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県、TPP影響試算及び腰
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日本が環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合の農林水産業への影響額について、国が3月公表した試算に基づき、都道府県単位で試算を実施する自治体が全国で相次いでいる。本県の聞き取りによると、既に試算を実施しているのは18道県(3月末現在)。ただ、本県は、国が示した試算の方法や品目が不十分−とし、はじき出される額が「本県の実態とかけ離れる懸念がある」との見解から、今のところ試算は実施していない。
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2日の定例記者会見。国の試算への見解を問われた三村申吾知事は「本県の実態に照らして算出するには、今回国から示された情報だけでは不十分。今後、国にさらなる情報提供を求めながら、試算が可能かどうか検討したい」と述べた。
国は3月、関税撤廃で農林水産物の国内生産額が約3兆円減少するとの試算を公表。コメや牛肉など、国内生産額が10億円以上で関税率が10%以上の33品目について、生産減少額をそれぞれ見積もって合算した。
ただ、県によると、例えば、リンゴは「濃縮果汁は一部を除いて置き換わる」とだけで生果の減少分は一切考慮されていないなど、品目によって算定方法が曖昧だという。
県農林水産部の一戸治孝部長は「国の算定手法で検討はしたが、本県にとって重要品目のニンニクやナガイモが入っていないなど、本県の実態を反映できるか疑問がある」と述べ、生産面だけでなく販売・流通を含めた関連産業について、統一の試算基準を提示するよう国に求めている。
試算を実施した道県への本紙聞き取りでは、国の方法に準じた自治体が多い。
群馬県によると、同県名産のコンニャクイモは、試算の品目に含まれていながら、「TPP関係国からの輸入実績がほとんどない」との理由で、国は減少額をゼロに設定。担当者は「将来、関係国が輸出国になった場合は大きな影響が懸念される−と、しっかり付記した」と話した。
北海道は、農業産出額などを基礎に、産業連関表を用いて、周辺関連産業の消費や雇用まで含めた影響を単純化して算出した。
総合政策部政策局総務課の仲野克彦主幹は「数字はあくまで仮定のもので、独り歩きするのは怖いが、議論するたたき台にはなると公表した。道民に問題意識を持ってもらう上で、意味はあると考える」と話している。
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