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地の文でウソを書かない
 小説を書く上で、少しは小説も読んでおかなければと、時々ブックオフなどで面白そうな本を漁って読むことがあります。
 もともと本を読むのはあまり好きじゃなかったのですが、それでも面白い小説というのは、読んでいくうちにどんどん続きが気になり、はまってしまうものです。

 大体あとがき、解説までしっかり読むのですが、その中で気になった一文がありました。

「本作では、地の文のなかにシンジツではない記述があるという、ミステリーとしては大変基本的なルール違反をしている部分があります」(R.P.G./宮部みゆき あとがきより)

 当たり前といえば当たり前なのですが、「地の文」というのは、読者が小説を読むうえで手がかりとなるものですから、ウソの記述があっては困るわけです(ちなみに宮部さんは、R.P.G.の作品中では確信犯でやっているとのこと)。

 作品によっては、本文中の出来事をごまかして、読者に誤認識ミスリードさせ、後で驚かせるという手法を取りたいものもあるでしょうが、地の文では真実でないことを書いてしまうと、読者が混乱してしまうのです。
 もしそういう記述があったなら、後で「それがどういう意味なのか」というフォローをする必要があります。ただ、なかなか矛盾を解決する物語に修正するのは難しいものです。

 じゃあ、どうすればいいのか。
 例えば、「地の文でウソを書いてはいけない」とは言っていますが、それを登場人物の考えを述べている、ということにすれば、別に「ウソは書いてない」ことになるのではないかと思います。それが真実でなくても、単に登場人物の考え違い、ということにすればよいのですから。
 あるいは、正確な情報を伏せ、あやふやにしてしまう、あるいは勘違いさせるような書き方にする、という方法もあります。

 つまり、ウソの情報が読者の頭に入ってきたことを登場人物のせいにする、あるいは読者の思い込みのせいにする、というやり方です。
 文字だけの情報ですから、いかに「ウソを言わずに読者をだますか」ということを考えることが、おもしろい作品を作るためには必要になってくるのではないかと思います。

 読者に情報を与える場としての地の文にウソのことを書くことはできませんが、ウソは必要になってくることもあります。
 いろんなテクニックを使って、「読者をだます」文章が作れるようになりたいものです。


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