艦や自衛隊の大阪港入港に反対し闘っている。労働者は団結して闘ってこそ生きていける」と述べた。教組青年部の女性労働者は「東京の教育労働者200人への処分は、石原と都教委が負けたあかし。有事法・教育基本法改悪・改憲をとめよう。ヒロシマ―ナガサキ―オキナワをつないで闘おう」と訴えた。
 最後に司会が「戦争をやらなければならない体制をひっくり返して労働者が天下を取ろう!」と訴え、団結ガンバローを唱和した。

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週刊『前進』(2151号3面2)(2004/05/31)

基地の県内移設阻止を訴え 宜野湾で県民大会

 16日の普天間包囲行動終了後、「平和とくらしを守る県民大会」が宜野湾市の海浜公園屋外劇場で開かれた。約3千人が参加した。
 包囲行動実行委員長の佐久川政一さんは「普天間基地の5年以内の返還を公約した伊波市長の当選は市民の基地はいらないという意思だ。全面返還を求める絶好の機会だ。新基地建設は絶対に許してはならない。辺野古の基地建設阻止も同時に闘う」と語った。
 伊波宜野湾市長は昼夜を問わない住宅地上空の危険な訓練と爆音に対して異常事態を宣言したと報告。5年以内の普天間基地の閉鎖と全面返還を強く求めた。
 基地の県内移設に反対する県民会議の山内徳信代表は「辺野古の闘いは島ぐるみではなく、国民ぐるみの闘争にする」「辺野古の海に杭(くい)を一本でも打たせたら、普天間の5年以内返還は空中分解しかねない。(普天間基地のある)宜野湾でも勝つ。そして辺野古でも一本の杭も打たせない」と堰(せき)を切ったように思いを語り、普天間即時返還と辺野古ボーリング調査阻止の闘いは完全に一体だと鋭く提起した。
 最後に「イラクからの自衛隊即時撤退」「改憲反対、小泉政権の戦争策動阻止」「基地の県内移設阻止」などを求めた大会宣言が採択された。また会場では、ボーリング調査阻止の座り込みを続ける辺野古の住民へのカンパが呼びかけられ、約58万円集まった。

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週刊『前進』(2151号3面3)(2004/05/31)

“辺野古決戦態勢を” 沖縄交流センター 反戦共同行動委 5・15交流会開く

 那覇市の自治会館で15日夕、沖縄労組交流センターと反戦共同行動委員会の共催で「復帰32年糾弾!5・15沖縄交流集会」が行われ約150人が集まった。
 沖縄バヤリース労組の柿本博人委員長らの司会で進み、まず全学連の大山尚行委員長が名護新基地建設のボーリング調査阻止の決戦態勢と勝利の全国的な陣形をつくることを表明し、5〜6月の有事法案阻止と結合して闘おうとあいさつ。
 読谷村の知花盛康さんは学生など若者が大半を占める参加者を前に「なぜ復帰糾弾なのか」と問題提起し、復帰闘争にかけた思いを話した。そして「名護新基地建設を強行する日本政府を追及しなければならない。それぞれの地域・職場で運動をつくってほしい」と訴えた。
 沖縄戦で大きな犠牲者が出た北中城村の村議の宮城盛光さんは、村民の会がバス3台で普天間基地包囲行動に行くと語った。そして有事法案阻止とイラク撤兵を訴えた。
 沖縄労組交流センターの労働者が基調報告。冒頭、辺野古現地でオジーやオバー、支援の労働者が体を張って命がけで闘い抜いていると強く確認し、「基地建設のための『ボーリング調査』を絶対阻止しよう。辺野古に駆けつけ、座り込み闘争に決起しよう」「SACO路線は破産した。新たな『沖縄売り渡し』を許すな」などと訴えた。
 4月19日以来の座り込み参加者が「4月19日から今日で27日目。実力闘争的に発展し、展望を生み出している。オジー、オバーが小屋を建てて座り込み始めてから2639日+27日。このことを再確認したい」と辺野古現地報告を行った。
 本土出身の防衛施設局の職員が「日本を守るために必要」「自分も沖縄に永住する」などと言うのに対し、住民が「自分の子どもに見せられるのか」「基地ができた後の辺野古に住むのか」と弾劾する様子などを具体的に語った。
 沖縄の電通労働者は、自治労県本部が辺野古座り込みを組織決定したと報告。「キャンプ・シュワブの海兵隊がファルージャに行っている。沖縄とイラクは直結している」と鋭く指摘した。沖縄や全国から集まった青年労働者、学生が決意表明。全国沖縄青年委員会は沖縄差別の現実を糾弾し、「沖縄を自分たちの手にとり戻す」と名護新基地建設阻止の決意を語った。

