■プリプリ感とうまみは反比例
魚の鮮度とうまさの関係はどのようなものか。『江戸前鮨 仕入覚え書き』などの著書がある第三春美鮨(東京・新橋)の長山一夫さんはマルハニチロホールディングス中央研究所の協力を得てこのテーマを科学的に追究した。至った結論はやはり「魚の鮮度の象徴であるプリプリ感とうまみは一定の期間、反比例する」というものだった。
生きている魚にはアデノシン三リン酸(ATP)という生体エネルギーがある。死後はこれが分解し、時間の経過とともにうまみ成分のイノシン酸(IMP)に変わっていく。締めた直後はATPが圧倒的に勝っている状態でプリプリはしているが、うまみはない。時間がたつと弾力が減り、うまみが増す。「熟成」と呼ばれる現象だ。
熟成にかかる時間や、熟成後のうまみが継続する期間は、締め方や魚種、サイズなど多様な要素が絡む。締め方にも1匹ずつさばくか、まとめて氷水に入れるかなどの違いがある。一般的には魚体が大きくなるほど熟成に時間がかかり、きちんと締めたものほどうまみが長持ちする。「富山県氷見産の10キロ以上のブリなら3日目からがおいしい。100キロ以上のマグロも3~4日たってから握り始め、2週間使い続けても大丈夫」(長山さん)という。
こんな法則は一般人が買う魚にも当てはまるのだろうか。半信半疑で実験してみることにした。やって来たのは産地や築地で朝、生け締めにしたばかりの魚を扱っている都内のデパ地下の鮮魚店。当日朝まで生きていた天然のワラサ(千葉産、約6キロ)、マダイ(愛媛産、約2キロ)、水揚げは数日前だがやはり外せないマグロ(和歌山産、50~60キロ)を仕入れた。もっとも、最近は近海クロマグロの入荷が少ないため、伏兵のキハダマグロで代替した。ちなみにワラサは10キロ以上に成長するとブリと呼ばれるようになる。
購入日から3日間、3種類の魚の刺し身を朝晩2回ずつ食べてみた。築地の仲卸にならい、保存するときはペーパータオルを巻いた。魚が空気に触れて乾いたり、ドリップが出たりするのを防ぐためだ。
マグロ、マルハニチロホールディングス、中島水産、築地市場
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