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弘前公園の堀へ岩木川から導水
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| アオコが発生した導水前の中堀の杉の大橋付近=2006年(弘前市提供) |
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| 水の循環により、アオコの発生がなくなった中堀の杉の大橋付近=2011年(弘前市提供) |
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弘前市と国土交通省青森河川工事事務所は8日、岩木川から弘前公園の堀への導水を始める。同公園の堀は、かつて水不足や循環不足で、悪臭、アオコの発生に悩まされていた。しかし今後は安定的な水の供給・循環が可能になることから、こうした問題が抜本的に解決される。桜の名所として全国に知られる同公園の景観向上にもつながる。
堀への導水には、農業用水や消流雪溝への導水に使っている二階堰川を利用する。取水量は最大で毎秒0.8立方メートル。このうち、おおむね毎秒0.6〜0.7立方メートルを西堀(二階堰川)に流す。さらにポンプを使い、一部は外堀(さくら川)と中堀に引き込む。中堀の水は、内堀、蓮池に流れていく。10日ほどで堀全体の水を入れ替えることになるという。
取水を行うのは4〜11月。渇水などで岩木川の流量が毎秒5立方メートルを下回った場合は取水を取りやめる。
堀の本来の水源は「諸説あるが詳しくは分かっていない」(市公園緑地課)。一方、昭和50年代ごろには水不足や水の循環不足により、悪臭、アオコの発生、堀の底が見える―などの問題が表面化した。
市は井戸水や微生物を利用した浄化策や、噴水を使って水と空気を接触させるなどの対策を取ったが抜本的な解決に至らず、1999年、国土交通省に水環境改善の要望書を提出。その後、津軽ダム完成により川の水量が安定することが確実となり、農業用水の減量が決まるなどの状況変化があったこと受け、07年から共同で岩木川から取水する社会実験に取り組んできた。
その結果、水質を示す1ミリリットル当たりの大腸菌群の数値は、西堀で3万9588個(実験前平均)から2642個(11・12年平均)に改善。外堀でも8022個から1300個に減り、いずれも基準値(3千個)を下回った。
同課の古川勝課長は「長年の懸案が解決できた。臭いもなく、きれいな堀を市民、観光客に見ていただくことができる」と、導水の本格運用を喜んだ。
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