【台北=山下和成】台湾が自由貿易協定(FTA)などの締結促進へ布石を打つ。新たな経済特区を設け、医療や農業の規制緩和などを先行的に実施。将来は台湾全域に広げる計画だ。アジアでは26日に日中韓3カ国がFTA交渉を始めるなど貿易・投資競争が激しい。台湾は特区での規制緩和をテコに市場開放の地ならしを進め、各国とのFTAの締結を急ぐ。
台湾の行政院(内閣)が27日に「自由経済モデル区」の構想を発表した。閣僚である経済建設委員会の管中閔主任委員は記者会見で、「モデル区は経済自由化の試験区域だ」と説明。効果的な施策は台湾全域に広げる考えを示した。
モデル区では「スマート物流」「農業の高付加価値化」「国際医療」「産業連携」の4テーマで自由化を推進。テーマは進出企業が自由に選べる。従来は難しかった外国籍法人・医師の病院経営や医療行為を許可。加工輸出を前提に、従来は高い関税をかけていた農産品の免税輸入なども可能にする。
現在は規制が厳しい中国大陸からの人材受け入れも緩和。1カ月以内の短期ビジネスでの滞在時の身分審査などを免除する。中国を含む外国籍の専門職の所得税も一定期間減税する。既存の特区よりも規制緩和などの範囲を広げ、海外から幅広く投資や人材を呼び込む。
医療や農業の規制緩和には台湾でも反対意見が根強いが、加工した農産品は台湾域内に流通させないなどの配慮をする。
モデル区は4月以降の設置を目指す。まず台湾に6つある既存の特区、「自由貿易港区」をモデル区に昇格させる。将来は地方政府からの申請も受け付ける。自由貿易港区の2012年の生産額は約5000億台湾ドル(約1兆5800億円)。モデル区の設置で「2年後には1兆台湾ドル超を目指す」(管主任委員)。
台湾は1966年に「輸出加工区」を設置するなど、世界でもいち早く経済特区を導入。世界貿易機関(WTO)には02年に加盟した。ただ最近はアジアで貿易・投資の自由化競争が激化し、台湾の吸引力が低下。中国との対立関係が影響し、他国とのFTA交渉でも出遅れている。
馬英九総統は「台湾はアジアの主要国・地域でFTAの締結が最も少ない」と発言。特に輸出で競合する韓国の動きを警戒し、日中韓のFTA交渉にも神経をとがらせている。
馬総統は昨年「今後8年以内に環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を目指す」と表明。今年3月上旬には米国と5年8カ月ぶりに貿易・投資協定の具体化協議も再開した。モデル区導入で市場開放を進め、FTAやTPPに参加するための条件を整えたい考えだ。海外の資本を活用し、現在主力のIT(情報技術)に続く新産業の育成も目指す。
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