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週刊『前進』(2151号4面1)(2004/05/31)

労働者の戦争動員に総反撃しよう
イラク侵略戦争の継続・激化と北朝鮮侵略戦争発動への攻撃
 ACSA改定・有事7法案粉砕へ

 ACSA改定案と有事7法案は、日帝がアメリカ帝国主義ブッシュ政権との〈共同と競合>の関係のもとに、@イラク侵略戦争とアフガニスタン侵略戦争を継続・激化・拡大すると同時に、A北朝鮮・中国侵略戦争を準備し発動するための侵略戦争法案である。民主党の積極的な賛成と日本共産党・社民党の屈服により、国会ではまともな討論も行われないまま20日に衆院通過が強行された。労働者人民の怒りと危機感は日増しに深まっている。5・21闘争を引き継ぎ、6月闘争を大爆発させ、法案成立を絶対に阻止しよう。

 米日帝の共同作戦で集団的自衛権を行使

 今回の有事関連法案の最も重大な攻撃としてACSA(アクサ)改定案がある。
 ACSAとは「日米物品役務相互提供協定」のことであり、米軍と自衛隊との間で物品・役務を提供しあう協定である。今回の改定は、これまでの▽共同訓練▽国連PKO、人道的な国際救援活動▽周辺事態のほかに、@武力攻撃事態や予測事態の際に、弾薬を含む物品・役務を相互提供できるようにするA国際貢献や大規模災害救援でもACSAを適用する――の2点が柱である。
 これは、北朝鮮・中国侵略戦争や当面のイラク・アフガニスタン侵略戦争を、さらには全世界での侵略戦争を日米共同作戦(集団的自衛権の行使)として行うためのものである。
 Aでいう「国際貢献」とは、国連安保理決議の枠さえ無視して独自利害むき出しに単独行動を強める米帝の侵略戦争を、日帝が全面的に支え、共同参戦していくために新たにつくり出した枠組みである。
 現在のイラク侵略戦争に改定ACSAが適用されると、どうなるのか。
 実際には、イラクに派兵された航空自衛隊はすでにクウェートの米軍基地を使い、米軍の車両や電話回線や防塵(ぼうじん)フィルターなどの提供を受けている。これは完全に法律違反だが、政府・防衛庁は「法律や規定がないことを理由にイラク派遣をやめるわけにはいかない」と開き直っている(中日ウェブプレス)。日帝政府はこうした違法行為を平然と行い、あとからつじつま合わせに法律や協定を改定し、それによって侵略戦争を泥沼的に拡大しようとしている。
 イラク特措法は正式名称に明らかなように、自衛隊が米軍の軍事作戦を支援することをはっきりと規定している(キーワード参照)。給水や医療など「人道復興支援活動」は戦争の一環としての人民慰撫(いぶ)政策であり、それをも含め米軍の軍事行動の支援、共同作戦を全力で行っているのである。
 すでに明らかになっているだけでも、航空自衛隊はクウェートを拠点に、5月11日までに23回の空輸作戦を実施した。この中には武装米兵の輸送も含まれている。この間、沖縄の海兵隊2個大隊約1600人がイラクに出兵し、ファルージャでの軍事作戦に投入された。自衛隊は輸送支援でこのイラク人民大虐殺の軍事作戦を支えたのである。
 改定ACSAが発動されれば、イラクにおける日米共同作戦は、イラク特措法の枠以上に飛躍的に広がる。米軍から自衛隊が全面的に物品や役務の提供を受けられるようになるし、また自衛隊による米軍支援の内容も大きく広がる。食料や燃料など物品の提供、基地支援(基地警備)、空港・港湾業務、基地(施設)の相互利用などが新たにできるようになる。自衛隊がバグダッドの米軍基地を利用したり、逆に米軍がサマワの自衛隊基地を使うことも可能になる。しかも、改定ACSAでは、今後改定手続きをしなくても相互提供の物品・役務の範囲を修正(拡大)できるとしている。戦争に突入した侵略軍隊は、どんどん法律をも踏み破って侵略行動をエスカレートしていく。
 石破防衛庁長官は、6月末の「主権移譲」後、自衛隊が「多国籍軍」としてイラクの治安維持活動に参加する野望をむき出しにした(5月16日)。これは「安全確保支援活動」の範囲をも超えて、日帝・自衛隊が「治安維持」と称し、イラク人民の反占領、民族解放闘争の鎮圧に直接乗り出すことを意味する。
 さらにアフガニスタンでも、日帝は海自のインド洋派遣にとどまらず、陸上自衛隊のアフガニスタン派兵をこの夏から強行しようとしている。日帝は米帝とともに侵略戦争を泥沼的に拡大しているのである。

