テレビドラマ「相棒 シーズン2 第3話 殺人晩餐会」脚本:櫻井武晴 監督:大井利夫 出演:水谷豊 寺脇康文 鈴木砂羽 高樹沙耶 山口美也子 渡辺哲 西尾まり 大高洋夫 2003年10月29日初回放送 2012年4月4日(水)放送・鑑賞 テレビ朝日 美和子「すごい、家元あらそいですよ」 たまき「二時間のサスペンスみたいね」 美和子「二時間で解決すればいいんですけどね」 この話を観るのは3回目くらいか。何度観ても面白い傑作である。とにかくあまりにも意外な凶器が登場するので有名になった話ではあるが、それだけではなく全体的に非常に巧妙に作られている。卓越した脚本の勝利と言うべきか。 基本的には、ミステリのパロディを狙っていて、上記のセリフのような笑いを誘うセリフも挿入されて楽しませてくれる。いや、セリフだけではない。そもそも舞台設定が、所謂「嵐の山荘」パターンであり、いかにもありがちな家元あらそいのドロドロが描かれ、そこに休日を楽しむ「名探偵」が何故か偶然いて、突然起きた殺人事件を解決するというまさに定番の展開になる。 そう、これは刑事捜査ものではなく、名探偵ものなのである。なにしろ人里離れた場所でしかも嵐で孤立している設定なので鑑識も登場しないし、パソコンで情報も収集できない。杉下右京の観察力と推理力のみで事件を解決しなければいけない。休暇中のエルキュール・ポアロが、偶然乗り合わせたオリエント急行で起きた殺人事件を解決するようなものである。 そういうよくあるミステリをきちんとなぞりつつ、しかしどこか揶揄している底意地の悪さがまさに絶品だ。 何しろ、殺人に使用された凶器が●●●●なのだから、笑うなってほうが無理だろう。しかし、ドラマ的には至極真面目に作ってある。杉下右京を演じる水谷豊の演技も真っ当でことさら笑わせようとしていないのが、逆に大いに笑いを誘う。 ●●●●という凶器は過去のミステリ作品に前例があるのだろうか。あの江戸川乱歩の「類別トリック集成」にはたしかのっていなかったと思うが。 天才的な味覚の持ち主である亀山薫に偶然あれがまわってきたのが、犯人の不運という展開も面白い。食べるということで言えば、脚本家はロアルド・ダールの「おとなしい凶器」をそうとう意識していると思われる。 パロディということでいえば、この話のパロディが「33分探偵」というドラマであったと記憶している。こちらと同じく大高洋夫をゲストに迎えるという凝りようが面白かった。 |
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