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2013年3月4日

MyISBNがキナ臭い-注意しておきたい不明瞭なビジネスモデル

myISBNについて、バズっているが、ちょっとあれだと思ったのでメモ的に書いてみる。

まず、これは電子書籍のISBNコードを取得するものではない。KDPで発行する電子書籍にISBNコードを付けたいというニーズには合致していない。

ではなんのためにこれがあるのか。
紙の本ではISBNコードがないと販売ができないため、紙の本を出したいひとのためのサービスだといえよう。紙の本といっても、アマゾンのオンデマンド印刷(PoD)のようだが。
pdfで納品するようなので、そのpdfをそのままオンデマンド印刷するだけということだろう。
電子書籍としてのフォーマッティングは不要で、印刷のフォーマッティングが必要ということ。

電子書籍の時代になぜこのようなちょっと古いサービスがでてきたのか謎である。

しかし、問題は、不明瞭なビジネスモデルにある。不明瞭と書いたが、いっけんすると不明瞭ということで、わたしには明瞭なのだが・・



ISBNを販売するわけではなくて、この会社は、自分を出版社として登録してISBNコードの束を貰う。それを、登録してきた本に割り当てる。
これをアマゾンで販売する。

つまりmyISDNを利用すると、

myISDNという出版社の本として登録され、myISDN出版からアマゾン経由で販売がなされる

という公算が高い。著者が直接販売するKDPとは違う。これは勘違いを起こしやすい。

収益構造を推測すると、

200Pで1500円に設定すると

アマゾン売上1500円
myISBN売上 1050円(70%として)
オンデマンド印刷費 700円(仮に)
印税(著者の収入) 150円

myISBN利益 200円

ということだ。
というか、これは既存の出版社でも一緒なのだが、既存の出版社は印税を10%しかはらわないかわりに、編集・校正や、プロモーションなどの営業努力をしてくれる。

それらのサポートがなく完全自費出版なのに、印税が10%ではしかたない。
これはいわゆる自費出版出版社の、ウェブ版バリエーションにすぎない。

しかもmyISBNは書店に配本するならともかく、オンデマンド印刷のみである。

しかし、これでは著者にほとんどメリットがない。
まともな作品をつくっているひとは、これに乗っかるような馬鹿な真似はせず、KDPでやるのではないだろうか。記念出版したいひとだけがこれをつかうという、従来の自費出版とおなじことになるのではいだろうか。

一方でmyISBNもこれでは儲からないだろう。
オンデマンド印刷費を混んでいるので、電子書籍のように99円とか150円とかで売ることは不可能だ。1500とか2000円に成らざる得ないので、素人の本をその値段で買うとは考えづらい。試算のように1500円では、利幅が薄い。いきおい、100Pくらいの本を2000円くらいに設定しないとmyISBNとってはメリットがない。となると、消費者はますます購入しないだろう。

つまり結局は、著者からカネをとるという自費出版サービスのビジネスモデルに成らざるえないので、出版時の手数料でもうけるということだろう。
登録料で4980円をとるようなので、例えば1万冊の登録があれば、1冊もアマゾンで販売されなくても、4980万円の売上になる。

私が分析するに、これは巧妙な仕組みで著者をまどわす、不明瞭なサービスだ。

ISBNコードを格安でつけられますということをうたって、いるが、実際は、ここに登録すると、
この出版社に、4980円はらって自分の著作物を出版物として提供することになり、しかも、販売努力などはしてくれない公算が高い。

ウェブにはそのあたりの契約についてはかかれてないし、ぼやかしているのかもしれないが、

「出版業界のインディーズ・レーベルとして、大手では出せない多種多様な著書を出し続ける出版社を目指したい」(佐田氏)。 (朝日新聞デジタル版より)

とあるので、myISBNが出版社になるとう認識でおそらく合っているのだろう。

登録していないのでわからないが、おそらく途中の規約か何かで著作物の出版権をこの会社に設定するようになっているのかもしれない。

現状のmyISBN利用者は、著者は、KDPと同じくアマゾンで直接販売するものと考えるだろうし、myISBNはたんなるその手続代行だと思うだろう。ましてや、myISBN出版の著作物として出版権を設定するなどということは考えにも及んでないはずだ。

myISBNは、ここのあたりの仕組みや、権利関係がどうなるのか、きちんと明示して商売すべきである。


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