 陸・海・空・港湾・医療など労働者が徴用へ

 さらにACSA改定や交通・通信利用法案、国民保護法案、すでに成立している武力攻撃事態法などで労働者の動員攻撃が強まる。
 イラク特措法では、次のように「民間の協力」を規定している。
 「内閣総理大臣および防衛庁長官は……物品・役務の提供について国以外の者に協力を求めることができる」(第19条)
 イラクの米軍基地では現在、フィリピン人労働者4000人が給食、清掃、洗濯などに従事している。40人の労働者がバグダッドのフィリピン大使館に「帰国させてくれ。採用の時にイラクに行くとは聞かされなかった」と訴えている。全世界的な戦争と大失業の時代に、日本の労働者もさまざまな職種で戦争動員されるおそれがある。
 インド洋で行動中の自衛艦の修理のために、今年2月までに民間企業(日立造船、三菱重工、石川島播磨重工業など)から10回32人がひそかに現地派遣された。労働者は懲役つきの「防衛秘密保全義務」に縛られ、不安の声すら上げられない。組合大会で「日の丸」を掲げ、「戦地派遣は重要不可欠な業務」と言い切る労組御用幹部のもとで、労働者は侵略戦争に協力させられている。
 また、今回、自衛隊の第2次派兵部隊の出兵にタイの民間機が使われた(15日、千歳基地)。同じタイの民間機が第1次派兵部隊の帰国にも使われた。17日、民間空港である旭川空港を戦場から戻った迷彩服の自衛隊員が往来した。
 航空労働者の闘いによって日本航空や全日空が軍事輸送を拒否している中で、自衛隊は外国の民間航空機を使うことで国内民間航空の戦争動員の突破口を開こうとしている。
 国際民間航空条約(シカゴ条約、1944年)は、民間航空の軍事利用を行わないことを規定し、日本の航空法はその第1条で国際民間航空条約に準拠することをうたっている。民間航空の軍事利用は明白な国際法違反なのである。自衛隊と米軍は、97年日米新ガイドライン以降、民間航空機の軍事利用の攻撃を強めてきたが、航空労働者は不屈に反対運動を続けてきた。
 また88年7月にペルシャ湾上空でイラン航空のエアバスA300が米イージス艦により「戦闘機と誤認して」撃墜され、乗客・乗員290人全員が殺された。
 有事法体制の完成は、このような労働者の戦争動員と人民虐殺の危険性を決定的に拡大する。
 米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争では、さらに労働者が大規模に動員される。
 武力攻撃事態法、交通・通信利用法案、国民保護法案などで、国や地方公共団体や指定公共機関は「必要な措置を実施する責務を有する」とされ、労働者には業務命令が出されることになるだろう。

