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「『CASE』ってエロゲー知ってる?」「うん知らない。」
作者:阿傘 唯
リンク作品『Hな私はいかがですか?』
http://ncode.syosetu.com/n4933bl/
挿絵提供:二式先生
http://6871.mitemin.net/

ある日の事。

私は友人から、とあるゲームを紹介された。

ソフト開発は『ブレインオンライン社』という出来たばかりのゲーム会社。

去年までは脳科学の分野で名を馳せたベンチャー企業。

何故そんな会社がゲーム業界なんかに参入してきたのか。

何気に興味を持っていた事は事実で…。

「ねえねえ、十音じゅおん?あなた、『ヴィアルエンジン』は持ってたっけ?」

友人の文香ふみかはそう、私に聞いて来る。

VEヴィアルエンジン』。

ブレインオンライン社が開発した脳の海馬に直接働きかける、新しいタイプのゲーム機本体。
見た目は半世紀以上も前に流行ったと以前ネットで見たことがある『ウォークマン』とかいう奴にそっくりな、次世代VRMMO専用の機械。
この小さな本体に『CASE』のゲームカードを差し込み、イヤホンを装着すれば、電磁波が耳骨から振動を海馬に伝え、記憶領域に信号を受信。
そのまま誘眠電磁波の作用で眠りにつけば、そこはファンタジー漂う異世界。

