慶應義塾大学法学部卒。国内銀行にてファンド、変額年金保険などの個人向け資産運用相談業務を担当。2006年リッパー・ジャパン(トムソン・ロイターマーケッツ)入社。ファンドのデータ分析を担当した後、現職。

 

篠田最優秀運用会社(総合部門)でフィデリティ投信が世界初の4年連続受賞*となりました。これは日本では初めてのことで、大きな驚きでした。一方で、個別ファンドでも資産クラス別の運用会社でも初受賞となる商品や会社がいくつかありました。またこれは総合だけでなく、株式、債券、ミックスアセットそれぞれの部門についても言えることですが、今回も中長期にわたって全評価対象ファンドが高いパフォーマンスを維持し続けたという点が、運用会社賞受賞のポイントとなりました。(*カナダのPhillips, Hager & North社も同時に世界初の4年連続受賞)

篠田 ここ数年の傾向ですが、一方向に相場が動くというよりはマーケットのボラティリティが非常に高く、私たちのレーティングもかなり変化をした一年となりました。個人の方にとっては乱高下に振り回された厳しい一年間だったのではないかと思います。日本の投信は残高ベースでみると8割近くが外貨建て資産となっていて、個別のファンドがいかに為替リスクを負っているかがここにきて明らかになり、為替のリスクをコントロールするという考え方が注目を集めるようになりました。為替とのつきあい方を考えないと、利益がフイになるということを実感した方も多かったのではないでしょうか。

篠田 ポイントとなるのはリスクコントロールだと思います。一つが為替のリスクコントロール、もうひとつが評価の厳しくなってきた毎月分配型ファンドの動向です。毎月分配型ファンドには年明けから元本を切り崩してまでは分配金を出さないタイプのものが相次いで設定されています。一方で年金ニーズのある高齢者の方向けに元本からあえて切り崩して分配金を出すタイプも登場しています。為替リスクを負うかどうかと合わせ、個人投資家自身がますます選択を迫られるようになりそうです。

篠田 より正確なデータ、私見が一切入らない定量評価を使い、日本にある投資信託がどんなパフォーマンスを上げているのかの情報を提供していくことが私たちに課せられた役割です。また、確定拠出年金制度が始まって10年が経過し、日本版ISA(少額投資非課税制度)がいよいよ来年からスタートします。今年は一つの転換点となるような一年になるのではないかと考えていますので、私たちもこうした動きに連動して、個人の方に向けたファンドの普及活動に取り組んでいきたいと考えています。

篠田 日本のファンドの残高はリーマンショック後、足踏みをしていますが、銘柄数は純増しています。個人投資家にとっては選択肢が増えているということですが、なかにはリスクの高い商品もあります。個人投資家が投資判断をするとき、私たちのような中立的な評価機関が果たす役割は今後ますます重要になっていくと思われます。たとえば5年前に毎月分配型の人気ファンドを買ってから何もしていないという方からみると、市場やファンドの環境はがらり変わってきています。リッパーではこのアワードや、独自のレーティングなどを通じて、今、日本にあるファンドがどんなパフォーマンスを上げているのかを、個人投資家に向けてより積極的に発信したいと考えています。

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この記事は2013年3月に制作されたものです。
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