 空港・港湾が軍事基地に

 第2次世界大戦までは、日本の港は国家が管理していた。それが侵略戦争のためにフルに使われた反省から、第2次大戦後、港湾の管理者を地方自治体とする「港湾法」がつくられた。
 ところが、交通・通信利用法案では、武力攻撃事態等にあたって「対策本部長(首相)は港湾(空港)管理者に対し、当該特定の港湾(空港)施設の全部または一部を特定の者に優先的に利用させるよう要請することができる」としている。「特定の者」とは米軍や自衛隊のことだ。そして、自治体が要請(軍事使用)を拒否した時は、武力攻撃事態法第15条に定める内閣総理大臣の強権を発動し、国の権限で強制的に利用できるとしているのである。自治体の権限は完全に否定され、民間船舶や民間航空機は移動を命じられ、港湾や空港が軍事基地とされてしまうのだ。
 海員労働者も動員される。米日帝が狙っている北朝鮮侵略戦争では、日米軍は民間船舶を大量に徴用して、数十万人の兵隊と軍事物資を短期間で朝鮮半島に輸送し、上陸―侵攻作戦を行うことを狙っている。
 1950年に始まった朝鮮戦争では、開戦後数カ月間に69隻、34万dの日本船が米軍に徴用され、朝鮮上陸作戦に決定的な役割を果たした。
 さらに鉄道輸送や軍事物資の生産などに多くの労働者が動員された。当時の駐日大使マーフィーは、回顧録で「日本人は驚くべき速さで、彼らの四つの島を一つの巨大な補給倉庫に変えてしまった。このことがなかったならば、朝鮮戦争を戦うことはできなかった」と述べている。
 船員は、第2次大戦では「船員徴用令」によって14万人が戦時動員され、6万人が犠牲となった。このような悲劇を二度と繰り返してはならないと、日本海員組合の労働者は立ち上がっている。
 以上の事実は、労働者の戦争協力拒否の闘いがどれほど侵略戦争遂行を困難にし、破綻させ、帝国主義に打撃を与えるかを逆に証明している。「有事立法を完成させない、発動させない、協力しない」という陸・海・空・港湾労組20団体の闘いをさらに大きく全国に広げ、発展させよう。
 4・14自治労見解は、改定ACSAの問題点や、有事7法案のおそるべき問題点――地方自治を圧殺するばかりか、自治体労働者を住民に戦争動員を命令する「官吏」にする――をまったく無視している。そして北朝鮮・中国侵略戦争のための国民保護法案に賛成するという反労働者的な見解である。自治体労働者の下からの総決起で4・14見解を白紙撤回させよう。6月闘争に総決起し、有事法案成立を絶対阻止しよう。

 キーワード イラク特措法

 正式名称は「イラクにおける人道復興支援活動および安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」。「安全確保支援活動」は「国連加盟国が行うイラクの国内における安全および安定を回復する活動を支援するためにわが国が実施する措置」と規定されている。つまり、米英軍のイラク侵略戦争、大虐殺戦争の一翼を担うことが自衛隊の任務としてはっきりと規定されている。

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週刊『前進』(2151号4面2)(2004/05/31)

自衛隊イラク撤退を 女性とジャーナリスト緊急集会 有事法廃案を訴え

 5月14日夕、東京・日比谷野音で「イラクからの自衛隊撤退を求める女性とジャーナリストの緊急集会」が開かれた。新聞労連の明珍美紀委員長、航空労組連絡会の内田妙子議長、日本医労連の田中千恵子委員長が呼びかけ、日本ジャーナリスト会議が協力し、1500人が集まった。
 開会のあいさつで内田さんは、「米軍のイラク人虐待は戦争の残忍さを見せつけている。イラク戦争に終止符を打たせ、自衛隊を一刻も早くイラクから撤退させるため、これまで以上に行動すること。今日がその始まり」と5・21明治公園への結集を訴えた。
 続いてザ・ニュースペーパーの松下アキラさんが「ニセ小泉」に扮(ふん)し、国民年金未加入を取り上げ、会場をわかせた。辛淑玉(シンスゴ)さんは辛口トーク。「日本人はどういう自覚をもったらいいのか。あなたがどんなにいい人でも、この政府を温存しているかぎり海外に出たら殺されるという自覚です。カムバック自衛隊! 私はイラク派兵に反対です」
 イラクで拘束され、生還した安田純平さんが登壇、「私は被害者だとは思っていない。3日間の拘束中、非常に人間的な扱いを受けた。農家の皆さんと食事をし、一緒の部屋で寝た。自己責任というが、むしろ問われているのは社会的責任。イラク人の声をちゃんと聞くこと。何をすればいいのかはそれから考えればいい」とジャーナリストの姿勢を明らかにした。
 リレートークでは、『世界』の岡本厚編集長が「アメリカは必ずイラクからたたき出されると思う」と述べ、三木睦子さんが「なぜ日本がイラクへ軍隊を派遣しなければならないのか」と語った。舞踊家の前田芳さんは、ギニアから来日したつれあいの兄が理由もなく入国を拒否され、1カ月収容の末に強制送還された経過を話し、「これも日本がイラクに軍隊を送ったからなのか」と訴えた。
 北富士忍草母の会の天野美恵さんが「いま北富士では16fもの広大な土地に『サマワ宿営地』が造られている。戦車や武器をもってきて演習をしようとしている。30日に『イラクから米軍、自衛隊は撤退せよ』と集会を開きます。ぜひ参加を」と呼びかけた。川田悦子さんは「一人ひとりの人間が本気になった時、大きな力になり、イラクの平和につながる。命と尊厳を守る闘いを」と訴えた。最後の女性国会議員まで12人が熱く語り次いだ。
 集会アピールを医労連の女性が確認。田中委員長が閉会あいさつに立った。「攻めて攻めて攻めまくる。5月21日の集会も成功させよう。イラクからの自衛隊撤退と有事関連法案の廃案をめざして、みんなで団結をしてガンバロー!」

