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司会:
 おはようございます。
 ただいまから定例記者会見を始めさせていただきます。
 よろしくお願いします。


奈良県の消費実態について-平成21年全国消費実態調査の結果より-
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)
知事:
 おはようございます。それでは、ご報告いたします。

 平成21年全国消費実態調査の結果が総務省より公表されましたので、奈良の消費実態を県で取りまとめました。概要の要旨を申し上げます。

 消費支出は全国3位、1世帯当たり1カ月消費支出は32万7,550円ということで、消費は高い傾向にあります。県外での購入割合は全国1位です。これは奈良県が総務省にお願いして、この項目を入れていただきたいということで、今回から入ったものですが、それが15.9%ということです。これはゼロサムゲームですので、消費が県外から入ってくるのと、出ていくのがあります。あとで出てきますが、2位は13.4%です。

 それから、貯蓄現在高は全国2位で、これもあまり減少していません。これは表に出た貯蓄額ですので、たんす預金などのへそくりは計上されていません。銀行預金など統計に出た分だけでこれくらいあるということです。全国の貯蓄現在高は減少しましたが、本県の減少率は0.5%で僅少でした。そのようなことが大きな特徴です。

 奈良県分については、全県が対象ではなく、12市4町2村の二人以上の世帯720世帯と、単身世帯52世帯がこの全国消費実態調査の対象になっています。トレンドや全体の推計には十分だと思います。

 その詳細版が、奈良県結果の概要という資料です。1世帯当たりの消費支出は0.9%の増加ということです。下にグラフがありますが、5年ごとの調査で、平成6年をピークに、消費支出の全国平均が落ちてきている中で、奈良県の消費はこの5年間横ばい、今回やや増加しているというのは、若干注目すべきかと思います。原因はこういうデータをもとに追究していくことになります。

 その次は、支出項目別の消費支出です。3ページに表がありますが、住居の増加率が最も高くなっているということで、奈良県では住居関係の消費がここ5年間旺盛だというようにも見受けられます。どういう原因でそうなったのか、もう少し追究が要ると思いますので、今後、暮らしの実態を追究していきたいと思っています。

 4ページ目は、購入先別の支出割合ですが、一般小売店が低下して、ディスカウントストア・量販店が増えています。全国的な傾向だと思います。奈良県は百貨店が非常に少ない県ですが、最近できている量販店などの支出が多くなっています。

5ページは概要の2点目です。県外での購入割合が全国1位だということは、かねてからそのような傾向が続いていますが、国の調査でも明らかになりました。近畿2府4県でも高くなっていますし、全国でも高いという傾向です。

 それから支出項目です。何が県外で買われているのかということですが、身の回り品、化粧品などの「その他の消費支出」が多い。「教養娯楽」は、一説ではパチンコ、宝くじ等を大阪でしたり買ったりされるという統計も出ていますし、飲みに行ったりするのも大阪が多いと出ています。それは量的にどのように反映されているのか。県外消費がありますと、県への消費税の配分が低くなります。消費は全国3位、消費税の配分は全国46位というような非常に県外消費の著しい県であるという認識を確かにしていきたいと思います。

 7ページ目ですが、貯蓄現在高は全国2位ということです。負債現在高は増加しています。

それから、次の8ページ目になりますが、表の「他の市町村(県外)」で、奈良県は15.9%ということで一番上にあります。2番目が埼玉県で13.4%、3番目が神奈川県、茨城県、滋賀県と続きます。大都市近郊にそのような傾向が強いのがわかります。さらに、京都府、千葉県、岐阜県と続きます。県外支出の割合が15.9%で、2番目の埼玉の13.4%より1.5%上だというのは、非常に突出した1位だと思います。県内消費をいろんな意味で、雇用のためにも、経済活性化のためにも、消費税のためにも、増やしていきたいと思いますが、そのもとの根拠は、このような消費の動向に出ている点に注目しているわけです。


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第4回奈良県観光見本市を開催します
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)
知事:
 案件2の報告に入りますが、第4回の奈良県観光見本市を開催いたします。2月7日、8日に、橿原ロイヤルホテルで開催します。平城遷都1300年の直前に、この観光見本市を初めて開催いたしまして、関東中心の旅行エージェントの方がたくさん来てくださり、奈良だけを目的にする旅行商品をたくさんつくってくださいました。

 その見本市の交流の過程で、商品のつくり方、旅行会社へのもっていき方など、観光地として必要な技術を、県職員だけでなく社寺なども習得されたように思います。第1回目から、社寺などの方も参加されていましたが、参加された社寺はやはり来訪者が多かったように思います。

 今度のテーマは平城遷都1300年後というのと、今までは関東中心にプロモーションをかけていましたが、今度は九州の新幹線が開通しますので、九州方面にもウイングを伸ばしていきたいと思っています。

 見本市のときは、旅行会社に来ていただいて、ファムトリップという、いろんなテーマの案内をするのが普通ですが、古事記、日本書紀など「記紀・万葉」をテーマにするということを踏まえて、エキスカーションを用意しています。


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記紀・万葉プロジェクト基本構想の策定について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)
知事:
 案件3ですが、記紀・万葉プロジェクトの基本構想を策定しましたので公表します。プロジェクトの推進にあたっての理念、目的、基本的な考え方などをまとめたものですが、具体的な事業内容については、予算の必要なものもありますので、今後適宜発表していきたいと思います。

 本プロジェクトは、「本物の古代と出会い、本物を楽しめる奈良」というテーマで取りかかっていきます。記紀・万葉は全国的に素材が展開されていますが、その味わい、楽しみ方というのはまだこれから開発されると思いますので、奈良は率先してやる役になりたいということです。

 記紀・万葉の素材は、奈良には随分多いわけですが、素材を倉庫に置いてあるようなことではいけませんので、それを理解できるような、地域の誇りになるような、知的な活動が必要だと思います。その点に県が力を入れていきたいと思います。結果的に、興味を持っていただいた方に、奈良に足を運んでいただく、現場で古代史の雰囲気を楽しんでいただくという構成にしていきたいと思っています。

