- [PR]
経済
アベノミクス、本音では信用していない金融機関:ロイター コラムニスト 田巻一彦
2013.4.3 10:02
(2/2ページ)
一方、個人の動向について、第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏は、株価の上昇が誘因となって保有株を換金売りした向きが多かったのではないかと指摘する。日銀券発行残高の伸びが、今年1月、2月と3%台に上昇しているのは「株を売って手元に現金を滞留させている個人投資家の動きを反映している可能性がある。足元で高額商品の売れ行きは良くなっていることとも整合的だ」という。
他方、最大の売り手である金融機関は、本音ではどうもアベノミクスを信用していないふしがある。仮に株価の上昇トレンドが長期化するとみれば、新年度からの運用計画の中で、日本株の運用割合を拡大させる機関投資家の動きが多少なりとも出てきそうだが、そうした動きは皆無に近い。
黒田東彦(はるひこ)総裁の率いる日銀が、大胆に量的緩和政策を遂行して潤沢にマネーを供給すれば、マーケットの価格が大幅に上昇する。ただ、今の売買構造が継続するなら、日本株の買い主体は海外勢が占めるのではないか。アベノミクスの果実の多くが、海外に流出する流れがはっきりしてくると、国内のアベノミクスへの評価にも陰りが出てくるリスクがある。
逆に国内の個人投資家が本格的に株買いを始めると、想定を超えた株高場面がやってくる可能性もある。海外勢とともに国内の個人投資家の動向がアベノミクスに対する風向きを左右しそうだ。(フジサンケイビジネスアイ)
関連ニュース
- [PR]
- [PR]