韓国政府と与党セヌリ党は大規模補正予算の編成作業を進めている。その額は17兆ウォン(約1兆4200億円)から19兆ウォン(約1兆5900億円)に上る見通しだ。新年度予算案は3カ月前に可決したばかりだが、国家の運営に必要な資金が早くも足りなくなったというわけだ。今年度の当初予算は342兆ウォン(約28兆5800億円)だが、今回の補正はこの予算全体の5.3%にも達する。今のところ税収(租税収入)も当初の見通しに比べ少なくとも12兆ウォン(約1兆円)ほど足りない状況だという。
2009年のようにリーマンショック直後の厳しい状況でないにもかかわらず、予算が20兆ウォン(約1兆7000億円)近く足りないというのはまさに異常事態だ。さらに深刻な問題は、現時点で明らかになった赤字は氷山の一角に過ぎないかもしれないという点だ。このままでは下半期になるほど経済状況がさらに悪化する可能性も高く、そうなると税収が減る一方で支出ばかりが増え、赤字も雪だるま式に膨らむだろう。それでも大統領府と政府、与野党は国民になぜこうなったのかという明確な説明も、また謝罪もしないどころか、補正予算の編成は当然とでも言いたそうな態度だ。政府と国会による予算審議のプロセスを見ていると、経営が破綻した企業が見せ掛けの売り上げを増やし、費用を減らして赤字を隠そうとする、まさに「粉飾」という印象をぬぐい去ることができない。
昨年末、新年度予算案での税収をテーマに国会で議論が行われた際、政府は「4%成長見通しに伴う税収予想に大きな問題はない」としていた。これに対して野党はもちろん、与党からも「3%成長さえ難しいのに、あまりにも楽観的な見方だ」と批判したが、政府は「税収目標の達成」にばかりこだわった。産業銀行、企業銀行、仁川空港など公営企業の売却による税外収入についても「売却そのものが難しく、また売却益も楽観的すぎる」との指摘が何度も出たが、政府は「問題ない」という答弁ばかり繰り返した。それからわずか3カ月で政府の主張が間違っていたことが予想通り明らかになったが、これについても政府では誰も責任を取らないばかりか、説明すらない。