 事業の構成ですが、3ページの図に書いています。今申し上げたのは上の「目標」という点になりますが、特に、記紀・万葉の古代の勉強の仕方が、ドキュメント中心から考古学にも関係しています。比較文化人類学のような方もこの古代史に入っていますし、古代の制度的なことについても最近学問の研究が進んでいます。国際的な視点も加味した価値意識を醸成する。勉強を重ねていくイニシアチブをとっていきたいと思っています。

 歴史素材というのは、記紀・万葉のドキュメントに入ったり入らなかったりですが、それも掘り起こして吟味するというようなことも考えています。文献もありますし、伝承もあります。その場所というのは、由緒ある社寺もありますし、太安万侶の墓石などもれっきとした証拠が出てきている地でもありますので、そのようなことをつなぎ合わせて、記紀・万葉を楽しんでいただくということをしていきたいと思っています。

 部内検討委員会を立ち上げていますので、興味のある方はまたご取材ください。


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『高病原性鳥インフルエンザ対策に伴う防鳥ネットの整備』について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)
知事:
 報告案件の4ですが、高病原性鳥インフルエンザ対策に伴う防鳥ネットの整備です。各地で鳥インフルエンザの陽性反応が出ています。奈良県にも侵入しないかどうか心配しています。県内に養鶏農家は92戸ありますが、全戸と接触して、侵入防止、消毒、早期発見、通報のコミュニケーションをとっています。今のところ不審な事例は発生していません。

 その中で、92戸のうち38戸に防鳥ネットの不備、破損が確認されています。特に感染の経路ですが、野鳥とかネズミのフンなどを鳥が口にして鳥インフルになるのではないかという疑いがありますので、野鳥が侵入している穴を防ぐという意味の防鳥ネットです。

 野鳥やネズミなどの進入防止ということになりますが、ネズミ対策として殺鼠剤、それから消毒薬の配布、飲み水の消毒を実施し、防鳥ネットの破損、すき間などを点検するということです。

 ご報告は以上です。


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質疑応答
奈良県の消費実態について
記者:
 消費実態についてお伺いします。奈良県の場合は、これまでから県外で奈良の場合は消費される方が多いということを知事はよくおっしゃっていたと思うのですが、これまではどういうデータをもとにご指摘されていたのですか?それが今回の全国のデータでも裏づけられたということですか?

知事:
 これまでの調査で、関心を持ったのは地方消費税の配分です。消費税は全国で集めて、約29%は国税の地方交付税の財源になり、1%は地方消費税と名前をつけて地方に配分するといった配分の仕方になっています。だから消費税が5%から上がればその分どうなるかというのは、地方関係者の大きな関心事項ですが、奈良県は1人当たりの配分額が全国46位と大変低いわけです。

 消費が多いということは統計で出ていまして、どうしてこの差があるのだろうかと調べてみますと、消費調査というのはなかなか難しいので、販売調査で代替しているというのが現実なわけです。

 そうしますと、例えば、販売場所が高の原ですと、配分は京都に入ります。奈良の方が買い物をしても、京都の地方消費税の配分に入っていると。これは不公平ではないかなと思いました。建物の入り口が京都府だからということだったのですが、それは変な便宜ではないかと言って、両県にまたがっている売り場面積などでカウントしてもらうという修正ができたんです。

 そのように、税の配分の不公平は、やはり損している人が言わないと是正されないと思います。しかも県民のためには、使っているのに配分されないというのは、税務当局としては納得いかない。こういうことで調べ始めて、そんなことがいろいろあるのではないかということで県外消費の実態に注目して、消費は多いのに奈良での販売が少ないということは、県外消費が多いというような実態がでてきました。多少そういうデータもあったわけですが、全国調査の中で、確たる県外消費額というのは出ませんでした。

 県も独自で、県外消費の割合というのを調べたことがあるのですが、県独自の調査ですので、方法として確立していないのではないかということで、国に申し入れたところ、今回初めて県外での購入割合というのを総務省の調査で明確にしていただいたという経緯になっています。

記者:
 これは奈良県だけが要請したのですか?

知事:
 そう思います。

記者:
 支出が全国3位で、貯蓄現在高も全国2位というのは、大変金持ちの県なのかなと思います。県外での購入がこれだけ多いということで、今後どういうふうな施策というか、このデータを精査して使っていかれようと思っていますか?

知事:
 もちろん県外消費はある程度ありますが、これだけ多いと、奈良県というのは県民性として、県内で消費するのが嫌いな県なのかというふうに短絡的に見られるかもしれません。県外消費によって配分が46位になっているのは、どういうことだろうかということが1つあります。

 もう一つは、実額でいうと5,000億円近くが県外で消費されています。それが、県内で消費されると県内地域GDPを押し上げますし、お金が回るということは雇用に反映されます。小売の人、卸の人に反映されるので、地域雇用確保という観点からは、県内での購入というのはとても大きな課題です。県内での消費ということは、GDPに計算されて雇用にも確実に結びつくポイントですので、その観点から県内消費というのは、地域経済にとっては大きな経済のGDPのもとだと思っています。

 そういう状況を変えたいというのが目標です。どういう構造になっているのか、どうしてこうなったのかというのは一つの研究課題ですが、概して言われるのは、県外雇用率が約30%で、これも全国1位です。それで消費もともに県外に逃げているのではないかという言われ方をします。しかし、逃げるのはお父さんの消費だけです。お母さんや家族は、例えば県内の学校などに通っているから、県内で買い物に行っていただいてもいいわけです。ただ、自分の子供のころの経験を思い出すと、母が私に「春休みになったからいいところへ連れていってあげる」と言っていたのは、あやめ池遊園地か大阪上本町のデパートの食堂でした。

