小沢一郎民主党幹事長に対する政治資金規制法違反の件について検察庁は不起訴処分（嫌疑不十分）としましたが、検察審査会は、起訴相当決議をしました。
　この全文が紹介されていました。こちら。
　非常にお粗末な内容です。決議要旨とはいえ、これだけの分量で済む話でしょうか。理由というよりは結論しか記載されていないのと同じです。
　しかも、その理由たるや疑わしいという推論の域を出ないもので、何故、これで認定しうるのかよくわかりません。
　ましてや、「(1)「秘書に任せていた」と言えば,政治家本人の責任は問われなくて良いのか。(2)近時,「政治とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり,市民目線からは許し難い。」という記載に至っては言語道断であり、本末転倒というべきでしょう。
　政治の問題として小沢氏の責任が問われるのはまだしも、これは刑事罰を科すために起訴するかどうかの判断です。「これが善良な市民感覚」だそうですが、これでは感覚で犯罪かどうかが決まることになってしまい、「人民裁判」ともいうべき前近代社会に逆戻りです。人権が保障された国家とは思えません。
　このような「市民感覚」で起訴される方はたまったものではありません。
　しかも、決議に関与した１１名が何故、「市民感覚」の代表なのでしょうか。
　１１名は単にクジで偶然に選ばれただけの人たちに過ぎません。にもかかわらず、このような「市民感覚」だと言い切るところは、自分たちが選ばれた人間という傲慢な態度、優越思想になってしまっています。
　この件は裁判員裁判にはなりませんが、これが裁判員裁判に直結していたら、「許し難い」だけで、起訴、有罪（死刑）にもなりかねません。これまで各地で裁判員裁判が行われ、その判決に不服な被告人によって控訴されていますが、控訴審である高裁は、裁判員裁判だからという理由だけで、控訴を棄却しています。
　権力犯罪や権力に対して、起訴されないことがあれば、それは別の手段で対処すべきであり、このような検察審査会（プラス裁判員制度）は、即刻、廃止すべきです。
　各マスコミは、今回の検察審査会の議決を絶賛しているようであり、小沢氏の責任を述べていますが、政治責任ならともかく、刑事責任について無批判に報道する姿勢は、これまで冤罪を作り出したことの片棒を担いできたマスコミならではの論調と言わざるを得ません。