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小田急に「林間」駅なぜ多い 夢と消えた遷都構想

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2013/4/5 6:30
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■松竹の撮影所は大船ではなく林間都市に移転予定だった

つる舞の里歴史資料館(大和市)が制作した林間都市計画のジオラマ。分譲価格ごとに色分けしてある。真ん中右に見えるのが現在の中央林間駅(ジオラマは現在、展示していない)
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つる舞の里歴史資料館(大和市)が制作した林間都市計画のジオラマ。分譲価格ごとに色分けしてある。真ん中右に見えるのが現在の中央林間駅(ジオラマは現在、展示していない)

 さらには大日本相撲協会(当時)が力士の養成所を開いた。1931年(昭和6年)6月には300人もの力士を集めて盛大な土俵開きを行い、当時の大関、大ノ里や関脇の天龍らが参加する相撲大会を実施。期間中、電車は連日満員だったという。

 しかし翌1932年には関脇・天龍らが力士の待遇改善を求め協会を脱退するなど騒動が勃発。相撲学校もそのあおりを受け、あっけなく消滅してしまった。

 スポーツ都市構想とは別に、ゴルフ場も生まれた。これが相模カンツリー倶楽部、現在も続く名門ゴルフ場だ。会員権は流通しておらず、会員になるのが難しいゴルフ場として知られている。

つる舞の里歴史資料館(大和市)が制作したジオラマ。左下には4面の野球場がある。その上にあるのが大和学園(現・聖セシリア女子中学・高校)
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つる舞の里歴史資料館(大和市)が制作したジオラマ。左下には4面の野球場がある。その上にあるのが大和学園(現・聖セシリア女子中学・高校)

 野球場の近くには女学校、大和学園が開校した。小田急創業者、利光鶴松の娘、伊東静江が園長を務めた。現在は「大和学園 聖セシリア」となり、幼稚園から大学まで運営している。

 実現しなかった計画もある。松竹は当時、蒲田にあった撮影所を林間都市に移転する構想を持っていた。つる舞の里歴史資料館の箱崎さんによると、実際に土地も取得したという。しかし結局移転は実現せず、蒲田撮影所は神奈川県鎌倉市の大船に移ることになる。

■小田急創業者・利光鶴松、林間都市への遷都構想も

小田急の昔の路線図。林間都市計画についても記載がある(つる舞の里歴史資料館に展示)
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小田急の昔の路線図。林間都市計画についても記載がある(つる舞の里歴史資料館に展示)

 何ともスケールの大きな林間都市。一連の計画を主導したのは小田急の創業者、利光鶴松だった。

 利光は衆議院議員などを務めた政治家だ。鉄道事業に進出し、小田急を創業した。新宿から小田原まで80キロ超をわずか1年半で敷設した手腕は当時、大きな話題となったという。

 小田急電鉄の社史、「小田急五十年史」によると、利光社長が林間都市を構想したのは大正中期以降。小田急線の計画と並行して考えていたらしい。当時、渋沢栄一が田園都市会社を設立し、息子の渋沢秀雄らが中心となって田園調布に「田園都市」を建設した。後に東京急行電鉄の母体ともなるこの計画が、利光社長を刺激したという。

 社史によると、利光社長はさらに大きな構想を抱いていた。林間都市に首都を移転するというプランだ。東京郊外こそこれからの時代の中心となる――。利光社長にとって、林間都市は理想の都市像だった。

聖セシリア女子中学・高校は中央林間と南林間の間にある
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聖セシリア女子中学・高校は中央林間と南林間の間にある

かつて野球場があった場所は現在、大和市の施設となっていた。一部は聖セシリア女子中学・高校のグラウンドとなっている 
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かつて野球場があった場所は現在、大和市の施設となっていた。一部は聖セシリア女子中学・高校のグラウンドとなっている 

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