メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

トピックス
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック
新たな緩和策―歯止めを壊すだけでは

日本銀行が、年2%のインフレを2年で達成するために「やれることは何でもやる」という黒田東彦新総裁のもと、新たな金融緩和を決めた。「量・質ともに次元の違う金融緩和」を掲げ[記事全文]

政権100日―難所はこれからだ

「ハンドレッド・デーズ(100日)」ということばが、米政界にある。大恐慌下の1933年に就任したフランクリン・ルーズベルト大統領は、100日間で法案を次々に成立させ、ニ[記事全文]

新たな緩和策―歯止めを壊すだけでは

 日本銀行が、年2%のインフレを2年で達成するために「やれることは何でもやる」という黒田東彦新総裁のもと、新たな金融緩和を決めた。

 「量・質ともに次元の違う金融緩和」を掲げ、政策の指標を金利水準ではなく、市中に出回る現金と銀行の日銀への預金を合わせた金額(マネタリーベース)に変えた。

 国債などを大量に買うことでマネタリーベースを年間60兆〜70兆円増やす。14年末には270兆円と、昨年末のほぼ倍になる見込みである。

 問題は、その実現のために、これまで日銀が設けてきた決まりを一挙に取り払ったことだ。

 たとえば、買い入れる長期国債は満期まで3年以内のものに限るとしてきたが、その制限を撤廃する。

 さらに、金融緩和のために国債などを買い入れてきた基金を日銀本体に統合する。そのうえで、日銀本体が国債を買う際には、お札の発行残高を上限にするというルールを一時凍結し、日銀本体でいくらでも国債を買えるようにする。

 確かに過去の決まり事は「金融緩和に消極的な日銀」という印象を与えてきた面がある。

 しかし、一連の措置は日銀が政府の財政赤字の尻ぬぐいをしていると疑われ、国債が暴落するような事態を招かないよう、中央銀行としての意思を示す役割があった。

 日銀が長期国債を買いすぎることで、日々の金融調節に支障が出たり、結果的に長期金利が乱高下したりするのを避ける手立てでもあった。

 黒田日銀に、これらに代わる歯止めを設ける姿勢が見られないのには、危惧を感じる。

 金利が上昇する際の対応など、今後予想される困難な局面への基本姿勢もあらかじめ示しておく責任がある。

 過去の経験では、マネタリーベースが増えてもデフレは解消しなかった。民間経済に有望な投資先がなければ、資金需要は増えないからだ。

 そうしたなかで金融緩和ばかりに依存する経済運営では、円安に伴う輸入物価の上昇だけがもたらされる「悪いインフレ」や不動産バブルなど、いびつな現象が広がりかねない。

 賃金の上昇や雇用の拡大を通じた実体経済の改善に向けて、思い切った規制改革をするなど政府の役割は大きい。

 黒田総裁は大胆な緩和の効果がきちんと引き出されるよう、財政規律の確保や改革への努力を、政府や民間に促す責任も果たしてほしい。

検索フォーム

政権100日―難所はこれからだ

 「ハンドレッド・デーズ(100日)」ということばが、米政界にある。

 大恐慌下の1933年に就任したフランクリン・ルーズベルト大統領は、100日間で法案を次々に成立させ、ニューディール政策を成功に導いた。以来、新政権の力量を占う際の最初の目安とされる。

 安倍政権がきのう、その節目の日を迎えた。

 安倍首相が「経済再生でロケットスタートを」と宣言した通り、大規模な財政出動と金融緩和の「アベノミクス」を打ち出し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に道を開くなど、次々と手を繰り出した。

 首相の持論である「戦後レジームからの脱却」をひとまず封印し、最大の懸案だった経済再生に集中的に取り組んできた姿勢は評価できる。

 実際、昨年末の内閣発足前後から円安が一気に進み、株価はほぼ一本調子に2千円以上も上がった。朝日新聞の世論調査で60%を超える高支持率を維持しているのも、経済に明るい兆しが出てきた反映だろう。

 もっとも、ここまでは市場や世論の期待にふわりと乗ってきたに過ぎない。経済がつまずけば、たちまち失速する。そんな薄氷の政権運営であることを忘れてはなるまい。

 首相がきのう、「さらに努力しなければならない」と語ったように、これからが難所続きである。

 アベノミクスを「バブル」に終わらせないためには、成長戦略づくりを急ぎ、実体経済を軌道に乗せなければならない。

 各国の国益がぶつかるTPP交渉もいよいよ本格化する。

 ほとんど手つかずの「宿題」もある。

 例えば、消費税増税と一体で進めるはずだった社会保障改革だ。有識者による国民会議で議論しているが、スピード感が乏しい。財政規律をどう保つのかも、おざなりにされている。

 夏の参院選をにらみ、国民に負担を強いる政策は秋以降に手をつけたい。そんな思惑だとしたら、自民党の古くさい先送り体質から抜け出せていないのを証明することになる。

 一方、外交に目を転じても、中国や韓国との関係改善は遅々として進んでいない。北朝鮮への対応も、米韓とともに急ぐ必要がある。

 内政にせよ外交にせよ、政権の都合を待ってはくれない。

 参院選まであと100日あまり。これらの課題にどう取り組み、どんな結果を残すのか。次はそこが問われる。

検索フォーム

PR情報

注目コンテンツ

  • ショッピング明りを備える(防災特集)

    単1〜4電池どれか1本でOK

  • ブック・アサヒ・コムデジタル化で激変の映画環境

    映画批評に対する影響は?

  • 【&M】映画とイイオトコの関係

    LiLicoが語る名作の中の男たち

  • 【&w】大湿原とアボリジニの世界へ

    オーストラリア・ノーザンテリトリー

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014