韓国メディア、「日本は参院選に向けて右を向いている」――でも右傾化て何?  

2013/03/29 21:24

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「右傾化」とは何なのだろうか

 韓国の中央日報は29日付けで「安倍に合わせて『強い日本』復唱、東京政界右向け右」と題した記事を掲載した。いまの日本は社会全体が右傾化しており、日本政治はすでに保守政党でなければ名刺を差し出すことも難しい状況に入り込んだという内容だ。韓国メディアのこうした論調の記事はほぼ毎日出ており、中央日報と並ぶ三大紙の朝鮮日報、東亜日報も大同小異で特段目新しいものではない。

 この右傾化とは何なのだろうか。デジタル大辞泉によると右翼とは「保守的または国粋的な思想、立場の一派」。だが韓国のいう「右翼」「極右」「右傾化」は、端的に言うと自分たちの主張に反する日本の言説、嫌韓的な言い回しをすべて右傾化で片付けている節がある。分かりやすいのが26日の日本の教科書検定に関する報道。中央日報は島根県竹島を日本の領土と明記したことなどを「27日の右翼新聞の紙面は彼らの遊び場だった」とした。韓国側には歴史・領土問題について「我々が正しい」との認識が非常に強い。当然、日本側にも言い分はあるが、韓国側の主張に反することを言うと「右翼」「右傾化」、自分たちに賛同すれば「良心的」とする。

 韓国は、「集団的自衛権の行使容認や憲法改憲を主張する人間」も右翼と認定しているが、そうなると最終的に安倍晋三首相が述べる「韓国を含めた大多数の国家も採択している安全保障体制と同じようにする行為にすぎない。私の主張を極右的だとするなら、世界の国家全てが極右国家」(韓国誌「月刊朝鮮」によるインタビュー)という答えに行き着いてしまう。

<日本と韓国では少し認識が違う?>

 では最近、日本の大手紙にまで言葉として登場するようになった「ネット右翼(ネトウヨ)」とは同一なのだろうか。これは同一とも言えるし、意味合い的にやや違う面があるかも、という微妙な言い回しになる。この言葉、当初はその名の通り、インターネット上で保守的な言葉を書き込む人間、リベラル的な人間を揶揄する言葉に対抗して使われ始めた。近年は徐々に変化し、韓国や中国(特に韓国)に厳しい声を浴びせる人間を指すなど、違う使い方になっているようにも見える。

 もっとも、「ネトウヨ」を自称する人間など実はいない。何をもって「ネトウヨ」なのかは発生源のインターネット上でも何らの定義がなく、その言葉を実際に使う人間のそのときの裁量次第になっているのが実情だ。「ネトウヨにはニート・無職が多い」という、どこで調べたか良く分からない相手を貶めたいだけの決め付けもここから出ている。いずれにせよ韓国の指摘する「右翼」「極右」と、日本の「ネトウヨ」は似ているようで、やや違うのかもしれない。

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