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週刊『前進』(2151号5面1)(2004/05/31)

民族解放・革命戦争の本格的発展を切り開いた4月蜂起
 闘うイラク人民と連帯し 米日帝の侵略戦争を内乱へ

 はじめに

 イラク情勢の激動的発展は04〜05年の全情勢を大きく規定している。イラクにおける反米帝・民族解放の闘いは、ファルージャを焦点とするスンニ派武装勢力を軸とした闘いとサドル師派弾圧に端を発したシーア派人民のナジャフ、バグダッド、バスラなどでの決起を始めとする4月の蜂起戦的闘いをバネに、本格的な民族解放・革命戦争に向かって大きな飛躍を遂げつつある。
 ファルージャとナジャフは全イラク人民の決起の中心として、強大な米占領軍の包囲に屈せず、断固として対峙している。米帝は、6月末の「主権移譲」を前に、早期にこのファルージャとナジャフを焦点とするイラク人民の決起を打ち破らなければならないところに追いつめられている。だが米帝は、強引な戦闘がイラクの全民衆の大虐殺戦争としてしか遂行しえないことを認識しているがゆえに、それが引き起こす巨大な反撃の恐怖のまえにすくんでいる。
 米帝は帝国主義的な侵略戦争を強行して、逆に民族解放・革命戦争を全人民的決起として巻き起こしてしまった。イラク情勢はこの5〜6月、さらに激化し深化していく。そして04〜05年をとおして米日帝をさらに泥沼へとたたき込んでいくことが明白になった。
 イラク人民の全人民的闘いが発展する中で、米軍が無差別に拘束したイラク人民への拷問・虐待、虐殺という事実の一端が暴かれた。これはブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官らの承認のもとで組織的に行われた米軍の戦争犯罪である。イラク人民はさらに激しい怒りを爆発させて闘いに決起し、米国内でもブッシュやラムズフェルドの責任を追及する労働者人民の声が高まっている。
 日帝・小泉政権は、自衛隊を米英の侵略戦争と軍事占領に参戦させ、武装米兵や米軍物資を運んで、この米軍の拷問と虐殺を支えている。これを許していていいのか。この5〜6月、イラク人民は「主権移譲」の大ペテンをぶっ飛ばすために、この間の最大の決戦に立ちあがっている。問われているのは参戦帝国主義国の労働者階級の闘いだ。
 イラク人民の蜂起的決起と連帯し、ACSA改定・有事7法案を粉砕する5〜6月闘争を爆発させ、イラク侵略戦争の継続・拡大と北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。腐敗を極める帝国主義の侵略戦争を内乱に転化するために、労働者階級の根底的決起をつくりだそう。

