「七つの罪と、四つの終わり」プロローグ~第三話〔まとめ〕
七つの罪と四つの終わり プロローグ~第三話〔まとめ〕
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プロローグ
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――上へ。天蓋を越え、その向こうへ。
誰かが言った。雄々しい声で。
――其処が私たちの帰る場所。あなたのいるべき世界。
誰かが言った。優しい声で。
私は疑問を抱く。〝上〟にはいったい何があるのだろうかと。
――此処にはない多くのものがある。此処にあって上にないものは一つだけ。
それは何?
――果て。上には果てのない〝ソラ〟がある。
ソラ……。
あらゆるものが不確かで、ぼんやりとした世界。ゆらゆらと薄い影が揺れ、誰かの声が響き、私の疑問が反響する。それが繰り返される。何度も、何度も。
その中で私は呟く。
ソラ……ソラ……ソラ……――。
声も、想いも、すぐに滲んで消えてしまう茫漠の中で、それだけは手放さないように。失くしてしまわないように、言葉にする。
そんな風にして、ずっと漂い続けた。何となく、いつまでもこうした時間が続くのだろうと思っていた。
けれど――。
「――――」
何か、別の音が耳に届いた。
世界が大きく揺れる。風に揺らぐ。何もかもを曖昧に覆い隠していた霧が流され、薄れていく。
「――――!」
音は響き続ける。どこから……?
はっとして顔を上げる。
上……っ!
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