第1話 この世での最期
「麗ー、帰ろうぜ~。おーい、聞こえてんのかー。」
肩に誰かの手がポンッと乗せられた。
「ひゃっ、あっ。朔夜?どうしたの?」
可愛らしい声が教室に響くがほとんどの人はチラッっと見ると優しく微笑みすぐに視線を外した。
俺は恥ずかしくて頬が赤くなっていることだろう。
肩に乗っている手を辿って顔を上げると幼馴染の霧ヶ峰 朔夜が居た。
「どうしたのってなぁ、帰ろうって言ってんのに、まじで聞いて無かったのかよ。」
朔夜はやれやれと手を横にだし肩を上げた。
「ごーめーん!だからその使えない子を見るような目で見ないでー。」
俺はその行動にムッと来つつも自分が悪いのはわかっていたので顔の前で両手を合わせ謝罪のポーズをした。
「わっわかった!だからそのポーズやめれ。俺が萌え死にしちまうから!」
朔夜はアセアセと手を前に出して視線を逸らして見ないようにしているようだった。
何が萌え死にだ。俺を見て萌え死にするなんて言う奴は死んでしまえばいいよ!
俺は朔夜をジト目で見つめていると意味を理解したのであろう朔夜がすまんすまんと謝ってきた。
「朔夜ぁ、帰ろっ!」
「ああ、やっと帰れるぜ。」
朔夜はのんびりと後ろを付いて来て教室を出た。
帰宅路はほほ同じである。だって家が隣なんだもん。
なので赤ちゃんの頃から一緒に居る。
まあ、腐れ縁ってやつだ。
そんな帰宅中に朔夜が言った。
「今日家帰ったらマイクラマルチ実況の録画やろうぜ!」
朔夜はそう言った。そう、俺たちはマイクラをマルチ実況するのだ。
「そうだね、いいよ!第1回だし何作る?」
「やっぱ最初は豆腐でいいんじゃね?それで洞窟でも探して鉱石掘りだ。」
「そうだね~。」
こんな感じに実況の流れを話している時だった。
後ろから凄い音がしてきた。
二人で後ろを振り返ったその時、見えた光景は……俺たちの歩く歩道に突っ込んでくる大型トラックの姿だった。
気がついた時には悲鳴や泣き声が響いていた。
そして、自分のとなりを見ると朔夜が俺と同じように建物とトラックに挟まれていた。
朔夜は俺の視線に気が付くとそっと微笑んでコクッと頭を肩に落とした。
俺の意識も朔夜が微笑んだのを見た瞬間にブラックアウトした。
余談だが救助に来た救急隊員が見た二人の姿は肩を寄せ合って微笑んでいるカップルのようだったとか。
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