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前原前外相の北朝鮮疑惑

2011/08/23 01:42

 

  前原前外相が次期首相に選ばれる可能性が出てきた。各社の世論調査では首相にふさわしい候補1位になっている。彼は、在日韓国人支援者からの献金問題で辞任したが、実は、より大きなスキャンダルが出ることを恐れて早期に辞任したという見方が当時からあった。一部週刊誌が報じていた北朝鮮工作機関との関係疑惑だ。

 疑惑の大筋は以下の通り。

京都府議時代からの支援者である河村織物が北朝鮮に工場を建設するにあたり、同社相談役であった前原氏が関西の大物在日工作員を通じて北朝鮮と折衝していた。

前原氏は国会で、日本政府が拉致にこだわりすぎているという北朝鮮に融和的な質問を繰り返していた。(前原氏が融和的な質問をするようになるのは2007年以降)

北朝鮮が彼の要望を聞き入れて工場建設を認めた結果、前原氏と北朝鮮工作機関の間で何だかの関係が結ばれたのではないか。

 

 前原氏の北朝鮮工作機関との関係に関しては、長く北朝鮮の対日工作を観察してきた洪熒・統一日報論説委員、元駐日公使が注目すべき論文を韓国で発表している。月刊朝鮮20113月号に寄稿された洪熒氏の論文の主要部分を本人の了解の下で、訳載した。

 

月刊朝鮮20113月号

 

日・朝接触意志を明らかにした前原外相とは何者か

 

洪熒 統一日報論説顧問・前駐日公使

 

 …国政全般、特に外交安保分野で迷走してきた民主党政権の前原誠司外務大臣が北朝鮮との接触意欲を表明した。 彼は昨年1228日記者会見で、「北核と拉致、ミサイル問題は6者協議にだけ依存するのでなく、日本・北朝鮮間で協議することが重要だ」と話した。 彼は今年14日年頭記者会見でも、今年の大きいテーマとして日朝間対話を取り上げた。

 前原外務大臣の発言に対して、北朝鮮の朝鮮中央通信は110日論評を通じて「我が国を友好的に対する国家とはいつでも向かい合って対話する用意がある」として歓迎した。

 

 前原大臣は次の日(111)の記者会見で、「日朝間の平壌宣言を相互確認しながら直接対話を確実に推進する」、「6者協議開催にこだわらないで日朝対話をしなければならない」と具体的に回答した。

 

 前原大臣の突出発言はゲイツ米国防長官との会談(113)およびソウル訪問(115)後にひとまず落ち着いた。日本政界と言論では前原大臣の突出発言を「3月危機説」に苦しめられている菅直人総理の後継を狙った政治的ショーと見る見解が多数であるようだ。

 

…昨年127日に韓・米・日外相が延坪島事件後の対北共助体制を確認した直後に、突然、対北独自接触の意欲を明らかにしたのだ。 今年に入って彼が対北朝鮮接触の必要性を強調したのも16日の米・日外相会談直後であった。前原大臣はいったいどんな考えでそのような話をしたのだろうか。

 

有名絹織物会社の対北朝鮮投資を斡旋

 

 前原外務大臣は115日訪韓して金星煥外交通商部長官と韓日外相会談を持った。

 

 前原大臣は大学時代から「現実主義」国際政治学に心酔し、日朝問題で「実用的」立場を取ってきた。野党時代には個人的に近い安倍晋三総理に向かって、「拉致問題も重要だが、(拉致に)過度にこだわれば6者協議で日本が発言権を失うことになるのではないか? (対北政策を)変えるならば早いほうがよい」と言って、拉致問題での出口戦略を促した。

 

 安倍の後任である福田康夫総理時代にも彼は国会質問を通じて「拉致問題が進展しなければ(対北朝鮮)支援をしないということは、外交的裁量を(自ら)狭めるのではないか? 平壌宣言(2002)に帰って(拉致、北核、ミサイル)トータルパッケージ解決を指向しなければならない」と主張した。

 

 前原大臣の今回の発言と関連して『週刊新潮』は前原大臣が過去に二度北朝鮮を訪問したことがあると報道した。『週刊文春』も前原大臣が京都府議員時代に日朝友好京都議員連盟会員だったと指摘した。京都は共産党など左翼的色彩が非常に強い地域だ。

 これに対して前原大臣は210日の記者会見で、「私は当時日朝、日韓、日中、日華(日台)友好議員連盟のすべてに加入していた」と明らかにした。

  

 前原大臣が初めて北朝鮮を訪問したのは政界入門直後の1992年だった。日朝友好京都議員連盟代表団として北朝鮮を訪問した彼は板門店まで見て回った。

 

