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生活困窮者支援へ新法案 生活保護受給前の対策強化

2013年1月23日

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 【有近隆史】増え続ける生活保護費を抑えるため、政府が制度の大幅な見直しに乗り出す。厚生労働省は通常国会に生活困窮者支援の新法と生活保護法改正案を提出する方針だ。生活保護を受ける前の段階から、生活困窮者を幅広い就労・自立支援につなぐ取り組みを強化する。同時に不正受給防止などの生活保護引き締め策も進める。

 この問題を議論してきた社会保障審議会の特別部会が23日、報告書をまとめた。生活保護受給者数は、昨年10月時点で過去最多の約214万人、生活保護費総額は4兆円に迫る。なかでも、働ける世代の増加が目立つ。働く世代への支援策や、雇用保険と生活保護の間の新たな安全網作りが課題になっている。

 新支援策では、生活保護受給者にとどまらず、支援対象を拡大。生活に困っている人を早期に把握し、生活保護に頼らなくても自立できるように後押しする取り組みに力を入れる。

 柱となるのが都道府県や政令指定市などに設置する「総合相談支援センター」。NPOや社会福祉法人などの協力を得て、支援の拠点とする。

 すぐに仕事に就くのが難しい人には、就労準備として、生活習慣づくりのための訓練などを実施。簡単な作業機会を提供する「中間的就労」も取り入れる。家計相談支援も実施し、住まいを確保するための給付金も制度化する。貧困の連鎖を防ぐため子どもへの学習支援も盛り込んだ。

 生活保護制度見直しでは、受給者が得た収入の一定額を積み立てとみなし、生活保護から抜けるときに当面の生活費として支給する「就労収入積立制度」を創設。また、積極的に就労活動をしている受給者へは手当を支給する。

 一方で、就職活動をしても半年をめどに希望の仕事に就けなかった場合、賃金が低くてもいったん就労してもらうことを促すなどの引き締め策も進める。

 芸能人の母親が生活保護を受けていたことが社会問題となったことを受け、受給者の扶養が難しいと答えた扶養義務者に説明を求めることも必要とした。不正受給を防止するため、罰則を、今の「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」を目安に引き上げる。

 不正を行った医療機関については、指定医療機関の取り消し要件を法律に明文化。原則5年間は再指定できないようにする。

 ただ、生活保護の不正受給は2010年度で約128億円と、生活保護費全体の中ではごく一部だが、「制度全体への国民の信頼を損なうことにもつながりかねない」として、厳正に対処することが必要としている。

     ◇

■新たな生活困窮者支援策と生活保護見直しのポイント

【就労・自立支援策】

・自治体に「総合相談支援センター」を設置

・簡単な作業を提供する「中間的就労」の導入

・住まい確保のための給付金を制度化

・生活困窮家庭の子どもへの学習支援

【生活保護見直し】

・「低収入・短時間でもまず就労」方針

・「就労収入積立制度」の創設

・扶養困難な理由の説明責任

・医療扶助のセカンドオピニオン活用

・受給者の保護費支出状況を調査できる権限

・不正受給の罰則を強化

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