7日、新韓銀行ブランドが韓国に誕生してちょうど30年を迎えた。しかしこの日、新韓金融グループと銀行では、30周年に関係する記念行事は開かれなかった。元グループ職員の集まりである新韓同友会の一部会員が6日、京畿道・龍仁市器興にある李熙健記念館を静かに訪れただけだ。
在日韓国人有志341人が創業したミニバンクは進化を重ね、銀行、カード、保険、証券などの金融分野を幅広く手がける金融グループに発展。今や大韓民国最高水準のグループになった。
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李熙健記念館前の石碑には故人のメッセージが刻まれている
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だからこそ「新韓を大きな自負心」と考える在日韓国人としてはさびしさが交錯する。30周年を迎えたものの祝宴はなく、新韓側から感謝の手紙一枚もないからだ。
新韓金融グループ内の役員は「朝興銀行との統合は成功裏に定着したが、新韓の30周年を内外にアピールすると旧朝興職員との間に『庶子・嫡子』論議が起きるかもしれない」、「在日韓国人への特恵と見られる火種になる恐れがある」と話す。新韓創立時代の話を内外に誇れない事情があるという説明だ。
しかし、組織内部と国内世論に気を使わなければならないグループの立場と、新韓ブランドの歴史を記念することは別問題ともいえる。
現在新韓銀行は創立記念日を、朝興銀行との合併・出帆式を挙げた4月1日に変更している。韓国金融界の関係者は「新韓グループが他企業と10%の持分交換をしただけで在日韓国人の筆頭株主の地位はなくなる」と指摘する。
在日韓国人の間では「在日をそのままの一般株主扱いしている」という怒りの声をよく耳にする。新韓グループ内の在日韓国人の株式保有率は、創業時の100%から90年代後半には35%台と3分の1に。現在は17~18%となっている。
これは在日同胞にとっても課題となっている。父や祖父の世代の新韓創業に代表される祖国愛と母国投資精神を受け継ぎ、新韓の株式をもっと買って在日の勢力を組織化するなどの措置をとり、投資者としての地位を高めなければならないのだ。
一方新韓グループは3月末、器興の新韓銀行研修院内に創業の最大の功労者である李熙健名誉会長を追慕して在日韓国人の母国貢献記録を展示した「李熙健記念館」をオープンした。このようなすばやい動きは、新韓が在日韓国人の創業の気持ちを尊重する例として評価できる。
しかし在日韓国人の株主は、李名誉会長だけでなく新韓に愛着を持った多数の同胞がほかにもいることも忘れず、その関係を維持していくことを望んでいる。
(ソウル=李民晧) |