イレッサ副作用死:東京訴訟 遺族敗訴確定へ 最高裁、国への賠償請求退ける
毎日新聞 2013年04月03日 東京朝刊
肺がん治療薬「イレッサ」の副作用死を巡り、患者2人の遺族が、輸入販売を承認した国と輸入販売元のアストラゼネカ(大阪市)に賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は2日、国への請求について遺族側の上告を退ける決定を出した。国の賠償責任を否定した2審・東京高裁の判断が確定した。ア社への請求については上告を受理し、判決を12日に指定した。2審見直しに必要な弁論が開かれていないため、ア社勝訴の2審判決が維持され、原告側の全面敗訴が確定する見通し。
訴訟では、承認当時の初版添付文書(医師向け説明文書)の副作用に関する注意喚起の記載が適切だったかどうかが主な争点になった。12日の判決で最高裁は、医薬品の添付文書と製造物責任法(PL法)の関係について初の判断を示すとみられる。
1審・東京地裁は2011年3月、国について「安全性確保のために必要な記載をするよう行政指導をする責務がある」と指摘。ア社に対しては「記載は不十分」としてPL法上の欠陥を認め、両者に計1760万円の支払いを命じた。
これに対し同11月の東京高裁判決は、イレッサが専門医によって処方される薬剤だった点などを重視。「専門医は間質性肺炎の副作用で死亡する可能性を承知しており、当時国内で死亡例はなかった。初版添付文書の記載は合理性を欠くとはいえない」と判断し、遺族側逆転敗訴とした。
同様の訴訟は大阪でも起こされ、1審・大阪地裁は11年2月、ア社に賠償を命じたが、2審・大阪高裁は昨年5月、東京高裁と同様に原告側全面敗訴とした。【和田武士】
◇原告「患者の命軽いのか」
「東京高裁の判断が維持されるなら、結局娘がなぜ亡くなったのか分からない。がん患者の命はこんなに軽いのか」。イレッサの副作用の間質性肺炎で02年10月に次女(当時31歳)を亡くした原告の近沢昭雄さん(69)=さいたま市北区=は、全面敗訴の見通しとなったことに悔しさをにじませ、「『死んでも仕方ない』で済まされたようなもの。同様の問題はこれからも必ず起きる」と懸念した。
04年11月の提訴から約8年4カ月。有効性も認められている薬だけに、インターネットの掲示板で非難されたこともあったといい、「苦しかった」と振り返った。12日は法廷で判決を傍聴するという。【和田武士、桐野耕一】
==============
■ことば