 私の家は北和だったのですが、南和の方だと阿倍野に行ったりされるのかもしれません。奈良でおいしいものを食べに行こうかといってあまり連れていってもらったことはないし、映画館もあまりありませんでした。そういう消費文化というのは、ずっと何十年か続いてきました。依存といったら変ですけれども、大阪に消費の場をゆだねていたと。

 これは鉄道文化も影響していると思いますが、大阪の雇用人を奈良で住まわせようというのは、人口が増えたときから県政のポリシーになってきたと思います。それまではそんなに人口が増えていなかったのです。生駒山のトンネルもなかったですしね。関西本線ができたのも100年前ぐらいかな。その前後に生駒山の大軌鉄道ができて、あれはむしろ参宮線ですね。奈良の仏閣に鉄道を走らせるという投資でした。橿原神宮線もそうだし、伊勢神宮線もそうだし、全国でも民間の鉄道は参宮線が多いですよね。

 江戸時代のお伊勢参りの延長で、お参りをしようという鉄道敷設政策があったということで、大阪に通う人を運ぼうというのは最初はなかったように思うのですが、だんだんそのように通勤電車に変貌してきたと思います。

記者:
 県内の消費を増やすということで、昨日から第二弾のプレミアム商品券を売り出して、県内の消費を増やそうということかなと思うのですが、今後そういう県内でお金を使ってもらうために、どういうことを考えていますか?

知事:
 いくつもやっていかなければいけないですが、今までにやってきているのは、商品券のほかに、市町村長などに「大阪に飲みに行ってはいけないですよ」ということを厳にお願いしています。市町村長会では、「これから大阪に行こうか」というときに、知事が「ダメだ」と言っているからやめようという行動パターンに最近変化してきたと聞いていますので、県内消費習慣をつけるというのは大変大きなことだと思います。

 それと、県内の消費の場所とか、消費しやすい品ぞろえとかを用意すると。関東でもそうなのですが、埼玉、千葉などで県外消費が多いというのは、デパートのポリシーとして、ターミナルではよりいいものを売るけれども、それ以外では二流品を売っていたという時代があるんです。

 奈良はどうかといって近鉄に調査をして教えてほしいと言っているのですが、多少そういう傾向はあったかもしれないと。最近はどうかということですけどね。奈良はこれだけ消費性向が高いのだから、いいものを売れば奈良で売れる。どうせ売るなら奈良で売ってほしいという願いです。阿倍野のデパートにあるようなものが西大寺、橿原でもあれば奈良の消費も伸びます。実際に伸びているのはイオンモール。ああいうところでは消費が伸びているんです。そういうところがうけているということです。それと、買い物をする広場、もっと買いやすい奈良らしいものをつくるというのは、多少時間がかかりますけれども、大きな課題だと思います。

 奈良でのにぎわいと消費の広場、コミュニティーをつくるというのは、まちづくりの大きな課題だと思います。


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記紀・万葉プロジェクトについて
記者:
 記紀・万葉についてですが、基本構想を策定して、大まかな方向性は出ているのかなと思います。3月にはプレイベントというか、フォーラムみたいなものがあるようです。

 来年度に向けて、予算の絡みもあるので、具体的な話はなかなか難しいかもしれませんけども、もう少し個別でどんなことをやりたいというのを、知事からお話しいただければと思うのですが。

知事:
 来年度の予算にも多少計上していますが、大きなイベントをするとか、古事記は来年が712年から1300年後になりますけれども、平城遷都1300年のような祝典とか、そういうイベントは、古事記にはふさわしくないのではないかと感じています。

 それではどういうことをするのかというご質問だと思います。「源氏物語千年紀」ということをされましたが、あれはどんなふうにされたのか勉強もしています。古事記は、ドキュメントの成立後1300年ということですが、ドキュメントのイベントをすると、ドキュメント中心になるので、「記紀・万葉」として日本書紀もやろう、万葉集もやろうということです。最古のドキュメントが表現している古代の時代を生き生きとよみがえらせる方法はないだろうかということを趣向したいと思っています。

 そのようなことを確立した手法はありません。シンポジウムをしたり、いろんなフォーラムをしたりすると、「記紀・万葉」について、日本の内外で積み上がってきた知的な資源がだんだん結集されてくるように思います。古代史にかかわる知的な資源が結集されてくるように思います。

 日本人の関心の量はそう変わらないかもしれませんが、時代のルーツへと向くエネルギーもあるように思いますので、少し抽象的な話ですけれども、そういうエネルギーに素材を提供することができたらというような活動を一、二年続けていきたいと思っています。

 シンポジウムをしたり、フォーラムをしたり、多少の印刷物の発行をしたりというようなことが、大きなうねりに結びつくことを期待しています。大きなイベントを何年何月にするとかというパターンではなくて、そういう温度を上げる活動中心に当面していきたいと思っています。

記者:
 ただ、一般の県民の方に広く関心を持ってもらうためには、今回、全体では9年という長いスパンになっているので、当初2、3年はそういう空気を醸成しつつ、タイムスケジュールというものをつくっていかないといけないと思います。知事は今回、記紀・万葉を取り上げるにあたって、大きな柱の一つが、専門家の世界になってしまっているのを、一般にわかりやすくして、関心を持ってもらえるようにと。そういう意味で言えば、今おっしゃったフォーラムとかシンポジウムというだけでは、専門家に偏ってしまうかなという懸念もあるのですが、一般の人に古事記、万葉集の世界をより身近に感じてもらうというところで、県オリジナルのイベントというか、何か施策が欲しいなと思うのですが。

知事:
 よく皆さんは県民の関心ということを言われますが、平城遷都1300年祭の関心は県民が低くて県外が高いというところからどんどん火がついていったんです。ということは、平城遷都1300年は国民的関心事項の可能性がありました。

