消費増税:還元セール禁止へ 税抜き表示容認…政府・与党
毎日新聞 2013年03月12日 20時20分(最終更新 03月13日 01時11分)
政府・与党は12日、消費税率引き上げに伴う価格転嫁対策で、「増税分を消費者に還元する」と銘打った大手小売業者の値引きセールを禁止することなどを盛り込んだ特別措置法案をまとめた。転嫁対策に加え、税込み価格の表示を義務づける現行制度を緩和して税抜き価格表示も一定期間認める。税率引き上げが14年4月の8%、15年10月の10%と2回にわたるため、小売業者が増税のたびに値札を書き換える負担を軽減する。法案は3月中に国会へ提出する。【永井大介】
法案では、税率引き上げに合わせて、立場の強い大企業が、取引先の中小企業から製品の納入を受ける際に価格転嫁を拒否したり、価格転嫁をする代わりに商品を値引きさせるなどの行為を禁止する。保護対象は資本金3億円以下の中小企業。違反した大企業には公正取引委員会や所管官庁が立ち入り検査を実施し、悪質な場合は社名も公表する。今年10月の施行を目指し、17年3月末までの時限措置となる。
大手小売業者の消費増税時の値引きセールは、「消費税相当分を値引きします」「消費税相当分はポイントを付与します」などをうたい文句にしたセールが禁止の対象になる。こうしたセールは、仕入れ先の中小企業に消費増税分を値引きさせるなどのケースにつながりやすく、法律で禁止することにした。
ただ、増税後は消費の落ち込みも懸念されるため、セールそのものを禁止することには業界団体から反発も出そうだ。スーパーマーケット関係者は「安売り競争に歯止めがかかるので業界としては歓迎できる側面もある」としながらも、「セールの名称を『消費税還元』にしたからといって、納入業者の価格転嫁を認めないわけではない。法律で縛るのはいかがなものか」と指摘する。
このほか、中小企業が足並みをそろえ増税分を価格に上乗せする「転嫁カルテル」や、消費税の価格表示を業界内で統一する「表示カルテル」も容認する。
また、価格表示は現在、5%の消費税分も含めた「総額表示」が義務づけられているが、今後、2回の増税が予定され、そのたびに値札を変える必要がある。小売業者の負担が重いため、17年3月末まで「税抜き価格」の表示を認める。現在は本体価格が100円の場合は「105円」と表示しなければならないが、法案では店内に消費税率を明示することを条件に「100円(税抜き)」「100円+税」などの表示も容認する。