省エネ・温暖化防止・リサイクルに貢献するグラスウール断熱材
 






ロックウールにはたしかに撥水性がありますが、素材に撥水性があることイコール内部結露に強いというわけではありません。なぜなら内部結露の原因は水ではなく「湿気(水蒸気)」だからです。ロックウールもグラスウールと同じ繊維系の素材なので、周囲の空気に同調して湿気が出たり入ったりします。繊維系の場合「吸湿性」は、高温高湿下における一定時間後の材料重量増で表されます。グラスウールとロックウールを比較すると、どちらの吸湿率も非常に低く、吸湿性にほとんど差がありません。
 次に、万一内部結露が起こった場合を想定して強制的に結露が起こる環境をつくり、グラスウールとロックウールに含まれる結露水の量を比較する実験を行ってみると、断熱材に含まれた水分量はほぼ同じで、その結露水が乾燥するスピード(時間)にも差がないことがわかります。つまり、同じ繊維系断熱材であるグラスウールとロックウールでは、吸湿性においても、保水後の乾燥スピードにおいても差がないと言えます。
また、同じ大きさのグラスウールとロックウールを水の中に入れ強制的に水を含ませてみると、保水量はロックウールの方がはるかに多いため、ロックウールは一度水を含むと乾燥するまでに時間がかかってしまいます。




下表のように、グラスウールは密度を高くしたり、繊維径を細くしたり(高性能グラスウール)することで断熱性能が異なる様々な製品をつくることができます。性能のバリエーションが豊富なので、断熱計画をする際、必要な断熱性能やコストなど考慮すべき条件に基づいて最適なものを選択することができます。 公庫仕様断熱材種類のA〜Dに対応しロックウールより優れた熱伝導率をもつ高性能グラスウールも数多くあります。


高性能グラスウールとは

 

■断熱性能を熱伝導率で比較


断熱性能を比較表で見る


グラスウールとロックウールでは製品の圧縮率に大きな差があります。住宅用グラスウールは、1/8〜1/10まで圧縮しても開梱後の厚みの復元が保証できますが、住宅用ロックウールは1/3程度しか圧縮できません。たとえば一般的な公庫の融資住宅の仕様で1棟分にかかる断熱材の梱包数をみると、グラスウールは約19ケース、ロックウールは約2.5倍の45ケースも必要となります。
■家一棟分の比較(新基準IV地域)



比較方法
新基準解説書掲載モデル住宅(2階建木造軸組工法住宅延べ床面積:149.058m²、1F床面積:82.810m²、2F床面積:66.248m²)を対象に、「住宅金融公庫融資住宅木造住宅工事共通仕様書」に則り、住宅部位毎にグラスウール及び、ロックウールをそれぞれ使用し、新基準IV地域に適合する充填断熱を施工した場合、必要とされる住宅用各断熱材の量を、同一前提条件のもとに算出したもの。(床・天井1割増、壁2割増)


                             硝子繊維協会実験データより





グラスウールは繊維の1本1本の太さが均一で繊維が長く、弾力性にも富んでいます。ロックウールは、繊維が短くもろいので、圧縮した場合に復元しにくい素材です。さらに、繊維化されていないショット(ダマのこと)が混ざっているため手ざわりが悪くなります。

住宅用グラスウール
住宅用ロックウール
ロックウールにはショットが多い!
出典:硝子繊維協会

隣家火災時には自宅の隣接外壁表面温度は出火30分後には840℃にも達します。耐火性とはこうした火災時に火の進行をさえぎり、類焼、延焼をいかに防ぐことができるかです。自宅の外壁の中に充填されている断熱材の耐火性能を問う場合は少なくとも700℃レベルの高熱で比較しなければ意味がありません。ただし、断熱材が可燃性か不燃性であるかによって炎上や発煙の状況は大きく変わってきます。

参考資料:日本火災学会火災便覧


■そこで、火災想定実験700 ℃で比較しました。
グラスウール
ロックウール
硝子繊維協会実験

どちらも燃え上がることはなく、耐火性能にほとんど差はありません。


比較実験方法

隣家火災を想定して、自宅の外壁に使用される断熱材が約700 ℃の温度であぶられたらどうなるかを比較しました(参照右図)。次世代省エネ基準適合の木造住宅壁用充填断熱材としグラスウール16K-100mm、及びロックウール90mmを選定。家庭用カセットガスボンベにバーナーノズルを取り付け断熱材表面温度が約700℃になる位置として、断熱材から110mmの距離であぶる。実験開始後10秒経過時の状態を写真撮影にて比較。


耐火構造材料に認定されている断熱材の使用は不可欠です。
グラスウールもロックウールも同レベルの耐火性が認められています。

認定の種類


グラスウールが1/10に圧縮しても元通りに復元できるのは、繊維が全く違うからです。長く均一なグラスウール繊維は強靱で、曲げや引張りに強く施工時の取り扱いによる製品の傷みや性能低下を起こしません。

■断熱材の曲げ強度の比較


比較実験方法
次世代省エネ基準適合の木造軸組構法住宅壁用充填断熱材として、グラスウール16K-100mm、及びロックウール90mmを選定。透湿側フィルムを剥がし、左図のようにセットする。ロックウールは、少しの曲げで割れ発生。グラスウールは、直角に曲げても変化なし。上の写真は両者直角に曲げた状態を示したもの。