あれから1週間で、ブログへのアクセスが20万を超えた。いわゆる炎上の状態である。「驚いたが、勉強にもなった」と、民主党の小西洋之参院議員は言う。多くの批判にもひるんではいない▼先月29日の予算委員会で安倍晋三首相に強い調子で切り込んだ。日本国憲法のなかで一番大切な条文は何か。個人の尊厳をうたい、人権の保障を包括的に定めているのは何条か。逃げは許さじと畳みかけた▼首相は「クイズのような質問」に不快感を示し、「大学の講義ではない」と反発したが、答えとなる条文をあげることはなかった。小西氏が首相から引き出そうとしたのは13条である。その前半に「すべて国民は、個人として尊重される」とある▼ざっくりいえば、自分の人生は自分で決められるということである。社会の中の多数派も少数者も等しくそうであり、そこに国家が口出しすることは許されない。「切り札」としての人権とも呼ばれる▼首相が、この憲法のいわば肝の部分をきちんと捉えていないのではないか。小西氏はそこを突こうとした。氏との問答に「何の意味があるのか」と首相は不満げだったが、意味は大いにあった。「首相として」憲法を改正したいという安倍氏の憲法観、人権観は、もっともっと子細に明らかにされるべきである▼政界の憲法論議がいよいよ盛んになってきた。まっとうな議論なら聞く耳も多いだろう。小西氏は5月の憲法記念日に向け、13条を考える超党派の議員連盟をつくりたいという。