 市街戦で海兵隊撃退 イスラム両派が共闘

 米軍の任務を遂行していた4人の米国人傭兵が3月31日、ファルージャでせん滅され遺体が橋につるされた。同日ファルージャでは、米軍車両が路肩爆弾によって攻撃され米兵5人もせん滅された。これは米国内でも大々的に報道され、米帝に巨大な軍事的・政治的打撃を与えた。
 この大戦闘に震撼した米帝は、@3・31戦闘の「犯人の引き渡し」と、A民兵的武装解放勢力の武装解除を掲げて、ファルージャ掃討戦に踏み切った。米軍は、6月末の「主権移譲」を前に、イラク全土のゲリラ戦争を先頭で牽引(けんいん)しているファルージャの武装勢力を3・31戦闘を口実として一気に掃討することを狙ったのだ。
 昨年4月末、ファルージャ市内の中学校に駐留していた米軍の撤退を要求する市民のデモに米軍が発砲し、17人を虐殺した。これを発端にファルージャ住民は反米武装闘争に決起し、昨年7月には市街地から米軍を事実上撤退させた。また04年2月には警察署を襲撃し、拘束されていた人びとを解放した。ファルージャ住民は反米武装闘争をとおして、一定の幅広い武装民兵的基礎のうえに立つ市街戦的ゲリラ・パルチザン戦争を強力に組織する力を持つにいたっていた。
 米軍は4月5日、このファルージャを海兵隊3千人で包囲し、掃討作戦を開始した。だが4月6日、武装住民は突入してきた米海兵隊と激烈な市街戦をくり広げ、米兵4人をせん滅した。激しい抵抗の中で、米軍の突入部隊は孤立し、米軍は午後になっていったん撤退を余儀なくされた。同日、ファルージャ西隣のラマディでも民兵的武装勢力が米海兵隊と衝突し、米兵12人をせん滅した。翌日にはファルージャ、ラマディ情勢がキルクークにも波及し市街戦となった。
 この中で、全イラク人民の中に「ファルージャを守れ」という大きなうねりが生まれ、その中でスンニ派とシーア派の間に対米帝の共闘が生まれた。これはイラク人民の民族解放・革命戦争の本格的発展にとって決定的なことである。
 追いつめられた米軍はAC130攻撃機などによる無差別爆撃や市民を狙った狙撃をくり返した。米軍は4月10日にファルージャ停戦を提案し、停戦交渉なるものを行いながらに無差別空爆を続け千人近い住民を虐殺した。
 日本人5人を始めとする外国人の拉致事件の多発は、米軍のファルージャ大虐殺に対するやむにやまれぬ反撃戦の中で起こった。イラク人民にとっては民間人の格好をした米軍のスパイ・傭兵と闘う必要性もあった。ファルージャ、ラマディ、アブグレイブなどでの攻防で、米軍の軍事的優勢がうちやぶられており、バグダッド・アンマン街道沿いに、ゲリラの支配力が強化されていることがこうした戦いを可能にした。
 米軍は武装したファルージャ住民の激しいゲリラ戦争にはじきかえされ、補給線を確保できなくなった。ファルージャ大虐殺への非難も高まった。この中で米軍は、ファルージャの武装解放勢力の武器引き渡しや3・31戦闘の「実行者」の引き渡しなどまったく行われないままに、4月29日の「地元住民代表」との「合意」に依拠する形式でファルージャ郊外に撤退した。
 米軍にとって、この退却は武装解放勢力のファルージャでの存在を認めてしまうということである。大変な打撃であり敗北である。このままではイラク全土の米帝・米軍支配は貫徹できない。したがって今日の状況は、米軍にとって一定の期間の後に必ず再び反革命的に打開しなければならないものとしてある。