と、オンラインマニュアルに書いてあった事を思い出す。

「…はい。持っていますが…。」

警察学校に通う文香は勉強そっちのけでこの『CASE』というゲームに嵌りに嵌っているらしい。
来週試験があるとか言っていたのに大丈夫なのだろうか…。

「じゃあ、決まりね♪」
「…何が、ですか?」

敢えて聞き返す私。
少し意地悪な所がある、それが私という人間。

「何がって…。『CASE』よ『ケ・イ・ス』!」
「…それは、『一緒にやろう』という意味でしょうか…。」
「そうよ~。それ以外にどんな意味があるのよ、全く…。」

屈託の無い笑顔。
普段無表情の私には出来そうも無い、笑顔。

「一旦『VE』にダウンロードしたらソフトは必要ないからさ~。貸してあげるから一緒にやろう?」
「はあ…。」

言い出したら聞かない。
すぐに自分のペースに持って行ってしまう。
文香のそういう所が可愛いと思うし。
文香のそういう所が、嫌いだ。

「…ちなみにどんなゲームなのですか?」
「あれ?…十音ってば、自分の興味のある事以外は、ホント何も知らないんだから…。」

溜息を吐きながら、文香はそう言った。
その溜息も、私は嫌い。

「…噂で少しは聞いたことがありますが…。」

ちょっとイラっとした表情でそう言う私。

「あー…でもそれって、ほとんどアテにならないと思うけどなぁ…。」
「?」
「だってさぁ…この『CASE』ってゲーム…。」

少し話すのを躊躇する文香。
なんでだろう。

「…エロいやつだよ?」
「…はい?」

…何かの聞き間違いだろうか。
今『エロい』って聞こえたような…。

「だーかーらー、公式には『モンスターを異世界で狩るVRMMOの最新作』ってなってるけどさぁ…。」

確かにそう書いてあった。
だから私は興味が無かったのだが。

「…実際は、モンスターにやられたりPKされたりすると…『デスペナルティ』が発生してさぁ…。」

デスペナルティ…。
何回か聞いたことがある言葉。
でもそんなのは普通にある事なのでは無いのだろうか。

「…その『デスペナ』がエロいんですよ、十音殿。」
「はあ…。」

…良く分からないが、取り合えず返事をしておく。
さしずめ、ゲーム業界に参入してまだ日が浅いブレインオンライン社が『サービス』と称して実装したのだろうと予想する。

「私…初日に〇〇〇な事や×××な事までさせられちゃって…。はぁ…。お嫁に行けないよぅ、これじゃぁ…。」

…じゃあ、なんで少し嬉しそうに頬を赤らめているのだろう。
結局はゲームの世界。
『そういうの』を楽しんでいる、といった表情。
だから私は、文香が嫌い。

「十音もさぁ…今まで『そういった事』に全然トライした事、無いじゃない?中学からずっと。」

…ニヤリ、と笑う文香。
この笑顔も、私は嫌い。
そして、余計なお世話。

「…やっぱ、止めておきます。」

私は文香の顔を見るのが耐えられなくなり踵を返す。

「あ、ちょっとぉ~!途中で抜けるな十音~!」

後ろで何か言っている文香を振り向きもせず。

私はその場を後にする…。




◆◇◆◇




自宅に到着した私はインターネットを開く。

そして『CASE 裏情報 デスペナルティ』で検索を掛ける。

すると沢山のヒット数。

その中で『ブレインオンライン社非公式マニュアル』という項目を発見。

私は最初のページから読み始めた。



◆◇◆◇

『ブレインオンライン社非公式マニュアル』


この度は弊社のパソコン用ソフト『CASE』をお買い上げ頂き真に有難う御座います。

以下、簡単ではありますが、プレーヤーの皆様が冒険に出られるまでのヘルプを記載させて頂きたいと思います。
また、まだアカウントをお持ちでないプレイヤーの方は以下のサイトにアクセスし、『ID』と『パスワード』を入手されてからゲームを開始される事をお勧め致します。
(もちろんゲームソフト『CASE』だけでも物語を進めて行く事は可能です。ただし、その際は『オフライン』での物語進行となりますのでご了承下さい。)

https://www.blain-online.net/login/mail_in.cgi?siteno=


●それではタイトルから『NEW GAME』を選択し、次の画面へとお進み下さい。

【プレイヤー名、性別、生年月日を入力】

まずはあなたの分身となるキャラクターの情報からの入力となります。
これらの3つの情報から『姓名判断』『生年月日と星回り』の当社占い配信サイトでの情報を加味し、あなたの『運』の数値(隠しパラメーター)が決定されます。
今後、ストーリーを進めて行く上でとても重要な『要素』になるやも知れません…。

【容姿設定】

当社サイトにログインされたプレイヤーの方は『ID』と『パスワード』を入力して下さい。
既に入力頂いた容姿のデータがそのまま反映されます。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


また『オフライン』でプレイされるプレイヤーの方々は、以下の質問にお答え頂いた後、20項目にも渡るキャラクタークリエイトをお楽しみ下さい。
すぐに本編をスタートされたい方は『簡易キャラクター設定』をお選び下さい。

◇オフライン・プレイヤー専用◇

質問A

『あなたは死後、現実の世界に一度だけ遣り残した事を完了させる為に戻って来たとします。その「遣り残した事」とは?』

質問B

『あなたはついカッとなり他者を殺害してしまいました。その後、あなたが取った行動とは?』

質問C

『あなたの目の前でとても大切な人が殺されてしまいました。その後、あなたが取った行動とは?』

質問D

『あなたは一度に3人の人を好きになってしまいました。そのうち一人と結婚し、もう一人は殺さなくてはいけません。そしてその殺さなくてはいけない一人を、最後の一人に殺させなければいけません。
さて。あなたはどんな方法で「殺害計画」を実行されるでしょうか?』

質問E

『あなたはとても重い病気に罹りました。しかし目の前にはどんな病気でも治す事が出来る「秘薬」が置いてあります。しかしそれを飲む事により、あなたは見るも無残な「モンスター」へと変貌してしまいます。
あなたはこの「秘薬」を飲みますか?それとも「死」を迎えるまで平穏な日々をお過ごしになられますか?』


以上の5つの質問の回答を入力後、『キャラクタークリエイト』画面でのヘルプを参照し、各項目の設定を行ってください。

【職業選択】

以下の五つの『職業』よりお選び下さい。
※職業は途中で変更は出来ませんのでご注意下さい!


①『ADVENTURER』:【冒険者アドベンチャー
②『PATHFINDER』:【開拓者パシフィンダー
③『HUNTER』:【狩猟者ハンター
④『MIXMAKER』:【調合者ミックスメーカー
⑤『TAMER』:【調教者テイマー

それぞれの職業の特徴については『詳細確認』画面で確認出来ます。

【武器選択】

以下のカテゴリーからあなたが装備する『武器』を選択して下さい。
※武器のカテゴリーは途中で変更は出来ませんのでご注意下さい!

①片手剣
②大剣
③双剣
④大太刀
⑤小剣
⑥細剣
⑦大鎌
⑧円月輪
⑨大槍
⑩大斧
⑪曲刀
⑫銃剣


以上の『武器カテゴリー』の中でも、さらに何十種類もの武器が存在致します。
一度登場した武器はどこかで手に入れる事が出来る『武器全集』にその都度記載されて行きます。
是非とも『武器全集』のコンプリートを目指してみて下さい。


