タイトル 帰国者のスパイ容疑について
記事No 238
投稿日 : 2003/02/11(Tue) 10:42
投稿者 TED
はじめての新規投稿です。宜しくお願いします。
北朝鮮関係の本によると、「地上の楽園」を求めた帰国者が、北朝鮮当局からスパイ容疑をかけられ、強制収容所送りになった人が多々いるなどの記述があります。確かに中には本物のスパイもいたでしょうが、大多数の方は濡れ衣でのスパイ容疑ではなかったのでしょうか。これを前提に、皆さんに教えて頂きたいのですが、北朝鮮当局はスパイ容疑をかけて一体なんのメリットがあったのでしょうか?ご存知の方、教えて下さい。

タイトル Re: 帰国者のスパイ容疑について
記事No 239
投稿日 : 2003/02/11(Tue) 12:46
投稿者 祖父は警官
> 北朝鮮当局はスパイ容疑をかけて一体なんのメリットがあったのでしょうか?ご存知の方、教えて下さい。

推測でしかないのですが、メリットは国家的利益というより、政権勢力の政権維持のために短期中期的にあったかも、とおもいます。たとえば元在日朝鮮人は、日本において民主主義を当然の前提として、権利を主張し、運動を組織し、(そしていいにくいのですが、「在日」という特別な立場で政権との距離を測っていたのもあるかもしれません)日本的な感覚をそれと知らずに満身に帯びていたのではないかと。これが浸透しますと、北朝鮮の政権にとっては(党利党略的には)つごうが悪い。

それと、所謂スターリニズムを克服できなかった。1930年代のソ連で行われた大粛清、戦後、華僑の実家を迫害した中国の政策、ポルポト派に至っては「小学校卒」「眼鏡をかけている」ということも殺害対象にされたとか。

そして、いくら政府が迫害したとしても、そこから抵抗したり、被迫害者を匿うような風土があれば、もっとマシなのでしょうが、1)粗野な北朝鮮の住民の中には、帰国在日の”日本風”が、敵として映ったということもあるのかも知れません。それは、2)大半は北朝鮮政府のプロパガンダでありましょうが、3)あとの半分はやはり日本の植民地経営が「五族協和の大東亜共栄圏」という姿にはほど遠かったことにも原因があるかもしれません。

タイトル Re^2: 帰国者のスパイ容疑について
記事No 251
投稿日 : 2003/02/15(Sat) 21:19
投稿者 TED
祖父は警官様
早速のご教授ありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。

> それと、所謂スターリニズムを克服できなかった。

スターリニズムとは恐ろしいものですね。政権が粛清、迫害をすると一時的には政権の維持につながるでしょうが・・・・。
ただ、歴史が示すように、非常な社会システムは長続きしない。現在の情勢から考えると、金政権の崩壊は時間の問題ではないでしょうか?

タイトル Re: 帰国者のスパイ容疑について
記事No 240
投稿日 : 2003/02/11(Tue) 13:56
投稿者 主宰者   <dprk@ni-chika.pobox.ne.jp>
参照先 http://ni-chika.pobox.ne.jp/dprk/
はじめまして。

> 北朝鮮当局はスパイ容疑をかけて一体なんのメリットがあったのでしょうか?

No.237とも関連する話とは思いますが、“人民の楽園”を信じて海を渡った在日朝鮮人がその実情に接した後、当初は様々な抗議・抵抗を試みた話が漏れ伝わっています。
例を挙げると
・帰国した純真な青年が、共和国で目撃した不条理を手紙にしたため、金日成主席に直訴したところ、社会安全部に連行された。
(金元祚『凍土の共和国』185〜186頁)
・『38度線の北』という有名な礼賛本を書いた寺尾五郎氏が訪朝した際、帰国した青年たちが彼を取り囲んで嘘八百を追及したところ、社会安全部に連行された。金日成主席もこの報告を受け、青年たちの行動に激怒した。
(柴田穂『悪の謀略学』32〜36頁)
等々。

即ち、日本社会との比較で以って共和国を見、憤った帰国者が多々(というか、ほとんど全てでしょうが)いたわけで、彼らを統制する上で“スパイ”“反革命”といったレッテルを貼り付け、不満分子をお山行きにしたということでしょう。
また、帰国者が現地住民から激しい差別にあったことも知られていますが、厳しい統制社会の中のいわばガス抜きとして当局がそれを間接的に肯定し、帰国者を弾圧したという側面もまた、あるかも知れません。

タイトル Re^2: 帰国者のスパイ容疑について
記事No 245
投稿日 : 2003/02/12(Wed) 23:17
投稿者 TED
主催者様
早速のご教授ありがとうございます。

厳しい統制社会の中のいわばガス抜きとして当局がそれを間接的に肯定し、帰国者を弾圧したという側面もまた、あるかも知れません。

非常な社会ではやはりガス抜きが必要なのでしょうか。
為政者が国民全体の敵を作ることは、現在の国際社会でも多々見聞できますが、これは為政者が無能をアピールする最も手っ取り早い手段なんでしょうね。

タイトル Re^3: 帰国者のスパイ容疑について
記事No 246
投稿日 : 2003/02/13(Thu) 16:47
投稿者 ピョートル
ポル・ポト時代のカンボジアでも、ベトナムへ攻め込んで捕虜になったカンボジア兵がカンボジアに送還された後、ほぼ全員、行方不明になったそうです。おそらく、ポル・ポトに殺されたのでしょうが・・・。(本多勝一著「検証 カンボジア大虐殺」より)
北朝鮮への帰国者にしても、同じことが言えるでしょうね。