 シーア派民兵組織の 闘いで全人民蜂起へ

 こうしたファルージャを焦点としたスンニ派武装勢力の決起と呼応して、シーア派勢力の反占領闘争は、4月4〜5日をもって新たな段階に突入した。シーア派人民が決起したことによって、イラク人民の闘いは全人民的蜂起とも言える段階に入ったのだ。
 米帝の占領政策とシーア派勢力との矛盾はそもそも深い。米帝は「イラク民主化」などと言いながら、シーア派の即時直接選挙の要求を拒否し、スンニ派系およびクルド人系とのバランス政治の枠内におしこみ、実質的に米軍権力の支配下にイラクを植民地的に支配し続けることを狙っている。
 昨年11月15日に、米帝の指示にもとづいて、統治評議会によって、いわゆる「主権移譲」への政治日程が発表されたこと、そして04年3月に「イラク基本法」の署名が強行(強要)されたことは、イラクの全人民、イラクの全勢力をあらためて大きくゆさぶることになった。米帝が「イラク基本法」で示したことは、《スンニ派系、シーア派系、クルド人系の各勢力を互いに拮抗(きっこう)させ、どの派にも権力をわたさず、権力は事実上米帝が駐留軍として握り続ける》ということであった。
 これに対して、イラク人民の不満と怒りは大きいものであった。とりわけシーア派系にとっては、このことは米帝・米軍がイラク人民にけっして真の権力を渡そうとしていないばかりか、イラク人口の6割以上をしめるシーア派に対してイラクの政治的ヘゲモニーをけっして与えないとしていることも意味していた。このため、この「イラク基本法」に対するシーア派人民の怒りは強いものであった。それが、ムクタダ・サドル師に代表される戦闘的部分の反米武装闘争への決起をもたらしたのである。
 米日帝などは、こうしたサドル師系の戦闘的決起について、シーア派の一部過激派にすぎないなどとしていたが、実際には反米帝・民族解放・革命戦争こそ真に必要という点からみれば、全イラク人民とシーア派人民の利害に沿った動きだったのである。
 この米帝のシーア派おさえこみ政策=イラクの事実上の植民地支配継続の政策へのシーア派人民の怒りの増大に対して、米帝は反占領=反米帝的スタンスの強いサドル師派への狙い撃ち的弾圧によってこれをおさえこもうとした。それは、サドル師系の週刊紙の発禁やサドル師側近の逮捕などとして強行された。
 この米帝の挑発的反革命に、サドル師派を軸とするシーア派人民の怒りが、マフディ軍(シーア派系民兵組織)を先頭として大爆発する。こうしたシーア派民兵組織が、対米武装闘争、ゲリラ戦争への決起を開始したことは、ファルージャの闘いを中心としたスンニ派人民の闘いと重なり合って、イラクの民族解放闘争がひとつ大きく飛躍したことを意味していた。
 ナジャフでは4日、シーア派数千人のデモがスペイン軍などと衝突。双方で合計24人の死者を出した。5日にはシーア派デモが警察署、政府系建物、寺院などを占拠。「ナジャフはシーア派民兵が支配している」(スペイン国防省)という状況が生まれた。
 バグダッドのサドルシティでは4日、マフディ軍と米軍が首都での最大規模の衝突となり、米兵8人がせん滅され、米軍車両5台が粉砕された。5日、米軍トラック5台のサドルシティ入りにもマフディ軍が反撃し、戦闘に勝利した。バスラでは5日、マフディ軍1千人が知事公舎を占拠し、英軍との5時間の銃撃戦となった。英軍はいったん撤退を強いられた。
 この4月4〜5日のマフディ軍の決起は、シーア派のデモが対米軍のゲリラ・パルチザン的軍事行動に発展したものとしてあり、大きな戦果をあげた。
 戦局は、ファルージャ、ナジャフを2大火点とする米英占領軍とそれに反撃する民族解放・革命勢力の民兵・民衆軍との本格的な市街戦的攻防を含むゲリラ戦争の様相を呈するにいたった。4月だけで米兵の死者は140人となった。これは03年3・20開戦から5月1日の大規模戦闘終了宣言までの期間の死者合計115人をも上回る。ファルージャでは、新イラク軍がイラク人民との戦闘任務を拒否したり、住民側に合流するなどの事態も起こった。こうした中で米帝は2個旅団1万人の増派を余儀なくされた。