 「記紀・万葉」は、国民的関心の可能性が十分ある事項ですので、県民だけの関心にしてはダメだと。県民はもちろん国民の一人として入っていただきたいと思いますが、「記紀・万葉」の関心というのは全国、あるいは国外にも散らばっているわけですから、そんなに世の中で有名なのかということで奈良も目覚めるという過程がいつも起こるわけです。灯台もと暗しのもとから火をつけるのか、遠くを照らして光が返ってくるのか。入り方というのは、いつも両方あると思います。

 「記紀・万葉」の素材からすれば、奈良県も含めて広く展開するというのが基本で、素材は奈良だけではありません。島根でも宮崎でも伝承とか素材というのはたくさんあるわけです。伝承あるいは無形の活動は古事記の時代からあるよ、ドキュメントに書いてあるこれとこれではないかというような動きが少しずつ起こりかけています。それは奈良県だけでなくてももちろんいいわけですので、各地で起こったらいいなと思いますが、奈良県でも起こればいいなと思っています。シンポジウム、フォーラムは全国だけで、地元では関心の喚起をしないのかというとそうではなく、一緒に喚起していきたいと思っています。

記者:
 言葉足らずだったかもしれませんが、私が言った県民というのは、県民に限定した話ではなくて、一般の人に「古事記」とか「記紀・万葉」の世界を振り返ってもらうという意味で、わかりやすいイベントなり何か秘策はないですかということを言ったんです。

知事:
 「古事記」や「記紀・万葉」は、どうしても専門家の人たちの研究などの素材になってきたかもしれないのですが、そんなに遠くない昔に、我々の先祖がどのような気持ちでいたのかということをもう少し知ってみたいというのは、一般の人々の期待、願いでもあろうかと思います。

 それではどのようにわかりやすく発信するかというと、重要なのは、テーマ設定や問題提起の切り口です。自分で研究されている人もいると思いますし、関心が高まることは間違いないですね。ある社寺の人も、奈良の人の関心も急速に高まったと言っておられました。

 全国的には、一般の人たちの関心を高めるという方向でシンポジウムとかフォーラムをいたします。専門性のある人に、一般の人にわかるように話してもらうというのがシンポジウムの大きな目的で、研究会ではないですので、そういうことから関心が高まっていくと思います。

記者:
 先ほど知事がおっしゃった「源氏物語1000年」では、京都だけではなく、滋賀県の石山寺とか宇治とか、そのあたりをツアーでまわるようなこともやっておられました。「記紀・万葉」も、島根県であるとか宮崎県であるとか富山県の高岡とか、そういうゆかりの地を結ぶようなつながりが出てくると思うので、そういう地域的な連携、知事がいつもおっしゃっている連携という部分の広がりを持つようなものではないかなと思うのですが。

知事:
 大きな手法だと思います。島根県とか宮崎県というような遠いところとの連携でなくても、県内の連携というのも十分あるんです。

 葛城の方でも古事記ゆかりの地というのが複数あって、一日で行き切れないほどゆかりの地があります。古事記の世界というふうに意識されていなかったものを、これは古事記に関係する世界だというふうに、ある神社、あるいはある地域の伝承を結びつけると、古事記の世界がよりわかりやすくなるというようなことは基本的な手法だと思います。そういうことをしようという雰囲気があります。「記紀・万葉」を取り上げようという反応がそういう世界からあります。それは専門家でない人たちからの反応ですので、期待しているところです。

記者:
 具体的にはシンポジウムとかフォーラムとおっしゃいましたが、これは県外に力を入れてされますか?

知事:
 県外も県内も両方ということです。興味のおありになるプレスの人と共同開催を希望いたします。

記者:
 平城遷都1300年祭では、実行委員会形式というのが割と成功した要因の一つでしたけれども、「記紀・万葉」もそういうような形でいくのでしょうか。

知事:
 「記紀・万葉」は、奈良で掘り出し物を見つける。県内の掘り出し物ということでありますと、これは予算以前の話かもしれない。

 「巡る奈良」実行委員会というものをつくろうかと思っています。平城遷都1300年でも「巡る奈良」で、地域実行委員会で大変成功したということですが、「巡る奈良」実行委員会の中の情報収集のテーマの一つが「記紀・万葉」ということで、「記紀・万葉」をテーマに巡るということを指向しています。「巡る奈良」実行委員会は仮称ですが、その行動を予算化して組織化していきたいと思います。実行委員長には私がなりたいと思っています。

記者:
 どういうメンバーですか?自治体とか各市町村とかですか?

知事:
 まだ確定していない予算編成過程のアイデアです。「巡る奈良」実行委員会というのは県全体の実行委員会ですけれども、実行できる委員会であって、顔見せ委員会ではないということです。

 それには「巡る奈良」の地区をいくつか設置し、地区別の実行委員会やテーマ別の実行委員会をまたその中でつくる。大きな「巡る奈良」実行委員会の中に、地区実行委員会とイベント実行委員会がどんどん出てくるといったようなイメージの組織を考えています。

 そして各実行委員会のイベントをされる方に県が何か支援していく。補助金支援とか人的支援とか。特に大きな支援は、このようにテーマで活動することによって一括して広報できます。

 秘宝・秘仏というテーマでやったのが観光商品化されたというのもありましたので、場所と時期が決まらないとだめですが、ある地域で、ある季節にこういうイベントがある。それをまとめて広報して商品化するというのはよくある手法です。奈良は今日まで、あまりやってこなかった。「巡る奈良」は大変成功したパターンですので、「記紀・万葉」だけではありませんが、「巡る奈良」という、より広いテーマでそのような実行委員会をつくろうかと思っています。

記者:
 これは来年度からということですか?

