12番でティーショットを放つパン・イエンホン=静岡県袋井市の葛城GCで(武藤健一撮影)
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◇ヤマハレディース葛城<第2日>
▽5日、静岡県・葛城GC山名C(6549ヤード、パー72)▽晴れ、気温20度、風速3・2メートル▽賞金総額1億円、優勝1800万円▽119選手(うちアマ2人)▽観衆2943人
中国河北省からやってきた元重量挙げ選手のパン・イエンホン(29)が5バーディー、ノーボギーのベストスコア67をマーク。通算6アンダーにし、前日の23位から首位と1打差の2位に急浮上した。パンは学生時代に見よう見まねでクラブを振ったら面白いようにボールが飛んだことでゴルフに転向、26歳でプロになった変わり種。ドライバーショットの平均飛距離は270ヤードを超える。日本ツアーにまた一人、名物選手が登場した。
顔だけ見たら、小田孔明(男子プロ)の妹さん? 韓国、日本に次ぐアジア女子ゴルフ界の第3勢力・中国から、新たな力持ち選手が出現だ。11歳から20歳までの10年間は重量挙げの選手として鳴らしたパン。今季から日本ツアーに参戦。「一番飛んだ記録は310ヤードぐらいかな」というドライバーショットを武器に、いよいよその存在をアピールし始めた。
さらにこの日はパッティングも好調。10番からスタートして11番で3メートル弱、13番で11メートル、14番で5メートル、17番で9メートル、18番で7メートルをそれぞれ沈めて5バーディー。後半のアウトはパープレーにまとめ、ごぼう抜きでV戦線に飛び込んできた。
「キャディーさんがよくラインを読んでくれたおかげ。開幕から日本ツアーに来て、みんなすごく努力していて勤勉だなと刺激を受けてます」という。重量挙げでは、頭上へ一気に引き上げるスナッチで120キロ、肩までいったん引き上げた後で頭上に上げるジャークで97・5キロを挙げ、広東省大会で優勝経験もある。「オリンピック代表を目指したかったけど、そのレベルまでいけなかった。だからゴルフでオリンピックに出るのが目標」という。
中国のゴルフ場に就職、マスター室業務をしながら21歳でゴルフを始め、26歳でプロになった。2011年から日本ツアー出場予選会(QT)を受験、2度目の昨年、最終QTで12位に入り、今季フル参戦権を手にした。165センチ、80キロで「握力は50キロあるかないか。でも背筋力が飛距離に結びついていると思う」と話す。使用ドライバーのシャフトは男子プロ並みの75グラムで硬度S。筋骨隆々の強靱(きょうじん)な肉体から繰り出す重い弾道は、強風予報の決勝ラウンドでも威力を見せそうだ。 (月橋文美)
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