「副作用の中にね、髪の毛が抜けるというのがあります。あれ、嫌なもんですよ、私も抜けました。でもね、しばらくするとまた生えてくるんですよ。あっ、言っときますけどね、また生えてくるのは治療の前に毛があった人だけですよ(会場爆笑)」
樋口さんは、趣味の落語を通じて自らのがん体験を伝える活動を始めました。3年前から、がん患者とその家族を招いて、年に1回の独演会を開いています。がんの仲間同士が気兼ねなく楽しめる場を作りたいと考えたからです。
『がんになって初めて大声で笑いました。ありがとう』聞きに来た仲間からのメッセージは、樋口さんにとって何よりの宝物。
「この落語独演会が、がんの仲間同士の大事なかけ橋になっていく気がしますね。皆さんがこの落語会を楽しみに待ってくれている。そう思うと、死ねなくなりましたねえ」
「笑いは最高の抗がん剤」
これが樋口さんの信条です。
また来年、元気に再会できることを願いながら、樋口さんは集まった仲間たちを見送るのです。
(2003年9月30日放送) |