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卓上四季

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防犯ブザー

<さくら道一年生がよく目立つ>。小学2年生の男の子の句。俳人金子兜太(とうた)さんが監修した「小学生の俳句歳時記」(蝸牛新社)<春の部>にあった▼君だって、ちょっと前まで1年生だったのに、すっかりお兄ちゃん気分なんだね―。ぴかぴかの新入生を見守る視線が温かくて、ほほ笑ましくて、そんな言葉をかけたくなる▼ところで、新入学の子どもたちにとって「必需品」とは何だろう。夢と希望と勇気―。そんなことを言ったら、きょとんとされてしまいそうだ。ランドセル、上履き、鉛筆と消しゴム、このごろ重さを増した教科書…。わが物顔で車が走る社会では「黄色い帽子」も必要か。このご時世では「防犯ブザーが必携」という街もあろう▼東京都町田市では、9年前から市立小学校に通う1年生全員に、また私立と朝鮮学校には要望に応じて、防犯ブザーを配布していた。子どもの安全に分け隔てがあってはならない。当然の施策だろう▼ところがこの春、朝鮮学校の児童への配布をやめる決定をした。北朝鮮との関係が緊張していることを考慮した結果という。市教委の職員から「市民の理解が得られない」「今はまずい」との声が上がった(朝日新聞)そう▼勝手に“空気”を読み、「見守り策」を剥ぎ取る行為は人間の尊厳を奪うのに等しい。気付かない行政には人権感覚を監視する警報ブザーが必携だ。2013・4・6

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