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【解説】 H7N9型ウイルスとは
4月2日 22時7分

上海などで3人が感染し、このうちの2人の死亡が確認された「H7N9型」の鳥インフルエンザウイルスについて、中国東部の江蘇省の衛生当局は、南京市などで新たに4人の感染が確認されたと発表しました。
専門家は、「今回のウイルスに近い同じH7型の鳥インフルエンザウイルスが人に感染すること自体はそれほど珍しいことではないが、これまでは重症化したケースはほとんど報告されていなかった」と話しています。

鳥インフルエンザのウイルスは、表面のたんぱく質の組み合わせによってさまざまな型に分けられます。
このうちH7N9型の鳥インフルエンザウイルスは広く野鳥が持っていて、鶏などの家きんは感染しても死ぬことは少ないとされています。
国内では、おととし12月に群馬県伊勢崎市の沼で採取された野鳥のふんから、H7N9のウイルスが検出されたことがあります。
これまで鳥インフルエンザが人に感染したケースでは、いずれもウイルスに汚染された家きんとの関連が指摘されています。
今回のウイルスに近い同じH7型のウイルスでは、2003年にオランダで、およそ500人が感染し、1人が死亡したとされる例があります。
鳥インフルエンザに詳しい北海道大学の喜田宏特任教授によりますと、このとき死亡したのは獣医師で、たくさんの鶏が死んだ養鶏場で、およそ2時間にわたって鶏から採血を続けていて、当初、別の感染症を疑われ、治療が遅れたということです。
養鶏場の従業員も感染していましたが、症状はないか、あったとしても結膜炎などの軽いケースだったということです。
また、喜田特任教授がアメリカで研究していたときにも、同僚の中国人研究者が、アザラシから分離されたH7のウイルスに感染し、結膜炎を起こしたことがあるということです。
喜田特任教授は「H7の鳥インフルエンザウイルスが人に感染すること自体はそれほど珍しいことではないが、これまでは、重症化したケースはほとんど報告されていなかった。鳥と人ではウイルスに感染する細胞の表面の構造が異なるので、直ちに人で感染が拡大するとは考えにくい」と話しています。
国立感染症研究所によりますと、日本国内ではこれまで鳥インフルエンザに感染して症状が出た人はいないということです。

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