千代田区のJR御茶ノ水駅近くにある明治大学。休み時間に2人の女子が何やら廊下で立ち話をしている。「ぶっちゃけ、A君のこと好きでしょ」「彼、DQNだからなあ……」。この会話の意味、みなさんはご理解いただけますでしょうか。
若者の間で次々生み出される「新語」。主に中学生や高校生がインターネット上で交わしている言葉が、日常会話にも出てきている。冒頭の「DQN」は「ドキュン」と読む。語感だけだと、ときめきを覚えた時に使うようにも思えるが、「不良っぽくて非常識な様子」を表すマイナスの表現だ。
学生ですら新語が生まれるペースについて行けないことも。そんな中、キャンパスにいた50人ぐらいの学生に、複数回答可で「よく使う新語は?」という質問をぶつけてみた(休み時間を使った調査のこと、精密に数え切れなかったので「ぐらい」という表現をお許し願いたい)。
30人ぐらいが挙げてトップだったのが「なう」。これはツイッター用語で、2010年の流行語大賞の「トップテン」にも入ったので、ご存じの方も少なくないのでは。
英語の「now(いま)」に由来し、現在の自分の行動を表す場合に用いる。「学校到着なう」(=いま学校に到着した)が一例だ。過去を示す「わず」や未来のことを言う「うぃる」が使われることも。それぞれ「was」「will」に由来している。
次はどうだろう。
「ゆーて」。接続詞の役割で、「そうはいってもやはり」という意味で使う。「ゆーて無理だから」といった使い方をする。
「とりま」。これは「とりあえず、まあ」を短縮したようで、意味もそのまま「とりあえず、まあ」。
他人を攻撃したり、けなしたりすることを指す「でぃする」。これは英語の「dis」(否定的な意味を表す接頭辞)、もしくは「軽蔑する」を意味する「disrespect」からきているらしい。
取り返しのつかないことをしてしまって「もうだめだ」という感情を表す「つんだ」は将棋などの「詰んだ」が由来。「ちょっとやりすぎじゃない?」と思った時に使うのは「エグイ」。
これらはいずれも、10人以上が回答した。
女の子に多かった回答が、男性を表現する言葉だ。「やさお」は優しく紳士的な男性を指す。「イケメンタル」は性格がいい男性を意味する。
ちなみに、私は大学で日本文学を専攻している。日頃から「できるだけ正しい日本語を使いたい」と思っていて、「ら抜き言葉」ですら抵抗があるが、友だちとの会話についていけないのも困りもの。最近、「少しは新語を学んだ方がいいかな」と悩んでいる。(明治大1年 中村綾佳)
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同じく千代田区にある法政大学。こちらからは、新入生がやってくる4月から耳にすることが多くなる新語を紹介したい。
まだ友だちが少なく、1人でぽつんと教室にいる新入生。「誰か知っている人はいないかな」と周囲をキョロキョロしていると「あいつ、『キョロ充(じゅう)』だな」と笑われてしまう。
私も入学当初は「キョロ充」だった。必死に友だちづくりに励み、それでも授業を1人でやり過ごす時の心細さ、そして友だちを見つけたときの安心感。
季節は巡り、春になれば今年もまたキャンパスに「キョロ充」が現れる。姿を見かけたら、どうか温かく見守ってあげてほしい。(法政大2年 藤井志帆=2012年2月25日掲載)
「リア充」は、「リアルな生活が充実していること」をうらやんだり、からかったりするときに使う若者の言葉。「リア充!?@キャンパス」は、大学新聞の記者たちに身近な話題を報告してもらう企画です。朝日新聞東京版に随時掲載。企画・構成/朝日新聞東京総局