みらい図書館 第十一話「壊れたマルファス3」
みらい図書館 第十一話 「壊れたマルファス3」
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ある時、彼はヒトの残した書物を見つけた。
それはヒトの書いた日記だった。
彼を生み出した研究者の一人が、残したものだった。
ヒトらは、天上のセカイからこの地を調べに来た。
そして、事故が起こり、このセカイに閉じ込められた。
この地にはヒトを犯す毒が蔓延しているらしく、帰ることが出来なくなったヒトの多くは絶望した混乱した。
しかし、ヒトは諦めが悪かった。
ただ死を待つだけではなく、戦うことにした。
まず、廃墟になっていた施設と大きな空洞にあったヒトの遺産と資源を利用して、居住区を整備した。
次に持ち込んだ食料を原料にして、食物の生産プラントを作った。
そして、ヒトらは数が少なかった為、天上から連れてきた彼らを元にして、労働用にヒトでないモノらを増やした。
ある時ヒトは、天の使いから啓示を受けた。
ヒトは、その啓示に従い、ヒトでないモノらに命じて、天上に帰るための塔を造り始めた。
塔の建設は遅々としていたが、天に戻るという希望を見出したヒトらは、上へ上へと少しづつ進んで行った。
ある時、ヒトらは大きな壁を抜けたが、そこにはまた空洞が広がっていた。
希望が失望へと変わったが、ヒトらは絶望はせず、また地を掘り始めた。
この頃、ヒトは少しづつ減っていたが、ヒトでないモノらはヒトの何倍もの数に達していた。
ヒトでないモノらは、ヒトの助けになるように様々な形体に変化させられていった。
長い長い年月をかけて、いくつかの空洞を抜けた頃、日記はそこで終わっていた。
「残念だが我々はもう、ソラを見ることはできないだろう。我々を助けてくれたドールたちも心残りだが、最後の希望にすべてを託すことにした。願わくば、彼女にはソラを見せてあげたい」
日記の最後には、そう記されていた・・・
ヒトの研究者が残した日記と一緒に、もうひとつの書物があった。
その書物には、
『The Seven Deadly Sins.』
と書かれていた。
ヒトの抱えた『罪』を綴った、表紙に十字の印が施されたものだった。
彼は意味も理解できず、理由も分からなかったが、この書物に書かれていた七つの言葉を気に入った。
・・・強欲(グリード)、マンモン。
・・・嫉妬(エンヴィー)、レヴィアタン。
・・・怠惰(スロウス)、ベルフェゴール。
・・・暴食(グルトニー)、ベルゼブブ。
・・・淫欲(ラスト)、アスモデウス。
・・・傲慢(プライド)、ルシファー。
・・・憤怒(レイス)、サタン。
彼は、壊れたが故に『我』を持っていた。
従った6人のヒトでないモノたちもそうだった。
罪の概念を理解できなかった彼は、自らヒトに付けられた名前を捨て、自らと従うモノたちにそれを名付けた。
つづく
こたつねこ 著
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ゲームノベル「七つの罪と、四つの終わり」
http://ch.nicovideo.jp/channel/7tsumi
「七つの罪と、四つの終わり」- PV
http://www.nicovideo.jp/watch/1352715685
籠村コウ 著
イラスト ゆく
企画:こたつねこ
配信元:ゆるヲタ.jp
- 2013/04/08「七つの罪と、四つの終わり」第四話