 米帝支配うち破る武装闘争

 この間のファルージャ、ナジャフをめぐるイラク情勢の示すものは何か。
 ファルージャでも、ナジャフでも、明白に米軍の軍事・政治支配を拒否したゾーンが存在するのに、圧倒的な軍事力をもつはずの米軍が攻め込めないでいる。イラク人民の中に、米帝の力をもってしてもどうしても抑えきることなどできない民族解放・革命戦争としての力が形成されつつあるのだ。シーア派の民兵組織としてのマフディ軍は4月4〜5日の戦いをメルクマールとして強力に軍事的に登場し、ゲリラ戦争の経験を蓄積しつつある。そしてスンニ派、シーア派両者が闘いの中で連帯を深め、全人民的な民族解放・革命戦争への発展が切り開かれているのだ。
 米帝は、こうした事態の中で「停戦」政策によって、軍事的・戦術的には二正面激突を避けて各個撃破を狙い、また在沖米海兵隊に続き在韓米軍の精鋭を投入するなど戦力の建て直しを図ろうとしている。現在米軍はサドル師派への攻撃を強め、ナジャフ突入の機会をうかがっている。しかしどうあがこうとも、もはや米帝・米軍の戦略的敗北は不可避である。

 “主権移譲”はペテン 占領は完全な泥沼に

 米帝ブッシュは11月大統領選挙に向けて6月末「主権移譲」というスケジュールを空叫びしてきた。しかし、イラク人民の4月総決起は「イラク統治評議会」を軸としてかいらい政権をデッチあげ05年1月の総選挙を準備させるプランをうち砕いた。5月17日には、米帝のかいらいとなってきた統治評議会のイズディン・サリム議長(輪番制)ら9人のイラク人がせん滅された。
 米帝ブッシュは4月16日の米英首脳会談で、イラクへの「主権移譲」について、いわゆる「国連主導」方式のブラヒミ提案を認めると表明した。しかし、国連主導と言うもののその実態は米軍代表、イラク統治評議会構成メンバー、イラク各勢力代表などと国連が協議して決めるというものであり、米帝がOKしない形の暫定政権はつくれないのだ。米帝は暫定政権の主権を限定的なものに留めると主張している。しかもイラクという国の主権中の主権たる軍事力は米軍が握り、イラク軍や新たな国連決議のもとでつくられるという多国籍軍も米軍が指揮するのだ。要するに、これからも米帝がイラクを専制的に支配し、軍事占領し続けるのだ。国連も、多国籍軍も、暫定政権も米帝の補完勢力でしかないのだ。
 こうした事実から、フランス、ドイツ、ロシアなどは米帝との利害対立をますます強め、軍隊も派遣しないことを明言している。
 結局、米帝のイラク侵略戦争はますます泥沼化しつつ強引に進められる。そして11月大統領選挙で、ブッシュ、ケリーのいずれが大統領になってもイラク侵略戦争は継続し、米帝危機はさらに激化していく。
 以上から、米帝のイラク侵略戦争の泥沼へのはまりこみと日帝のそれへの参戦の泥沼的進行は、ともに04〜05年をとおして継続・拡大していく。米帝にとってベトナム失陥はありえてもイラク失陥はありえないのだ。今日の日帝にとってもまたしかりだ。
 したがって、われわれ労働者階級とその党にとって必要なことは、闘うイラク人民と連帯して米英日帝国主義をイラクからたたき出す闘いをとおして、帝国主義の危機を促進し、帝国主義そのものを打倒するための総決起をつくり出していくことである。

 自衛隊の即時撤兵へ闘おう

 最も重大なことは、自衛隊が駐留するサマワでもサドル師派とオランダ軍などとの戦闘が始まり、激化していることである。自衛隊とサドル師派との戦闘も不可避となってきている。石破防衛庁長官は11日の衆院有事特別委員会で、「自衛隊が移動する経路上で、そのようなことに遭遇した場合には、安全確保支援活動で行うことができる」と述べ、戦闘で負傷したオランダ兵の救出作戦は可能と強弁した。さらに石破は16日の報道番組で、新たな国連決議のもとで自衛隊の多国籍軍への参加がありうると述べた。この石破発言を許すな。日帝はいよいよ陸自の戦闘行動を開始しようとギラギラとした野望をむき出しにしているのだ。
 自衛隊のイラク即時撤兵とACSA改定・有事7法案阻止の闘いはいよいよ重大局面を迎えた。5〜6月闘争に総決起し、侵略戦争拡大と改憲に突き進む日帝・小泉を労働者階級の根底的な決起で打倒しよう。“闘うイラク人民と連帯し、米日帝のイラク侵略戦争を内乱に転化せよ”――この戦略的なスローガンのもとに闘いぬこう。

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