西堀
「今年、創設から20年を迎えたJリーグです。」
鈴木
「開幕当時の様子、懐かしい選手ですね。」
西堀
「現在、クラブ数が40に増えるなど、拡大してきたJリーグなんですが、今、岐路に立たされています。
不況などの影響で、平均観客数はピーク時の3分の2に落ち込み、昨シーズン、13年ぶりの赤字に陥りました。
国内市場の大幅な拡大が難しくなる中、Jリーグが目をつけたのが経済発展の続く東南アジアの国々なんです。
Jリーグの新たな成長戦略を追いました。」
西堀
「今年、創設から20年を迎えたJリーグです。」
鈴木
「開幕当時の様子、懐かしい選手ですね。」
西堀
「現在、クラブ数が40に増えるなど、拡大してきたJリーグなんですが、今、岐路に立たされています。
不況などの影響で、平均観客数はピーク時の3分の2に落ち込み、昨シーズン、13年ぶりの赤字に陥りました。
国内市場の大幅な拡大が難しくなる中、Jリーグが目をつけたのが経済発展の続く東南アジアの国々なんです。
Jリーグの新たな成長戦略を追いました。」
先月(3月)、行われたJ1、川崎フロンターレの会見。
クラブ史上初となるベトナムでの地元クラブとの親善試合開催を発表しました。
新たな市場の開拓を狙ったものでした。
今、Jリーグのクラブの間で、東南アジアに進出する動きが加速しています。
今年(2013年)に入って、名古屋グランパスなど4チームがタイで合宿を開催。
現地で親善試合も行いました。
こうした動きを先導しているのがJリーグです。
Jリーグ事業統括本部長 中西大介さん
「いまの環境変化に対して、同じようにやっていてはJリーグの発展はない。
世界の経済成長センターであるアジアの各国が隣にある。
これを生かさない手はない。」
一昨年(2011年)、Jリーグは「アジア戦略室」を新設し、東南アジアに市場を広げていくために動き始めました。
アジア戦略室の室長、山下修作(やました・しゅうさく)さんです。
東南アジア進出の戦略を日々、練っています。
Jリーグアジア戦略室長 山下修作さん
「海外に出て行くようなクラブに、今年アジアに目を向けてもらおう。」
もともとサッカー人気が高い東南アジアの国々では、近年、経済成長によって、巨額の資本がサッカーに流入。
利益拡大を目指す、各国のサッカーリーグの注目を集めています。
イングランドのプレミアリーグは、東南アジア10か国に放送権を販売し、去年(2012年)、600億円を超える収益を上げました。
ドイツリーグも去年、シンガポールに事務所をつくり、放送権の販売に乗り出そうとしています。
Jリーグアジア戦略室長 山下修作さん
「日本サッカーは極東の地にあって、いろいろな弱みだったり、まだまだな部分があったりするのですが、現状を強みに変えるにはどうすればいいか、常に考えながら行動している。」
ヨーロッパのリーグと比べて知名度で劣るJリーグが東南アジアで収益を上げるには、現地での認知度アップがカギとなります。
そこで山下さんは異例の手法を次々に打ち出しました。
まず、始めたのがJリーグの露出拡大です。
従来、収入の柱となる放送権料を格安に設定し、現地の人たちにJリーグを知ってもらおうというのです。
さらに、東南アジア4か国に無償で指導者を派遣し、ユースチームの指導に当たらせています。
子どもたちにJリーグを身近に感じてもらう事で、長期的にファンを拡大する狙いです。
山下さんは、リーグだけでなく、クラブレベルでも浸透を図ろうとしています。
この日は、J2のコンサドーレ札幌を訪ねました。
コンサドーレ札幌は、自治体や市民の出資を中心に運営を続けています。
しかし常に赤字で戦力を整えられず、J1に定着できません。
山下さんは、雪を目当てに近年増加する東南アジアからの観光客を利用しようと考えました。
この日は、現地の人気選手の獲得を提案しました。
Jリーグがチームの選手獲得に関わるのは異例のことです。
山下さんは、この選手が加入すれば、観光客をサッカー観戦に誘導でき、Jリーグの知名度アップと、入場料収入の増加が両立できると説明しました。
Jリーグアジア戦略室長 山下修作さん
「Jリーグのクラブで活躍できる人がいる。
そういう人を獲得してくるのは、現地での注目も上がるし、マーケティング面でも価値がある。」
コンサドーレ札幌GM 三上大勝さん
「チーム強化という観点からでも、ASEANという地域にもっと目を向けて、強化策をチーム編成に生かしていきたい。」
コンサドーレはタイやベトナムのクラブと提携を結び、選手獲得に向けて動き始めました。
活動を加速させる山下さん。
東南アジアに進出を検討する企業回りも始めました。
企業に資金を提供してもらうかわりに、進出のつてを紹介。
企業も巻き込み、より深く現地に根を張るのが狙いです。
Jリーグアジア戦略室長 山下修作さん
「日系企業の現地進出の手伝いもできれば。
考えていろいろ動いたりしている。」
生き残りをかけて動き出したJリーグのアジア戦略。
巨大な利権を巡る闘いが続いています。
Jリーグアジア戦略室長 山下修作さん
「最初は持ち出しになると思うが、5年後、10年後、そして20年後に大きなリターンとして返ってくる。
1社でも多く、1か国1クラブでも多く、役に立てる活動をしていきたい。」
鈴木
「一見、遠回りな取り組みのようにも見えるんですけれども、長い目で見れば収益は上がっていくということなんですかね?」
西堀
「そうなんですよね。
Jリーグではこうした活動を続ければ、市場規模を今の10倍以上に拡大できると見ています。」
阿部
「他の企業を巻き込んだりして、こうした動きはスポーツの枠を超えて広がっていくかもしれませんよね。」
西堀
「そうですよね。
このJリーグの動きなんですが、経済産業省や観光庁からも、日本の新たな成長戦略として期待されているそうなんです。
Jリーグは今後、東南アジア人選手の受け入れ枠導入を検討するなど、関係強化のための環境の整備に力を入れていきたいとしています。」