パナソニックが28日発表した2016年3月期までの中期経営計画は「赤字事業をゼロに」するのが目標だ。売上高の拡大はあえて追わず、利益確保に照準を絞っている。自動車や住宅関連事業を伸ばすとの成長戦略も掲げたが具体性を欠いており、当面はリストラ頼みの経営再建が続きそうだ。津賀一宏社長は就任から間もなく2年目に入り、パナソニックがどこまで復活するか、結果が問われる。
「一刻も早く赤字事業をなくす。不退転の決意で取り組む」。津賀社長は28日、都内で開いた記者会見の冒頭でこう宣言した。次期中計のロードマップには2年で赤字事業の止血を完遂すると明記。16年3月期に赤字事業部がなくなると、1300億円の収益改善につながるという。
特に、テレビ・半導体・携帯電話・回路基板・光ピックアップを5大赤字事業として重点的に構造改革に取り組む。富士通とシステムLSIの設計・開発を統合するほか、工場の統廃合なども進める。15年3月期までの2年間で2500億円の構造改革費用を積む。
津賀社長はプラズマテレビについて、「撤退は最後の判断」としつつ「(赤字のテレビ事業には)大きな決意で取り組む」とも語った。
黒字のヘルスケア事業は外部の資本を導入し医療など特殊な業界のノウハウを吸収する。「当社の知見は限定的で現状では投資もできない」。津賀社長は自前主義を改め成長に最適な手法を取り入れる考えを示した。
財務面では16年3月期の株主資本比率を現在の20%から25%に回復させる計画。本業の稼ぎに加えて運転資金圧縮や投資の抑制を進め、3年間の累計で6000億円の純現金収支(フリーキャッシュフロー)を生み出す。有利子負債と現預金を差し引いた「ネット資金」は現在の7700億円の赤字から16年3月期に2200億円の赤字に改善する。
一方で成長戦略は曖昧だ。当面の利益回復は構造改革に依存し、次期中計期間中は成長を断念した様子もうかがえる。営業利益目標から逆算した16年3月期の売上高は7兆円。13年3月期の見通し(7兆3000億円)から減る方向だ。目先の収益源である白物家電に関する説明もなかった。
新たに自動車関連で2兆円、住宅関連で2兆円との売上高目標を掲げたが、達成時期は19年3月期。次の3年間で事業構造が抜本的に切り替わるところまでは踏み込めない。新たな成長分野を確立する余裕がないほど既存事業の傷痕が深いことの裏返しでもあるが、「世界に類のないユニークな会社として復活できる」という津賀社長の言葉はやや説得力を欠いた。
パナソニック、富士通、売上高
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