以上で初期の設定は終了となります。
そのままオープニングへとお進み下さい。


以下、その他詳細ヘルプ

※『武器レベル』について

この『CASE』の世界ではプレイヤーにレベルの概念は存在しません。
キャラクターを強化させるにはまず『武器レベル』を鍛える事から始めましょう。
最初に装備されている武器でも、どんどん敵を撃退し鍛えて行けばいずれは最強の武器まで成長します。
ですので、とにかく武器を使い続ける事。それがキャラクターを強化する近道です。
また、物語の進行中に様々な武器が手に入ります。
中には素材を使い武器を『強化』してくれるキャラクターも登場して参りますので、思い切って新しい武器に装備を変更したり強化したり…。
様々な方法を用いて『最強の武器』を目指してみて下さい。

※『スキルレベル』について

武器レベルと同じく『スキル』にもレベルが存在します。
『スキル』は一つの武器に数種類存在している、いわば『技』のようなものです。
その種類は膨大で、全てのスキルを閲覧するには相当な根気と時間を要するでしょう。
この『スキル』も使用した回数、敵の強さ、与えたダメージ等を加味し、レベルがアップして行きます。
最初は全然使えないようなスキルでもレベルを上げれば最終的には意外な効果が出てくるかも…。
中には『レアスキル』というものも存在しますので、物語を進めながら様々な『スキル』を探してみては如何でしょうか?

※『ランク』について

各『職業』には『ランク』というものが存在します。
物語スタートの時点では『ランク』は『E』からスタート致します。
(中にはもっと上のランクからスタートするプレイヤーも存在致します。最初に入力頂いた情報により上下致します)
『ランク』は全部で8種類。
上から順に、SSS、SS、S、A、B、C、D、Eと御座います。
モンスター撃破数、武器レベル、スキルレベル、PK数、レア武器・レアスキル・レアアイテム収集数等を加味し、随時ランクアップして行きます。
『ランク』が上がれば上がるほど、様々な恩恵を受ける事になりますので、是非とも最高ランクを目指してみて下さい。

※『DP』について

『DP』とは『デスペナルティ』の略です。
頭上のアイコンの最後に記載されておりますが、デスペナルティ一回につき『★』が一つ付加されます。


(EX.)
[name] 〇〇〇〇 [arms] 火炎剣【焔】Lv.6
[job] ADVENTURER [rank] C [DP] ★★☆☆☆ ←※この部分です
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



この『デスペナルティ』を付加させる事はこのゲーム『CASE』の醍醐味の一つでもあります。

モンスターに倒される、もしくは他プレイヤーから『PKプレイヤーキル』をされると『デスペナルティ』が発生致します。
まずはスタート地点に強制的に転送され、そこでアナウンスが流れます。
次に『サイコロ』が画面に表示されますのでアナウンスに従い、サイコロを振り、出た目の『デスペナルティ』を30分以内にクリアして下さい。



(EX.)

『デスペナルティ―本日のサイコロの目―』

[1]異性に15秒間抱擁する
[2]異性に15秒間罵声を浴びさせる
[3]異性に15秒間誘惑の言葉をかける
[4]異性に15秒間耳元で愛の言葉を囁く
[5]異性に15秒間上目使いで熱い眼差しを送る
[6]異性に15秒間電気アンマをかける



30分以内にクリア出来れば『DP』に★が一つ付くだけで現時点でのペナルティは終了となります。
ただし、30分以内にクリア出来なければ、即『死亡』となります。
今までに貯めた武器レベル、スキルレベル、アイテム、ランク等が全てリセットされ『NEW GAME』からのスタートとなりますのでご注意下さい。キャラクター情報も全てリセットされます。
『デスペナルティ』は回を重ねるほどに内容が過激になって行きますのでご注意下さい。
また、『DP』が★★★★★まで溜まった際には『イベント』が発生致します。
どんなイベントなのかはその目で実際にお確かめ下さい。

※『PKプレイヤーキル』について

この『CASE』は基本的にはモンスターを狩り、素材を収集し武器を強化、そしてまたモンスターを倒し…という『狩り生活ハンティングライフ』をゲームの軸としておりますが、『デスペナルティ』の性質上、『プレイヤーキル』も推奨しております。

いかに他プレイヤーに『DP』を発生させ、『Hなお仕置き』をする事が出来るのか。

この『DP発生数』も『ランクアップ』の重要な要素となっておりますので、どんどん他のプレイヤーに戦いを申し込み『デュエル』を発生させるのも良いでしょう。


以上、簡単なヘルプでは御座いますが、プレーヤーの皆様の有意義な『狩り生活ハンティングライフ』の一環となられます様、心より宜しく申し上げます。

それでは『CASE』の世界を十分に堪能なされます様…。



提供:(株)ブレインオンライン




◆◇◆◇




「…なるほど。」

私はインターネットを閉じる。




そして私は―――











本編『Hな私はいかがですか?』
80,000アクセス突破&挿絵掲載記念短編作品でした♪

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