知事:
 実行委員会は、場合によっては年度内スタートになるかな。予算にも盛り込むことにしていますが、その実行委員会という組織自体は予算がつかないとできないというものでもありません。4月からそういう活動をスタートさせたいと思います。テーマ実行委員会とか地区実行委員会がスタートするところは、年度内でも年度当初でもスタートさせたいと思います。平城遷都1300年祭の継承ということでもありますので、年度内に「巡る奈良」実行委員会がスタートすると思います。

記者:
 これに特化した部署やチームをつくるということはあるのですか?

知事:
 あります。

記者:
 それは、新年度の機構改革の中に入ってくる内容ですか?

知事:
 入ってくると思います。

記者:
 それは課ですか?

知事:
 課レベルかどうかは別にして、体制をつくろうということです。

記者:
 万葉プロジェクトの検討委員会を発展解消するような形になるのですか?

担当:
 いいえ、違います。

記者:
 これはこれで残るのですか?

担当:
 お手元の基本構想の一番後ろに、説明を書いているのですが、この検討委員会は継続して庁内の検討組織として進めさせていただこうと考えています。「巡る奈良」実行委員会は、それとは別にもっと大きなくくりで、「記紀・万葉」も「巡る奈良」の情報収集の1つのテーマとして存在する形になります。

記者:
 この上部団体としてそれができるという感じですか?

担当:
 上部団体というか、「巡る奈良」の中の1つのテーマとして「記紀・万葉」が入ってきて、連動できるところは連動するという形で考えています。来年度以降も、情報収集を進めていくのですが、記紀・万葉プロジェクト検討委員会の方の情報収集はメンバーをあまり固定せずに、幅広くいろんな専門家の方や地域の歴史、郷土史家の方等の意見の収集も進めていこうと思います。庁内の検討委員会というのは継続して進めていこうと考えています。

知事:
 先ほど実行委員会みたいなものはどうなのかとおっしゃったので、そちらの方に話が行きましたが、実行委員会はイベントをしたり、奈良の中で伝承をつないで商品化するとかという中で、「記紀・万葉」も十分大きなテーマになってきますということです。先ほどのシンポジウムとか、温度を上げたり、なじみを増やしたりというのは、専ら記紀・万葉プロジェクト検討委員会の活動になろうかと思います。どちらが上とかというよりは、並行して作業を進めるようにしたいと思います。

記者:
 去年の1300年祭の評価が高かった要因の一つに、地域のボランティアガイドの存在というのがあったかと思います。今回このプロジェクトも長期のプロジェクトになりますので、そういう地域の方の協力というのが欠かせないかと思うのですが、このプロジェクトを進める上で、また新たにボランティアガイドの講習ですとか、どういう形でかかわることになるのかというイメージを知事はお持ちですか?

知事:
 おっしゃるとおりボランティアの方の貢献がすごかったのですが、その貢献の一つとして観光ガイドというのがありました。観光ガイドのご説明が大変丁寧で内容の深いものであったという評価をいただいたように思います。観光ボランティアガイドの皆さんに、私が感謝を伝えたときに、説明をする役があったということで大変満足されていました。

 奈良県観光ボランティアガイド連絡会という大きな連合の組織がありますが、その方たちも「記紀・万葉」をテーマに観光ボランティアガイドをすることに興味を持っておられます。「記紀・万葉」をどのように説明していいのかというのは、まだコンテンツができ上がっていません。イベントをするときにもそうですけれども、どういうコンテンツ、趣旨のイベントにするのか。また、現地に来られて、「これは何か」ということで関心を持たれたときに、ガイドがどのように説明するのかという内容を確認していくということもこの検討委員会の大きな仕事です。

 だから観光ボランティアガイドの方に、ここではこういう説明されると古事記の世界に親しんでもらえますよというようなことを、有識者も入れて確認して、作業を積み上げていきたいと思います。これは県の一つの仕事として進めていきたいと思います。

記者:
 ボランティアガイドの方の協力もお願いして盛り上げていこうと。

知事:
 そう思っています。大変必要なエネルギーだと思います。


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鳥インフルエンザ対策について
記者:
 鳥インフルエンザの関係ですが、この防鳥ネットは、ある程度規模の大きなところですと、張りかえるのに費用がかかったりということがあって、すぐには進まないようですが、県として、ある程度何か支援というのはお考えになっていたりするのですか?

知事:
 この防鳥ネットは、国庫補助が2分の1あるようです。そのことも説明していますが、小さなところなら補助の申請もしない、自分でやるよというような方もおられるようです。国庫補助の申請をされる方もおられるようです。

 奈良の養鶏農家は、五條市が一番多かったかな。やはり小規模ですので、今のところ国の補助金に上乗せして要るというような要望はまだ来ていないと聞いています。声をかけてどのようにしましょうかということですが、やはり一番ご心配のところでもありますので、連絡を密にして防鳥ネットつくろうということには全員賛同していただいています。野鳥が入らないようにという対策を一つ大きなものとして進めます。消毒薬を散布するとか、防護ということにすごく関心が高いので、日々連絡を密にするという活動を農林部畜産課の方でしており、その報告を受けています。今のところお金の面でどうこうというような連絡はまだいただいていません。

記者:
 この不備というのは、設置しているけど破れていたというのではなくて、全くついていないということですか?

知事:
 いいえ、穴が大きいというのが多いようです。大きな鳥が入ってくるということを想定していたのですが、大きな鳥がそういうところへ来てインフルエンザをうつすというよりも、どこかへ鳥がフンをして、そのフンと接触した野鳥が鶏舎の中に入ってきて、鶏のえさをついばんで排せつする。そういったものがまた鳥の口に入るということが想定され、経路の実態はまだ確認されていないのですが、そのようなことも言われていますので、外から野鳥が入らないというのも一つ大きな防御の手かなということで仮定して、そういう方向の手当てをしようと各地でやり始めています。

記者:
 要するに、網の目が大きいということですか?

知事:
 そういうことです。

記者:
 これはいつごろまでにネットの対策を終えたいということですか?