 2回目の平壌訪問は衆議院3選議員だった19995月末だった。この時は選挙区の京都の絹織物会社の河村織物株式会社社長といっしょだった。この会社は皇室に最高級シルクを納品する有名な会社だ。伝統的な手作業を守ってきたこの会社は1997年に安い労働力を求めて北朝鮮に刺繍工場を建設し日本政府が全面的な対北朝鮮制裁に入った2006年に撤収した。

 

 この会社の対北朝鮮投資を、朝鮮総連側を通じて斡旋(要請)したのが前原大臣だったという。彼はその時この会社の相談役だった。当時、前原議員の要請を受けて河村織物と北朝鮮を結びつけた人物は、北朝鮮に親族がいて対朝貿易をしながら統一戦線部などの工作機関と関係を結んでいる朝総連系K氏であった。 K氏は前職総理大臣など日本の有力者らと幅広い人脈を維持していると知られている。

 

 現実主義者(現場主義者あるいは実用主義者)である政治家前原としては、平壌を訪問できる機会があれば行ってみることが当然のことなのかもしれない。しかし、関西地方で親朝人士として広く知られたK氏のような人物と親しく接するのは、いくら「実用的次元」といっても慎重な身の振り方ではないと思われる。

 

北朝鮮の韓日離間策動

 

 前原外務大臣の今回の言動を吟味してみるためには、北側の対外事業、すなわち対日工作のメカニズムも調べなければならない。韓米、韓日関係を分離させるのは北朝鮮の対外事業で最も重要なことの一つだ。もちろんこのような仕事をするには多くの投資と公開・非公開(非合法)の多様な組織が必要だ。日本には戦後、朝鮮総連をはじめ、広範囲な合法・非合法工作インフラが存在してきた。

 

 平壌側は前原大臣のように「偶然に」北側と関係を結んだ外国要人にどのように対するのか? 外国政治家の北朝鮮訪問は当然、金正日の事前批准を受けなければならない重要事案だ。金正日1975年以来、北朝鮮のすべての工作機関を直接掌握、指揮してきた。

 

 前原議員の2回目の訪問の時には朝鮮社会科学者協会を訪問したこと以外北朝鮮での日程が明らかにされていない。この2回目の北朝鮮訪問時、河村織物が北側に贈り物として贈呈した最高級刺繍が妙香山「国際親善展覧館」に展示されているという。

 

 北朝鮮は韓日関係を離間させるために対日工作を特に重要視してきた。過去北朝鮮が「大韓民国は野蛮的独裁国家」というイメージを作り出した舞台が日本だった。北朝鮮の工作がどれくらい巧妙なのか例をあげてみよう。

 

 盧泰愚政権時代のことだ。日本政府の高位要人が業務上のパートナーである韓国役人に、韓国政府(青瓦台)の動きを礼儀正しく、しかし真剣に批判した。「韓国政府は日本の対北接触を牽制、遮断しながら、自らは平壌に密使を派遣して北側と裏接触をしている」とし、「韓国は友好国間の最小限の信義も裏切っている」と抗議したのだ。

 

 彼が韓国政府の対北密使として取り上げた人物はある宗教家だった。北朝鮮は平壌を往来したこの宗教家が青瓦台の密使だとあるチャネルを通じて日本側にしたのだ。ソウルから平壌に密使を送ってくる状況なのだから、日本政府も韓国側を無視して日朝接触に出てこいという謀略だった。

 このような簡単な謀略も、確固たる信頼関係がない状況では、互いに相手を疑うようになって両国の連帯を弱化、攪乱させる効果がある。

 

 北朝鮮は対南・対外宣伝攻勢をかける時、可能な資源を総動員する。動員された親北勢力は、オーケストラが各自のパートを演奏するように、驚くほど調和を保ち、一糸不乱に宣伝扇動を遂行する。金正日体制では外交部も当然工作機関の中の一つだ。彼らを単純な外交官と考えて接触するのは誤りだ。

 

 北朝鮮は延坪島事件以後、出口戦略を模索しながら昨年12月ビル・リチャードソン米国ニューメキシコ州知事を招請した。次期国務長官としても名前が挙がっているリチャードソン州知事は北朝鮮の立場で見ると、非常に役に立つ人物だ。

 

原則派外務省局長はインド大使に転出

 

 北朝鮮が前原外務大臣を見る目もこれと大きく異ならないだろう。次期総理候補の中の1人として議論される前原大臣も北朝鮮との関係改善を通じて自身の政治的立場を拡大しようとする願いがなくはないだろう。筆者が会った日本側の人々は大体今回の前原発言をそのような観点で見ていた。こういう両者の必要性が一つになる時、その波は意外に大きくなることもある。

 

 前原外務大臣が北朝鮮との関係改善意志を表明したが、この過程に外務省は特別な役割を果たしていないと見られる。対北原則派で日朝鮮関係を主管してきた斉木昭隆外務省アジア大洋州局長は1月中旬駐インド大使として発令された。

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