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サラリーマンの仕事の質がフリーランスよりも低い理由

2013/04/03


ざっくり言うと…
・会社の予算に縛られるサラリーマンは、クライアントに対して「これ無駄じゃないですか?もっと安くできますよ」と伝えることが難しい。
・結果として、お金のために、お客様に不必要なサービスも提供してしまう。
・フリーランスは自分ひとりの予算しか背負っていないので、「これ無駄じゃないですか?予算もっと下げましょうよ」と伝えやすい。
・結果として、質の高い、無駄のない仕事を提供できる。


とあるフリーランサーの方と盛り上がったので書いてみます。対消費者ビジネスにも通じるところはありますが、特にB2Bのクライアントビジネスにおける話です。


サラリーマンは売上目標に縛られる

サラリーマンという身分は、仕事の質を下げる危険をはらんでいます。それは、サラリーマンである以上、会社が持つ「売上目標」に縛られてしまうからです。


たとえば、地方で高齢者向けビジネスを手がけるクライアントが「ウェブサイトをつくりたい。ついでにツイッターもフェイスブックもやりたい。予算は100万円だから、これでよろしく」とオファーをくれたとします。

プロであるみなさんの目からすると、都心の若者が主に利用しているソーシャルメディアはあまり役に立つとは思えません。そんなとこにお金を使うなら、ダイレクトメール(DM)でもつくってばらまいた方がよさそうです。しかし、会社ではDM制作は請け負っていません。

本当にクライアントのことを思うのなら、「いやいや、お客様のビジネスを考えると、ツイッターとフェイスブックはいらないですよ。ウェブサイトもミニマムで大丈夫です。予算は100万だと大きすぎるので、30万くらいで制作して、70万は他のことに使いましょう。私たちは30万円分の仕事をします。このDM専門業者いいらしいので、ご紹介しますよ」と伝えるべきです。


が、売上目標を背負わされているサラリーマンの身分ですと、自分たちの売上を自分たちで下げるのは、なかなかどうして困難です。しかもクライアントは、みずからお金を出そうとしているわけです。このまま押し通せば、100万円もらえるのに、なんでわざわざ30万円に下げる必要があるのでしょう。ただでさえ仕事の獲得は難しいのに。

よほど誠実で余裕のある会社じゃないと、お客様が提示した予算に対して「そんなに必要ないですよ。もっと安くやりましょう」と伝えることは難しいでしょう。受注額が低すぎると、会社としても赤字になってしまう可能性もありますし。

フリーランスになった人たちの話を聞くと、こうした「会社の儲けのために、クライアントのためにならない仕事をしてしまった」という苦い経験を語る人は少なくなかったりします。「クライアントの課題解決にならない」はモチベーションを下げますから、仕事のクオリティも下がってしまいます。


フリーランスは無駄なものを売らない

フリーランスのよいところは、クライアントの予算に対して、比較的容易に「これは無駄遣いですよ。もっと安くやりましょうよ」と提言できるところにあります。もちろん零細で逼迫している事業者は別ですが、会社の予算を背負っていない分、かなり自由度は高まります。

実際ぼく自身も、この手の値切りを頻繁にしています。ビジネスパーソンとしてみたら、相当ダメな方でしょう。上司がいたら「値切るな!もっと稼げ!」と怒られているところです。

が、ぼくはとりあえず食っていけてますし、不本意な仕事はしたくないので、これからも「もっと安くやりましょうよ」とガンガン伝えていくつもりです。お金のために、相手と自分を裏切りたくないですしね。


とあるベンチャー企業の取締役が、「優秀な広告パーソンは『このマーケティング課題だったら、広告を使わなくても達成できますよ』と伝えられる人材だ」という話をしていたのが印象的です。

クライアント側、コンサルタント側の両方で仕事をした経験からいっても、これは真実です。コンサルタントが持っているソリューションが、お客様の課題解決に必ずしも寄与するとは限りませんから。

ダメなサラリーマンは、自分たちの売り物を押しつけることに精一杯になってしまうのです。会社がそうさせているという側面はあれど、プロとしての魂を売っている以上、彼らも同罪でしょう(厳しいですが)。


まとめますと、

・サラリーマンは売上目標に縛られるので、無駄な売り物(クライアントに不必要なもの、専門外のもの)も提供してしまいがち。
・フリーランスは売上目標に縛られないので、予算を最小化させつつ、自分の専門分野にフォーカスしてサービスを提供しやすい。

ということです。


もちろん会社員はチームで動きやすいので、その分、フリーランスに比べて仕事の質を向上できる力も秘めています。

理想的なのは、「お客様に無駄なものを売らない、結束力の高いチーム」といえるでしょう。ただ、会社組織にしちゃうと、どうしても無駄な売り物を売ってしまう圧力が働くんですよね…これが難しいのです。



★この記事を読んだ人にはこの本がおすすめ。

10年以上前の本ですが、「断る」ことの重要性について説いたベストセラー。クライアントが提示した予算を下げるというのも、ある種の「断る」です。古本1円とお買い得なので、未読の方はぜひ。Amazonでも好評価です。

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