担当:
 昨日から農家の方へは指示をしていますので、着工していただいて、一番大きな農家で工期が3週間ほどかかると聞いています。遅くとも2月21日までにと思っています。

記者:
 この資料にある「さらに」は、38戸に対するさらになんでしょうか?92戸に対するさらにでしょうか?

担当:
 それは92戸に対してです。150万円くらいですが、県費を使いまして、殺鼠剤とか消毒薬を92戸に配布します。

記者:
 今回新たにですか?従来からやっていることですか?

担当:
 島根県で11月の終わりに発生したときにも、県費で消毒薬は配ったのですが、今回は殺鼠剤と消石灰などの消毒薬も配布します。

記者:
 消石灰は配ったんですよね?

担当:
 はい。島根県で11月の下旬に発生したときに配っています。

記者:
 この資料の(1)、(2)、(3)というのは、全部今回新たにやるということでいいのですか?

担当:
 そうです。

記者:
 これは今週中ですか?もう今日、明日中とか。

担当:
 今日から配布し始めます。

記者:
 まだ鳥インフルエンザは出ていないのですが、野鳥の調査とか、このほかの対策というのは県では考えていらっしゃるのでしょうか。

担当:
 野鳥の調査も始まりまして、先週までで県内で22件検査して、今のところ全部マイナスです。その後、こういう事情なので増えてきているというのは聞いています。

記者:
 何が増えているのですか?

担当:
 野鳥を持ち込まれる数です。

記者:
 その調査というのは、死骸という形で持ち込まれた数ですか?

担当:
 PR不足なのかもしれないですが、ハイリスク(高病原性鳥インフルエンザウィルスに対し、感染リスクの高い日本の野生種)が33種類決められまして、例えば、カモとかハクチョウなどの死骸を見つけた場合は検査することになっています。見つけるといっても野鳥ですので一般の県民の方が持ち込んだり、あるいは市町村の担当の方が見つけたり、そういうものを検査しています。

記者:
 関心が高まって通報が増えているということですか?

担当:
 はい。

記者:
 調査というのは、持ち込まれた死骸を調査して調べているということですね。

担当:
 そういうことです。

知事:
 調査をどうしているか、後で資料をお届けした方がいいですか?

記者(・・・):
 お願いできれば。

知事:
 では、資料の(1)、(2)、(3)について、いつから何をどうしたかという資料と、野鳥の調査をどんなふうにやって、今まで実績どう上がっているかという資料を直後に配付して、場合によっては説明してください。

担当:
 わかりました。

記者:
 あと、もし可能ならば、ネットが破れたというようなトラブルごとに一覧があればと。穴が開いているということなのか、それとも国が言っている2センチ四方には適合しないけれどもネットはきちんと張っているのか、どういうふうな具合なのか。

知事:
 38戸の不備の状況ということですね。記者クラブへ午前中に持ち込んでください。

 報告案件についてのご質問は以上です。そのほかに質問がございましたらお願いします。


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「平城京レポート」に関する誤植等の修正について
記者:
 「平城京レポート」の件ですが、新たに誤植等が84カ所見つかりました。ちょっと瑣末(さまつ)な、「てにをは」がないようなものから、固有名詞が間違っているものまでありまして、その間違いの程度というのは千差万別ですが。

知事:
 似たようなものばかりではないかと思います。

記者:
 知事のお受けとめとしては、84カ所間違ったことについてはどのように。

知事:
 内容よりも数ですね。内容は瑣末だと認めるが、数が多いのがいかがかというご質問ですか?

記者:
 中身についても、どう思っておられるのか。

知事:
 2つですか。数が84カ所あるというのと中身と。皆さんは、中身については瑣末だと思いますか?思いませんか?

記者:
 私の意見はさておいて。

知事:
 これのきっかけは、薬師寺の通報が記事になって、普通はこの後、調べることを当然するのですが、それがこういう注目を浴びる中でやったと思っています。調べられたのはよかったと思います。本当は調べるのが得意であれば、最初に調べてもらえばよかったなと思うぐらいですが、発行者の責任がありましたのでそういうわけにもいきません。それで、84カ所、「てにをは」を含めて訂正が必要だと。訂正の検討が必要だということも含めて正確な表現にしていただくように報告受けていますので、そのようにしていただけたらと思っています。

 その内容について、「平城京レポート」自体については、瑣末だというのは質問ではなかったので、あまり触れない方がいいかもしれませんが、私自身は「平城京レポート」は大変価値の高い、敬意を払うドキュメントに仕上がったと思っています。このレポートの性格は、日本と東アジアの未来を考える委員会の方のいろんなレポートの知恵が上がって、編集してドキュメントになってきましたので、編集というのが大きな作業としてありました。その編集作業というのはなかなか手間がかかる作業だったと思いますが、知的なレベルの高い人の知恵が集まってドキュメントとなったのは、今後、利用する意味が随分あるなと思います。

 いろんな国で所信表明などは、知的な人を集めて編集するという政治の作業ですが、皆さんの世界はとても得意でしょう。社説を論議してつくり上げるのと類似の作業です。そういうような作業は、国家あるいは社会の方向を決めるのにとても大きな作業だと思います。1人の人が書いて、こういうものだと言ったのに皆引きずられていくよりも、いろんな立場、考えの人が意見を述べ合って、それを編集して一つの考え方のグループをつくるというような編集作業はあまり日本でありませんでした。中国やヨーロッパではしばしばあります。アメリカではしょっちゅうあるのですが、日本ではどうしてないのかなと思っている中でのこういうドキュメントですので、平城遷都1300年の考えるという作業の中で、私自身はとても意味のあるプロダクトになってきたなと思っています。

記者:
 だからこそ、高いレベルの文章といいますか、正しいものが求められていたと思うのです。しかも、高校とか教育機関に配るという話もありましたので、その場合、年号とかがあれだけ違っていたら、それを見て覚えた人が試験を受けたときに、「平城京レポート」にこう書いてあったよという話にもなりかねないと思うのですが、そのあたりについてはどうですか?

知事:
 「平城京レポート」の本旨は、あまり覚えるためのレポートではありません。考える道筋を示すようなレポートです。読み方の間違いが発生すると困るなと思います。教科書ではなく、考える過程のデータですから。制作意図、希望としては、全体を考えるためのドキュメントにしていただきたいということです。

 配り方はまだいろいろ考えていますが、高校に配るといったときには、「こういうふうに考えるがどうか」というふうに、ばらして配った方が私自身はいいと思います。これを配って、そういうところも覚えないといけないというような類いのドキュメントでは全くありません。考える知的な刺激をもらうドキュメントだと思います。覚えるためではなく考えるためのドキュメントだと私自身は思っていますので、考えるにしても間違った内容であれば困るよと。その間違いが、考えることを阻害をしたり、あらぬ方向に行くものかどうかというのが、瑣末か重要かの区別だと私は思います。ぜひそういう点はよく吟味して、またご指摘いただければと思います。

記者:
 ということは、84カ所間違いがありますが、全部瑣末だから問題がないというお考えということですか?

知事:
 いいえ。こちらが瑣末ですかと聞いていますので、これは瑣末ではないというものがありましたら意見を傾聴したいというふうに思います。おおむねすごい間違いとか、本質の間違いとかはないように思いましたが。

記者:
 一件一件の間違いが瑣末かどうかはともかく、話の論旨には大きな影響はないと思いますが、これだけの数が重なると、全体的に信頼性というのが損なわれかねないという危惧があります。我々出版に携わっている者の立場から言っても、正直、編集があらい、修正箇所が多過ぎるというきらいがありますので、プロジェクトの価値が損なわれないためにも、もう少し丁寧に編集をされるように県としても気をつけられた方がいいのではないかと思うのですが。

知事:
 ご意見ありがとうございます。

記者:
 今回の発端は、先ほどおっしゃったとおり薬師寺の話だったと思うのですが、薬師寺側も県が修正されるのであれば、問題ないというふうな話をされています。先ほどから瑣末なことだというふうな発言がありましたが、知事ご自身として、この場で、そのことについて考えを修正されるお考えはないということですか?

知事:
 ありません。あそこの文章は間違いではないと思います。興福寺が法相宗であったということは間違いでないと思います。薬師寺のご意見がどういうご意見だったか直接聞いていないので、間違いだとおっしゃったのか、薬師寺の名前が載ってないとおっしゃったのか、よくわからないです。

 私は、信徒総代の一人ですが、全然直接伝わって来ません。皆さんがこうだとおっしゃっているのを聞いて、それに返事するのも失礼な話かと思って。薬師寺も何かご不満があれば、信徒総代の一人である私に言ってくれればいいのにと思います。

記者:
 それは違います。県の事業に対して連絡しているわけですから、信徒総代である、ないということは関係ないと思います。担当課に言っていますよね?

知事:
 言っていないです。

記者:
 言っていますよ。どういうことで、これがおかしいと。

知事:
 皆さんの報道どおりではないんです。

記者:
 薬師寺から「おかしいです」という電話をしてます。

知事:
 報道どおりではないんです。もう一回確かめましょう。

記者:
 信徒総代という話は関係ないと。

知事:
 関係ないといったって、私に言ってくれてもおかしくないだろうと。

記者:
 県の行政としてやったことに対して、薬師寺は連絡をしてきているわけですから。

知事:
 信徒総代である私に連絡がないから言っていないというふうには言っていません。もしご不満があるならば、直接言ってくださってもおかしくないのではないですかと。

記者:
 報道どおりではないと今、おっしゃられましたが、それはどういうことですか?

知事:
 抗議というのですが、抗議ではないような。

記者:
 抗議という言葉を使ったかどうかは別として、おかしいという指摘はされたわけですよね。

知事:
 おかしいと言ったら抗議か何かですが、私は間違いではないという返事をしています。表現は間違いではないと。しかし、表現の工夫はしてもいいかもしれないというふうには思います。瑣末だということは、私は今でもそう思います。名前が入っていないということでどういうご不満があるのかなと。間違いかというと、どういう間違いになるんだろうかと。

記者:
 担当課に、薬師寺の方から電話をされているわけですから、その内容については知事に報告が行ってもおかしくないと思います。

知事:
 それは聞いています。聞いているけれども、それは間違いだというふうに理解できないということです。この文章のどこが間違っているのかと。だから、この文章が間違っているということではなく、薬師寺が載っていないのは不満だということかというふうに今、議論しているわけです。不満の表明というのと、間違いだというのは、大いに違うのではないですか。

記者:
 あの文章を素直に読むと、単独で興福寺が支えていたというふうにしか読めないですよ。

知事:
 いいえ、それは違うと思いますよ。知事の所感を聞かれたから、私は言っているんです。それは論争になるかもしれません。これは意見ですから、相変わらず瑣末だと思いますし、間違いではないと思いますが、ご不満があればどういうご不満なのか調整いたしますということを、返事したいと思います。

 抗議だったら、どういうご抗議なのか。薬師寺の名前も法相宗として載せてもらわなければいけないということにも聞こえるので、そうだったのかというところが確認されてないという点が未確認だということを申し上げているのです。

記者:
 今回この「平城京レポート」は、骨というか中核の事業の一つだったと思うのですが、担当の方は、この前の会見のときに、ざっと見られただけということでした。それほどのレポートだったら、担当の人がある程度きちんと見て、みんなに配るまでに間違いがないかとか、よりふさわしい表現がないかとかをきちんと確認すべきだったと思うのですが。

知事:
 それはそうですね。間違いを直さないというのはおかしいから、間違いは直さなければいけません。「てにをは」でも間違いは直さなければいけないと思います。だから正誤表ではなく、印刷するときには間違いを直して出したいと思います。

官邸に届けましたが、「てにをは」が間違っているというクレームはもちろんありません。考えるためのドキュメントだという趣旨からして、教科書ではないのですから。ドキュメントの性格とか意図とかについては珍しいパターンの制作だったかもしれないと思います。

ただ、思わぬところで間違いの指摘があったので、間違いという指摘があるのを今でも不思議に思うのですが、不明だからもっと直に言ってもいいのではないかということを言っただけなので、県に意見が届いていないと言っているわけではないのです。間違いとおっしゃったのか、薬師寺の名前が一緒に載っていないのは不満だとおっしゃったのか、そのあたりは未確認だと。だから、その点はこちらからも聞いたらどうかということを指示しました。

記者:
 それはいつごろされましたか?

知事:
 今朝しました。

記者:
 今後、県がつくられる冊子などに対しては、編集やチェックをもっときちんとしたいと。

知事:
 そうですね。委員会でいろんな人が言われたことを編集して、県が制作を依頼しました。制作だから、基本的に大きな責任はもちろんあると思います。そのときに一々字句の編集のかかわるところまで責任分担という点が、あまりはっきりしていなかったかと思います。

 制作は奈良県、編集はジョイントベンチャー、発行は実は日本と東アジアの未来を考える委員会になっているんです。委員会は、委員長の平山郁夫さんが亡くなられたので、川勝委員長代行で、合議でもないですが、いろいろ言われたことの話が集まっています。

「興福寺が伝える法相宗は」というところで、文章の読み方についての意見がありましたが、もとの文章は上垣外さんが「NARASIA」の中に書いてある文を編集されたようです。それは「NARASIA」第2巻の463ページの第1文にあるんです。私の書いてある部分を読まれてそういっておられるのではないかというふうに言っておられます。

 大本山法相宗ということについて、大仏教辞典では薬師寺も入っているのですが、仏教辞典では法相宗の中に薬師寺は入っていないんです。だからといって、これを選んだり配慮したりということはないのですが、そのような状況の中で、間違いとおっしゃるのかどうなのかという点は大きなことです。上垣外さんからもメールをいただいています。

 唯識の教義の中に貧(トン)という最も大事な教えがあります。貧というのは、人のことをねたんではいけないということで、薬師寺の法相宗の一番もとであります。これはねたみということではないのだろうと思います。そう思いますが、そうであればおかしいと。間違いであれば直さなければいけないと思いますが、私も薬師寺の高田好胤さんに「貧というのは心に入れなければいけないですよ」ということを教えていただいたことがあったので、最初に質問があったとき、そういうふうに反応しました。そういうことを言っていた、もしかして、ねたんでいるんだったら少し違うのではないかということが心中でありました。間違いということで意見があった方が、意味が正確だと思います。ねたんだ上でのご意見、ご不満ではないことを望みます。

記者:
 改めてお伺いしたいのですが、発注元として84カ所の間違いがあったというのは、難しいかもしれませんが、多いなという印象ですか?

知事:
 84カ所も間違うのは多いと思います。制作は奈良県ですし、制作に責任があると思いますので、直していきたいと思います。

記者:
 今後も「記紀・万葉」等で研究書の編さんということも先ほどおっしゃられましたが、編集工学研究所がやるのかどうかは別として、そのあたりはどうお考えですか?

知事:
 責任の分担をはっきりしていかなければいけないと思います。それと、「記紀・万葉」も、1人の人が自分の自説を編集責任なり著作責任を持って書くというパターンよりも、いろんな方が書いてあるのを、こういうふうにまとめていきましょうという作業が中核になると思います。そのとき、表現はこれでいいのかどうかということは大きな課題だと思います。

 大きな課題であると思いますが、幸いというか、本質的な誤りではなかったというのは少し幸いであったかと思います。数が多いというのはやはり問題だったと思います。


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観光における連携について
記者:
 関西で複数の商工会議所が、広域連合とはまた別の形で、観光で連携していきましょう、という話があります。知事は、連携ということについては前々からやぶさかではないというようなことをおっしゃっていると思うので、「記紀・万葉」にもかかわってくるかもしれませんが、今後、ポスト1300年で観光のメニューをつくっていくときに、そういう他の商工会議所などとの連携というのは、どういうふうに考えてらっしゃるのか伺いたいのですが。

知事:
 連携というのは一般的にいろいろあると思います。観光の連携というのは、プロモーションの連携か、一番多いのはマーケットとデスティネーションの連携です。例えば、九州と奈良の連携というのは、一番思いつく連携のパターンです。近所の連携というのは、観光のプロモーションのパターンとしては、二の次、三の次だと私は思います。

もう一つは、ついで寄りというのがあるんです。例えば、関西に来ようとすると、関西というデスティネーションはないんです。奈良というデスティネーションとか、京都とか、金閣寺とか、そういう特定のデスティネーションがあって、金閣寺と東大寺に寄ろうという連携はあります。観光は、広域的に売り出すというのが、一番の素材だと私自身は思っています。結びつけて売り出すという連携は十分あると思います。売り出しということでは。九州から来たら、金閣寺と東大寺に行けるよと。たまたま行政区域が別だけれども、行く人にとってみれば、別に電車で行くか何で行くのかというだけの話ですから。

そういう連携はあるので、そういう商品づくりの連携を商工会議所がしても、県がしてもいいのですが、組織でする課題かどうかは別だと思います。観光のプロモーションというのは組織課題ではなく、連携にふさわしい課題だと思っています。

記者:
 今おっしゃったように、近畿で連携するというよりも、奈良と離れたところとの連携の方がいいと。

知事:
 というのと、近畿の連携といえば、ポイント、ポイントの連携というのがあろうかと思います。「記紀・万葉」でもそうですが、関係のない広域的な地域との連携はありません。ふさわしい伝承のある地域と奈良の地域との連携だと思います。

司会:
 これをもちまして定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係 hodo@office.pref.nara.lg.jp TEL 0742-27-8325